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竹林軒出張所

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ワールドカップ2010での日本代表についての雑感

b0189364_9391268.jpg 昨日のパラグアイ対日本の試合、テレビで見ていたんだが、ミスが多く、ぬるく退屈な試合だった。たぶん日本代表じゃなかったら前半で見るのをやめていただろう。サッカー協会の関係者には、勝ち負け云々より、ワールドカップの決勝トーナメントでこういう試合をしなければならないということを反省してほしいと思う。もう予選じゃないんだからね、ある意味、グループの代表なわけだ。
 今回のワールドカップの日本代表については、個人的にはまったく評価していないんで、「岡ちゃんゴメンナサイ」とかいう気持ちはまったくない。日本代表がこういう勝ちにだけ(負けないことにだけ)こだわるサッカーを目指すというのもはなはだ遺憾である。こんなサッカーは、スコアの結果以外、何も生み出さない。こういうのが今後の日本サッカーの流れにならないことだけを祈りたい。
 もちろん、今回は準備段階からしてまったくなってなかったのは知っている。直前になってもチームができあがっていない状態で、新しいシステムをぶっつけ本番で試してみるというサッカー弱小国にしては珍事としか思えない事態だったのもわかる。初戦に運良く勝ってしまって大変有利な立場に立てたので岡田監督が異常に評価されたが、初戦で負けて3連敗したら、今後10年間、岡田氏は監督としては見向きもされないという状況になっていたかも知れない。何よりも驚いたのは、「岡田続投」という話が日本サッカー協会に出てきているということで、悪い冗談はやめてくれと素直に思った。今回のワールドカップは、日本のサッカー界にとって後退だと思う。結果がある程度出てしまったのでわかりにくくなったが、これまでの日本サッカーの流れを逆行させるような内容で、その責任の一端を持つ監督を今後も起用するなんてのは話にならない。
 日本のサッカーは20年くらい前から国際舞台に登場し、国内ではさまざまな模索を続けながら、着実にその実力を伸ばしている気がしている。ワールドカップに出た98年、02年、06年と毎回違ったコンセプトでチーム作りしているのがよくわかり、「日本らしいサッカー」を模索しながら進歩している様子が見て取れるんだが、今回のチームは、創造的な戦略を欠いており、98年に逆戻りしたという印象である。奇しくも監督は同じときている。
 岡田監督も大敗するのが怖くなったんだかどうなんだかわからないが、4バックのシステムにアンカーなんてものを追加し、しかもダブル・ボランチという超ディフェンシブなシステムにしたが、要するにディフェンスに7人割くということだ、これは! 全員攻撃、全員守備のトータル・フットボールを目指すチームが超ディフェンシブって、なんだかとってもおかしい気がする。サッカーの一番の魅力は攻撃時のエレガンスだと思うんだが、それを最初から放棄したらサッカー文化なんてものは根付かないよ(と、この辺、セルジオ越後風)。
 今回のワールドカップの唯一の収穫は、06年の失敗(チーム内の分裂)を反省して、それに対する対策が(選手レベルで)できたことである。こういうのがサッカーの伝統として残っていくんじゃないかという淡い期待もある。ともかく関係者が、現状を謙虚に反省し、新しいコンセプトを掲げて、優れた監督を招聘するよう最大限の努力を払うことが大事なんじゃないかと思う。次期監督にペケルマンの名前も出ているらしく、こちらのニュースは非常にうれしい限り。是非、ユースの育成もまかせて、日本サッカーを新しい次元にまで高めてほしいものである。

「岡ちゃん後任、代表監督にペケルマン浮上」(日刊スポーツ)
by chikurinken | 2010-06-30 09:40 | 社会

『吸血鬼ノスフェラトゥ』(映画)

b0189364_16533627.jpg吸血鬼ノスフェラトゥ(1922年・独)
監督:F・W・ムルナウ
原作:ブラム・ストーカー
脚本:ヘンリック・ガレーン
出演:マックス・シュレック、アレクサンダー・グラナック、グスタフ・フォン・ワンゲンハイム

 ドラキュラ映画の元祖で、原作はブラム・ストーカー作『ドラキュラ』だそうだ。この映画では、著作権の関係で「ドラキュラ」を名乗れなかったらしい(真相は知らない)。
 実は、25年ほど前にドイツ文化センターで上映されたものを見ているんだが、内容についてはまったく憶えていなかった。ただ上映中、失笑が漏れた箇所が割にあったほどで、今となっては恐怖を感じるような映画ではない。ただ、その、何というか、映画史上の価値は非常に高いわけで、サイレント期の映画でありながら、さまざまなテクニックを駆使していたりして、要するに敬意を払ってみるべき映画だと思っていたのだ。ところがついさっき、Webでさまざまな評を読むと、「怖い」と書かれているものが沢山あって、すごく意外に感じたのである。僕は、これを「怖い」と感じるのははなはだ無理があると思うし、無理に怖いと感じることもないんじゃないかと思う。要は歴史的な映画なのである。
 ベストの流行を吸血鬼の跋扈と重ね合わせるなどなかなか視点が面白いし、特殊効果もいろいろあって楽しめる。ただ、恐怖映画として見ることは、僕にはどうしてもできない。だから、古典を見るという態度で、正座して見るような気持ちで臨むのがよろしい。そういうわけで、僕は案の定、途中で眠りそうになったのである……。

★★☆
by chikurinken | 2010-06-28 16:57 | 映画

『「英雄」〜ベートーベンの革命〜』(ドラマ)

歴史ドラマ「英雄」〜ベートーベンの革命〜(2004・英、BBC)
演出:サイモン・セラン・ジョーンズ
脚本:ニック・ディア
演奏:オルケストル・ド・レボリューショネル・エ・ロマンティーク
出演:イアン・ハート、クレア・スキナー、ティム・ピゴット=スミス

b0189364_22415531.jpg 80分のドラマで、そのうち40分近くが音楽の演奏という、少し変わった音楽ドラマ。演奏されるのはもちろんベートーヴェンの交響曲第3番「英雄」で、演奏担当はオルケストル・ド・レボリューショネル・エ・ロマンティーク。古楽器で当時の音を再現している。
 「英雄」交響曲の初演時の模様を再現したドラマで、真実を再現したかどうかはよくわからないが、「ロブコヴィツ侯爵邸で非公開で初演」というのは事実のようで、ある程度事実に即しているようだ。登場する人物も、ベートーヴェンゆかりの人々が一堂に会し、それぞれとの関係が会話で浮き彫りにされる。ベートーヴェンの人間性や、あるいは「英雄」交響曲の音楽性なども、まわりの人々の会話によって明らかにされていく。「英雄」交響曲の歴史的価値や音楽的価値も、ハイドンをはじめとする人々の口から発せられる(ハイドンが登場人物として出てきます)。このあたり、ある意味学習ドラマみたいな側面もあるが、ドラマ自体がよくできていて、そういった部分を感じさせることはない。『名曲探偵アマデウス』などよりはずっとできが良い。
 音楽演奏も優れているが、その背景(?)で流れる映像も、ほとんどが登場人物のアップであるが、非常に格調が高く、優れた美術作品のようであった。衣装デザインや風俗も見事に再現されていて、グレードが高かった。
 ベートーヴェンが、ナポレオンの皇帝即位の報を聞いて激怒し、「英雄」交響曲の表紙を破り棄てたというエピソードもきっちり再現されていた。もっともサービス的な演出に見えないこともない。
 僕は BShiの放送で見たが、DVDも出ているようだ。ただし、日本語の吹き替えや字幕などが収録されているかどうかはわからない。
★★★☆

追記:その後、DVDを購入したが、やはり日本語は入っていなかった。

参考:
竹林軒出張所『ベートーヴェンの使い回し』
by chikurinken | 2010-06-26 22:43 | ドラマ

『ジェネラル・ルージュの凱旋』(1)〜(12)(ドラマ)

ジェネラル・ルージュの凱旋(2010年・関西テレビ)
演出:今井和久他
原作:海堂尊
脚本:後藤法子他
出演:伊藤淳史、仲村トオル、西島英俊、木下隆行、白石美帆、加藤あい
b0189364_10231313.jpg
 ドラマ版『ジェネラル・ルージュの凱旋』については、「『ジェネラル・ルージュの凱旋』(ドラマ) まだ途中だが」のところでも書いたが、先日放送が終わったので、ここで少しまとめておこうと思う。
 前にも書いたように、序盤の数話は、各回ごとに医療ミステリーみたいになって完結しており、同時に大きな柱としてのストーリーがゆっくり展開していくという、見る者を飽きさせない、なかなか秀逸な構成になっていた。後半に進むにつれ、例によって医療犯罪がメインになってくる。そしていよいよ最終回で、その種明かしがされる。後半は、ミステリーの典型のような展開だが、その間も息をつかせぬ見せ方でドラマとしては質が高い。
 ただやはり、医療の要素を取り除き純粋にミステリーとして見ると、ややチープである。これは『チーム・バチスタ』でも『ナイチンゲールの沈黙』でも感じたので、おそらく原作の問題だと思う。あるいは、流行りのミステリーはこの程度のものなのだろうか。ちなみに僕はミステリー小説をほとんど読まないので、この話がミステリー小説の通常のレベルから見て高いかどうなのかはよくわからないが、しかしドラマとして見ると、やはり物足りなさが残る。それに犯人を悪いヤツにしてしまうというのも安直な気がする。悪いヤツに問題を丸投げにしてしまうと、ドラマとしては安っぽくなる。その点について言えば『チーム・バチスタ』の方がまだましとも言える。
ただ、ミステリーの部分以外は、前にも書いたように非常にレベルが高い。登場人物の会話や話の進め方など、「全編通じてずば抜けている」わけではないが、それでもレベルは高い。2000年代を代表するドラマと言うことはできる。
 キャスティングも面白く、TKOの木下隆行などもきちんとした演技をしている。西島英俊の「ジェネラル」も非常にはまっていた。伊藤淳史のグッチ先生も面白いキャラクターなのだが、セリフをぶつ切りにする癖が途中から鼻につきだして、とても気になるようになった。このあたり続編で改善の余地ありである。もっとも続編があるかどうかは知らないが。

★★★☆
by chikurinken | 2010-06-24 22:18 | ドラマ

『あるダムの履歴書』(ドキュメンタリー)

あるダムの履歴書 〜北海道・沙流川流域の記録〜
(2010年・NHKエデュケーショナル)
NHK教育 ETV特集

b0189364_22362339.jpg 1970年代に北海道の沙流川流域に計画された沙流川総合開発計画。これにより、二風谷ダム、平取ダムの2つのダムが計画された。しかも二風谷ダムの建設予定地は、アイヌの聖地であった。
 計画は、幾多の反対にもかかわらず、例によって公権力により強制執行され、1996年、二風谷ダムが完成する。この二風谷ダム、当初は、利水、治水、農業用水、発電などに利用される多目的ダムという名目であったが、当初予定されていた苫小牧の工業団地計画が頓挫し、利水という建設理由が消え、農地が減る現状で農業用水という大義も消えていく。治水についても当初から疑問が寄せられていたため、実際建設する理由はなかったのである。まさに建設のための建設であった。実際にできあがってみると、当初の国側の説明に反し、あっという間に貯水池が土砂で埋まり、使い物にならなくなっていく。しかも、2003年の豪雨の際には、ダム決壊の可能性が出てきて放水し、結局下流域が床上浸水するなど、治水の名目さえまったくのデタラメであることが明らかになっていく。地域住民の間では、ダムができてかえって浸水が多くなったという意見もあるほどである。さらに山からは流木が流れ込み、ダムの貯水池は、まったく見るも無惨な姿になっている(例によって国(役人)は、木で鼻をくくったような対応しかしない)。
 これが、沙流川総合開発計画の一連の流れで、このドキュメンタリーでは、そのあたりの事情が、当時の映像と関係者のインタビューを交え、丹念に追われる。当然のことながら、ドキュメンタリーでは、この流れを愚行として扱う立場に立っており、ダムの用地を強制的に収容されたアイヌ(貝澤正、萱野茂、貝澤耕一の各氏)の視点で告発している。同時に、こういうまったく無駄なものを作り、環境を破壊していく日本のシステム自体にも疑義を投げかける。要するに、これが当時の公共事業の典型なのである。この地だけではなく、全国的に同じような愚行が繰り返されており、いわば一つの縮図になっている。しかも悪いことに、二風谷の場合、日本の先住民、アイヌの聖地であった。貴重な文化遺産がこのような形で破壊された、そのドキュメントが、日本の恥部として未来に渡って記録されたのはある意味、貴重である。
 ドキュメンタリーとしても、視点が明確であり、全体に引き締まっていて、非常に見所が多い傑作であった。

ETV特集『あるダムの履歴書 〜北海道・沙流川流域の記録〜』

★★★★
by chikurinken | 2010-06-22 22:37 | ドキュメンタリー

『トウキョウソナタ』(映画)

トウキョウソナタ(2008年・Entertainmment Farm、Foltissimo Films)
監督:黒沢清
脚本:マックス・マニックス、黒沢清、田中幸子
出演:香川照之、小泉今日子、小柳友、井之脇海、佐々木健二、井川遥、津田寛治、役所広司、児嶋一哉、でんでん

b0189364_949131.jpg 家族の崩壊と再生の物語である。物語は、冒頭から静かに展開し、挿入される音楽も少なめである。間が非常に多く、現在の日本映画の典型のような洗練された映像である。途中、登場人物たちが至極真面目に動きながらも妙なおかしさを醸し出しており、静かな笑いを誘う。トータルとして、小津映画の伝統を引き継いでいるかのような印象も受ける。
 元々の脚本は、マックス・マニックスという日本在住11年のオーストラリア人のものらしく、どちらかというと家族の物語だったようだが、映画化に当たって監督の黒沢清が加筆したらしい。途中随分極端な方向に突っ走って(『ウィークエンド・シャッフル』みたいに)見ているこちらも少し収拾が付かない感じになるが、このあたりが黒沢清の加筆部分らしい。この部分は映画的には面白くなっているかもしれないが、全体との整合性という点で、ない方が良いんじゃないかと見ながら思っていた。つまり、純粋に家族の話にすべきだったということである。実は途中まで、家族の話で展開するんだろうと思って少しワクワクしていたんだが、それぞれがとりとめもなく突っ走るような感じになって、奇想天外路線に走ってしまっている。その点、ちょっと失望したのだ。ただ、最終的にはうまくまとめられており大きな破綻はない。ホラーの黒沢清だけに、スリルとサスペンスの色合いも入れたかったのかも知れない。
 主要な登場人物はどれも強烈で、それぞれの俳優も好演している。夜遅く見始めたため途中で眠ってしまうかななどとも思っていたんだが、最後まで目が離せない映画で、結局最後まで見てしまい、終わったときには夜中になった。
 演出や映像も良く、現在の日本映画のレベルの高さを示す佳作になっている。ただやはり、加筆部分は余計だという印象が最後まで残る。

カンヌ映画祭「ある視点」部門審査員賞受賞

★★★☆
by chikurinken | 2010-06-20 09:51 | 映画

『ジョン・レノンの魂』(ドラマ)

ジョン・レノンの魂 ~アーティストへの脱皮 苦悩の時代~
(2010年・英Blast! Films, BBC)
NHK-BShi
監督:エドマンド・クルサード
脚本:ロバート・ジョーンズ
出演:クリストファー・エクルストン、森尚子、クリストファー・フェアバンク

b0189364_20185894.jpg 英国で作られたジョン・レノンの伝記ドラマ。Beatlesの解散前後、つまりジョン・レノンの離婚前後の出来事を中心に、ジョン・レノンの苦悩の日々をドラマで再現する。意欲的な作という評判があるようだが、正直あまり目新しさを感じなかった。ジョン・レノンについては、いろいろなことがすでにいろいろな場所で書かれているわけで、ジョン・レノンに対するイメージを覆すというようなものでもなかった。ジョン・レノンとオノ・ヨーコとの出会いや葛藤を扱ったドラマは、前にどこかで見ており、内容がそれとも随分かぶっていたような気がする(なにぶん記憶があまりないので)。悪くはないが、あまり強烈な印象を持つところまでは至らないドラマであった。レノンの人物史として見れば、そこそこ楽しめる。もちろん、ジョン・レノンについてあまり知識や興味がない人にとっては新鮮かも知れない。

『ジョン・レノンの魂』紹介ページ(NHKオンライン)

★★★
by chikurinken | 2010-06-18 20:20 | ドラマ

ゆけゆけ裕子、どんとゆけ!

b0189364_20203010.jpg 「讃岐裕子、キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!」の項で紹介した、讃岐裕子の『メリー・ゴー・ラウンド』の復刻のその後について。
 讃岐裕子の『メリー・ゴー・ラウンド』が、ソニーのオーダーメイドファクトリーで候補に取り上げられたのは2009年の暮れだった。その後、少しずつ票を伸ばし、先日ついに100票に達して、いよいよ第2ステージ進出となった。しかしここまで結局約半年かかっており、2、3カ月で予選(第1ステージ)突破という当初の目論見は、大いに外れた。後から出てきたあまたのCDに先を越され、三田寛子には何度も先を越された(つまり三田寛子の複数のCDが、後から登場しながら先に第1ステージを突破したということ)。悔しいったらありゃしない。
 それはともかく、苦難を乗り越えグループ予選を突破したのであるから、これからは頂点を目指してがんばっていただきたい。不肖私も応援いたします。というわけで、すでに購入予約を入れた。この予約は、復刻した時点で自動的に購入になる申込みであり、最終的に復刻しなかった場合はキャンセルになる。昨日から予約受付が始まっているが、今日の時点ですでに33%(100%の申込数で復刻)に達している。第2ステージに進出してからスロー・ペースだと、結局復刻まで達しないということが多く、先制点(つまりスタートダッシュ)が重要になる。そう言う意味では良いスタートを切ったということができる。是非得点を重ねて、栄えあるカップを獲得(つまり復刻実現であるが)していただきたいと切に願う。

追記
実は、オーダーメイドファクトリーの第1ステージに入ってから、中古市場に何度か『メリー・ゴー・ラウンド』が出て来た。値段は1万円前後だったような記憶があるが、オーダーメイドファクトリーを見越した所有者が売りに出たのか、その辺はよくわからない。もちろん、僕はまったく買う気はなかったが。こういう足元を見たような値段設定は大変不快である。

Sony Music Shop オーダーメイドファクトリー
讃岐裕子『メリー・ゴー・ラウンド』
 6/17日現在、33%

参考:
竹林軒出張所『讃岐裕子のハロー・グッバイ』
竹林軒出張所『讃岐裕子、キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!』
竹林軒出張所『復刻終結宣言 またはメリー、メリー・ゴー・ラウンド』
by chikurinken | 2010-06-17 20:21 | 音楽

『ストーカーと呼ばないで』と認知的不協和の解消

ストーカーと呼ばないで
(アルバム『始まりでもなく 終わりでもなく』に収録)

歌:小林啓子
作詞:オオタスセリ
作曲:オオタスセリ

ストーカーと呼ばないで あなたが 好きなだけ
ストーカーと呼ばないで あなたを見てるだけ

通勤電車の 同じ車両 幸せな 毎日
砂を噛むよな 私の暮らしに 明るい日が差した
スーツ姿に 縁なし眼鏡が 自信に満ちていて
あなたをもっと知りたくて 後をつけました
お勤めの会社 わかったので 有給とりました
後は自然に あなたのお家が わかりました

ストーカーと呼ばないで あなたを つけただけ
ストーカーと呼ばないで あなたが 好きなだけ

一人暮らしの カーテンに あなたのシルエット
飽きもしないで 夜中まで 眺めておりました
あなたのお部屋を 眺めるのが 日課になりました
帰りの遅い日は ちょっと 心配になりました
ある日あなたは 女の子連れて 帰ってきました
思いきって 書きました 手紙を書きました

ストーカーと呼ばないで 手紙を 出しただけ
ストーカーと呼ばないで あなたが 好きなだけ

あなたのポストに 手紙を入れるの 日課になりました
ついでにあなた宛の手紙も 毎日読むようになりました
あなたの事 知れば知るほど 夢中になりました
思いきって かけました 電話をかけました
あなたに無言電話をかけるのが 日課になりました
何を話して良いのか 接点がないので
毎日 無言で かけました

ストーカーと呼ばないで 声が 聞きたいだけ
ストーカーと呼ばないで あなたが 好きなだけ

あなたが電話に出なくなり 寂しさが募り
思いきって 作りました 合鍵作りました
あなたのお部屋に 入るのが 日課になりました
いい事 悪いことの区別が全然 つかなくなりました
気がつけば まわりを それは沢山の お巡りさんに
囲まれておりました
でも信じて下さい 私は
あなたが好きなだけでした

ストーカーと呼ばないで あなたが 好きなだけ
ストーカーと呼ばないで 今でも あなたが 好きなだけ

b0189364_17192812.jpg 元歌は、オオタスセリという芸人の(どちらかと言うと)コミック・ソングだが、小林啓子のは、情が入っているというか、ともかく表面的な「笑わせにかかる」ようなものにとどまらないように思う。だからといって、山崎ハコのような深い情念の世界でもなく、もう少しサラッとしていて、思い込みが少し可愛らしくもあり、何だかこの主人公に愛しささえも感じてしまう(実際にこんな人がまわりにいたら、そういうわけにいかないだろうが)。オオタスセリのオリジナル版もCDで聴いてみて、さらにYouTube(『徹子の部屋』に登場したときのもの)でも見てみたが、どうしても芸人のネタという感じが漂っていて、いや、それはそれで面白いんだが、小林版とは少し趣が異なる。もちろん元祖はオオタスセリ版だが。
 さて、この小林啓子だが、知っている人は知っているが知らない人はまったく知らない(僕もまったく知らなかった)かつてのキャンパス・フォークの女神だったようで、「日本のジョーン・バエズ」と呼ばれていたらしい。なるほど、そう言えばバエズ風の歌い方である。しばらく前に引退していたらしく、最近復帰してまた何枚かアルバムを出し、そのうちの1枚が、この曲を収録している『始まりでもなく 終わりでもなく』である。「始まりでもなく、終わりでもなく」という力の抜けた感じが伝わってきて、どの歌も気負わずに「表現」している。カバーが多く、自身が昔歌っていた曲もセルフ・カバーしている(「さよならを言う前に」、「比叡おろし」、「恋人中心世界」)。
 このアルバムの最後に収録されている「ストーカーと呼ばないで」だが、コミック・ソングではあるが、しかしそれにしても一片の真理が秘められているような気がする。人が悪事を働いて摘発されたりすると、多くの人は「よくそういうことができるな!」と思うが、しかし当人にとってもいきなりそういう極端なことに手を染められるわけではなく、自分の納得できる範囲で少しずつ少しずつ、自分をだましながら、認知的不協和を解消(「『なぜあの人はあやまちを認めないのか』(本)」を参照)しながら、結果的にそこに至ったのである。「思えば遠くに来たもんだ」というような心境に近いと思う。
 今朝もテレビで、法の裏をかくような方法で(高利で)金を貸している人が出たが、例の顔を隠して音声を変換した上で「借りる方が悪いんだ」などと言っていた。おそらく、こういう発想をすることで、認知的不協和を解消しているのだろう。ということは、こういう人もやはりどこかで悪事を働くことに抵抗があって、自分をだましているということなのだ。こうして考えてみると、人間は生まれながらに悪であるとは言えないんだろうなと思う。
 それはともかく、「ストーカーと呼ばないで」の漸進の過程は、まったくのフィクションであるとしても真実が込められていると思う。その真実を表現する上で小林啓子の歌は非常に効果をあげている。このアルバムの他の歌もなかなか味があって、この小林啓子という人、なかなかの実力者である。「女神」の称号が決してダテではないことを思い知らされた。
by chikurinken | 2010-06-16 17:21 | 音楽

「日本対カメルーン戦」結果予測の言い訳

b0189364_108886.jpg 日本のワールドカップ初戦が終わって、早くも天下を取ったような報道がテレビにあふれている。運良く勝てたのは何より(これでJリーグ存亡の危機はひとまず回避)ではあるが、こういうのに接してしらけてしまうのは僕だけではあるまい。この試合についてはいろいろな報道があるが、BBC電子版の「2つの調子の悪いチームがインスピレーションを見つけるのに苦しんだ生ぬるい試合」というのがいちばん近いような気がする。カメルーンは、調子の悪さとチーム内の不協和音を反映してか、中盤で圧力をかけることもあまりなく、パス・ミスも多く、予想以上に良くなかった。しかも日本に先制されたのが相当痛かった。カメルーンが先制すれば、追加点もとりやすくなるが、あんな風に超ディフェンシブになられるとなかなか点も取れない。引いて守り続けるチームと拙攻でなかなか点が取れないチーム……感情移入がなければ退屈でしようがない試合である。日本がアジアの中レベルのチームと対戦すると大体こういう試合になる(攻めるのが日本の方)が、見ていて歯痒いだけで、面白くも何ともない。今回の試合は、なんとなく岡田好みというか、おそらく監督のゲーム・プラン通りに運んだ試合だったのではないかと思うが、目指すレベルがこういうのだというのも嘆かわしい限り。
 サッカーの得点シーンは、大体攻撃側の好プレーと守備側のミスとの相乗効果により、局地的に攻守の差が生じて生まれることが多い。もちろんこれに偶然(つまりは運)の要素などが絡んでくるわけだが、今回の得点シーンは、アシストした松井のフェイントが良いプレーで、本田のトラップが結果的に良いプレーになった結果で生じた。松井のフェイントは松井らしい優れたプレーだったが、本田のトラップはミス・トラップがたまたま良いところに転がったためであり、この2つのプレーで攻守の差が生じ得点になったと言える。極論すれば 運が良かった ということである。もちろん、どうやって運を引き寄せるかは、スポーツの試合で大きな要素なのでそれはそれで良いんだが、天下を取ったような論調はちょっと違うんじゃないかと思う。
 日本代表が大舞台で勝てて良かったねと思う反面、こんな試合でしか勝てないのかという、ちょっと限界みたいなものも感じたのである。オシムの提唱したサッカーはこんなんじゃなかったような気がするけど。
 さて、確率論的に考えると、初戦に勝ったチームが決勝トーナメントに進める確率は(勝ち点5と仮定して)、3分の2である。今回みたいに運が良い試合があと2試合続けば全勝だってありうるが、運がない場合、または双方に同じ程度運が転がった場合は1勝2敗ということになるだろう。あまり楽観は許されないと思うが、ま、(運良く)1勝できたから良しとしよう。

 前回、カメルーン戦を0-2と予想していたので、今回ちょっと言い訳めいたことを書いたのだった。前にも書いたが、スポーツの予想なんてのは統計的なものであって、実際の現場で何が起こるかは想定されていない。偶然(つまりは運)の要素は予測できないのである。だから予想が当たろうが外れようがどうってことはないのだ……と開き直って、と。
by chikurinken | 2010-06-15 10:08 | 社会