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竹林軒出張所

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三遊亭円楽の肖像

b0189364_9213210.jpg 25年ほど前にスケッチした三遊亭円楽の肖像。高座に出ているのを見ながらいたずら書きしたもの(裏には小文枝師匠の絵がある)だが、良くできていたので今でも手元に置いている。
 落語を聴き始めた初期の頃(35年ほど前)、円楽の「死神」を聴いて大変感銘を受けた記憶がある。その後この「死神」が(円楽の師匠の)三遊亭円生ゆずりであることがわかったので、もっぱらそれ以降は円生のものしか聴いていないが、ともかく僕の落語の入口になった人である。その後何度か高座をテレビで見ているが、最初のような感動はなくなってきた。こちらの目が肥えてきたこともあるのかも知れないが、やはり、(落語については)この25年前くらいが絶頂ではなかったかと思う。どうも笑点の人になってしまったふしがある。笑点の大喜利はつまらないので一切見ないが、ともかく僕の落語の入口になった人なんである、円楽という人は。

 この肖像も、銅版画を始めた頃に版画にしてみようと思っていたがそのままになっている。三遊亭円楽の訃報を聞いてこのことを思い出し、引っ張り出してきた次第。

 三遊亭円楽師匠のご冥福をお祈りいたします。合掌。
by chikurinken | 2009-10-31 09:25 | 美術

『僕は人生を巻き戻す』を巻き戻す……アンビリバボー

b0189364_20323647.jpg 昨日、フジテレビの『奇跡体験! アンビリバボー』という番組で、強迫性障害のエド・ザインを扱った番組をやっていた。エド・ザインというのは、先日ここで紹介した『僕は人生を巻き戻す』という本の主人公だ。この本はノンフィクションなんで、むろん実在の人物である。
 この1冊で詳細に扱っていた事例が30分枠でまとめられていたので、予想に違わず通り一遍の話になっており、核心部分には触れられていなかった。もの足りないなんてものじゃないが、初めて見る方には、その事実だけで衝撃的だったかも知れない。そういう意味では、価値があると言えなくもない。『僕は人生を巻き戻す』の本も、わずか1、2秒ではあったが一応紹介されていたことだし(興味のある方は是非読んでください。昨日の番組より面白いと思います)。ただ、エド・ザインやマイケル・ジュナイクなど、さまざまな人々を映像で見られたのは良かった。この番組を見たのもそれが目的だったんだがね。

 僕は小説をあまり読まないんで、カフカの小説なんかも興味はあるんだが読もうという気がしない、なかなか。で、「小説を忠実に映画化した」などというキャッチフレーズが付いた映画があれば、つい食指が動いてしまう。『カフカの「城」』というDVDを見たのもそういういきさつだったんだが、これを見ただけで僕なんかはカフカの『城』を読んだような気になっているんだ。あるドイツ文学者にこの映画の話をしたら、映画を見るくらいだったら原作を読むと言っていた。僕とは発想がまるで逆である。もっともノンフィクションであれば、僕も同じように考えるかも知れない。だから、昨日の『アンビリバボー』を見てそれで感心し納得している人がいても、基本的には僕と変わらないわけだ。だから、たまたま『僕は人生を巻き戻す』を読んでいたからと言って、上から目線でしゃべってはならないのだ、本当はね。
 でも、あえて言います。あれは、ポイントだけを取り上げたもので、その間のつながりが描かれていない。そこが一番重要だと思うんだがそこがなかったのだ。つまり、あくまでダイジェストに過ぎないということ。だから、原作を読んだら良いと思いますよ。あ、カフカも原作で読んだ方が良いですか……うーん、考えておきます。
by chikurinken | 2009-10-30 20:34 | 放送

ダム建設中止問題の実在に関する考察

b0189364_10233882.jpg カヌー業(椎名誠が命名したと思う)をやっている野田知佑の『日本の川を旅する』という著書を読んだのは、25年くらい前、まだ学生のときだった。淡々とした記述の中に、日本の環境が行政の手によってひどく破壊されていくさまが描かれ、それについて(声高ではないが)一撃を喰わせるのが痛快ではあったが、同時にあまりのひどい現実に打ちのめされそうになった。そういう意味でもまさに名著である。
 この本では、必要なダムなどすでになくなっているにもかかわらず、国政により、無駄な労力と金がつぎ込まれて無駄なダムがあいかわらず作られ続けていることがことが示されている。推進している当事者も地元の人間もダムが不要なことを知っていながら誰も止めようとせず、いたずらに環境だけが破壊されていく現実が、読者に突きつけられる。世界中の川をカヌーで旅してきた著者にとっては、日本の川は、景観的に美しく、他の国の川と違ったユニークさがあって面白いらしい。それにもかかわらず、ほとんどの川が不要なダムでズタズタにされてきたことを、著者は淡々と語る。語り口もすばらしいが、その現実をまったく知らなかった当時の僕は、目からウロコが落ちるような感覚で、大変な衝撃を受けた。
 その後、僕自身もあちこちでダムを目にするたびに、野田氏の言っていたことは本当だなとあらためて感じていた。そして、それが普通の感覚だと思っていたので、日本人の(ほぼ全体に渡る)総意として「新規ダム建設中止」という概念があると思っていた。だから、田中康夫が脱ダム宣言を政策として推進したときも、今回のハツ場ダム建設中止についても、ダムで利益を得る人を除けば、諸手を挙げて歓迎されるものだとばかり思っていた(現実はそうなのかも知れないが)。
 ところが、テレビでは、建設中止の反対派側に立った言動がやけに目立つ。放送業界はこれが反体制の報道だとでも思っているのだろうか。各県知事を含め反対派は、要するに利益を失うことに意義を唱えているわけで、結局は補償を求めているに過ぎない。最終的には国が補償して終わるんだろうが、テレビの報道でそういう議論に持って行こうとしないのがどうにも腑に落ちない。
 ダムが不要なのは明らかだ。そもそもハツ場ダムなんて建造目的自体がころころ変わっている。ってことは、そもそもが必要のないものなのだ。雇用創出とか建築利権とかそういった都合で始めたに過ぎない。しかも多大な税金を投じているわけだ。今の状況では、どう考えてもやめるのが当然である。地元住民だって、本音では喜んでいる人が多いんじゃないか(テレビには一切出てこないが……危ないからね)。
 今やっている(大臣と知事との)折衝なんてのは形式的なもので、補償金をどれだけ増やすか減らすかの駆け引きに過ぎないんだから、ダム建設を中止すると困るなどという地元住民のインタビューなんか放送してもしようがない。本当のところ、ダム建設を中止したところでいっこうに困らないはずだ。あてにしてた仕事がなくなるのが困るとか、今まで住民をミスリードしてきたことがばれるのが困るとかいうことなんだ、本音は。だから、最終的にはかれらの顔を立てて、ある程度補償すれば済むことである。報道でその辺のことをすっぱ抜いてやれよと思う。こんな建前の儀式の後追いするより、核心を突くような報道したらどうだいと言ってやりたいものだ。政治が変わりつつあるんだから、放送業界もいいかげん変わるべきではないか。

参考:
竹林軒出張所『ダムはいらない! 新・日本の川を旅する(本)』
竹林軒出張所『世界の川を旅する(本)』
竹林軒出張所『風に吹かれてカヌー旅(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『非常識な建築業界 「どや建築」という病(本)』
by chikurinken | 2009-10-29 10:27 | 社会

『戦場から女優へ』(本)

b0189364_1858221.jpg戦場から女優へ
サヘル・ローズ著
文藝春秋

 以前、お笑い番組の『あらびき団』に滝川クリサヘルという女性が出て、滝川クリステルの物まねをしながら自らの悲惨な生い立ちを語るという芸(!)をやっていた。
 イランで生まれ、幼い頃イラクの空爆で家族全員を亡くして、その後縁があって育ての母と来日したという話を、例の斜め45度のカメラ目線で語りながら「このあと日本で壮絶ないじめを経験しますが、続きはまた来週のこの時間で」などと言いながら終わったのだった。内容がリアルで、とても笑えない話だ。その続きが気になるんでその後も『あらびき団』を見ていたが、滝川クリサヘルは二度と出てくることはなかった。出るのは、妙ちくりんな芸人ばかり。
 その後、滝川クリサヘルが、テレビでサヘル・ローズという名前で出ているのを何度か見かけたが「その後のいじめ」について多くが語られることはなかった。
 で、今回のこの本である。「その後のいじめ」のことも極貧生活のことも、それからもちろん生い立ちについてもすべてあますところなく書かれている。
 これだけの経験をして生きてきた人が今の日本にどれだけいるかというくらい、さまざまな不幸な経験をしている。日本も戦後すぐの時期は、こういう人々が多かったのかも知れない。こうして考えてみると、戦争がどれほど市民レベルで不幸をもたらすかがわかろうというもの。
 彼女の場合、肉親の喪失、(父親代わりの男による)虐待、学校でのいじめ、貧困(ホームレスまで経験している)など、今の日本で経験できる不幸をことごとく経験しているかのようである。
 今は、女優の仕事もこなしながら、育ての母(この人もすごい人なんだが)と一緒に、前向きに目標に向かって生きているようだ。彼女の前向きで謙虚な考え方、ものの見方は、生きる上での教訓にもなり、人生の指針として読むこともできる。これだけの不幸を積んできたんだから、今後は幸せを掴んでほしいと切に願う。まあ、まったくの他人ではあるが。
★★★☆

参考:
NHK『旅のチカラ「失われた故郷の記憶を求めて〜サヘル・ローズ イラン〜」』
竹林軒出張所『アフガニスタンの少女、日本に生きる(本)』
by chikurinken | 2009-10-27 18:59 |

『強いられる死 自殺者三万人超の実相』(本)

b0189364_1013699.jpg強いられる死 自殺者三万人超の実相
斎藤貴男著
角川学芸出版

 年間の自殺者数が3万人を超えて久しい。政府自民党の構造改革路線により、弱者に対し過酷な生活が強いられるようになってから、自ら死を選ぶ人が増えたのだ。
 本書では、パワハラや過重労働、多重債務、いじめなどで自死した人々の足跡を追い、彼らが自死を選ぶまでの過程を追っている。であるから、内容は非常に重い(自分の周囲に不安材料がある人が読んだら、立ち直れないかも知れない。書く方も重かったという記述が最後にあった)。
 こういった事象(事件、事故)が、間違った社会システムによって誘発されていることを解き明かし、追い込まれてる人々が救済されるようなシステムを早急に作り出すべきだと解く。至極ごもっともだが、読んでいるうちに、救いのない(ように見える)現実に押しつぶされそうな気がして、絶望的な気分になった。これが日本の現実なのか!
 (自己チュー人間のせいで)追い込まれる人間が少なくとも自分の周辺で出てこないよう(万一そういうことがあれば早期に発見できるよう)自己防衛するしかないなと思った。

★★★
by chikurinken | 2009-10-26 10:16 |

『カナダ いじめ撲滅プロジェクトの1年』(ドキュメンタリー)

カナダ いじめ撲滅プロジェクトの1年
(2002年・カナダ The National Film Board of Canada)
NHK-BS1

b0189364_20192390.jpg カナダのミドルトンにあるアナポリスイースト小学校におけるいじめ撲滅の取り組みを1年に渡って追ったドキュメンタリー。
 アナポリスイースト小学校は、教職員生徒を合わせると800人を超すマンモス校で、顕在化したいじめに対抗するため、教師、地域をあげて、これに対処するプログラムを取り入れた。怒りをコントロールする方法を子どもに教えたり、荒れる子どもを一時的に隔離して話をしたりするなどの取り組みにより、いじめを年々減らすことができた。とは言え、やはり子供間の暴力は依然として存在する上(減少を続けていたが撮影の年に増加に転じた)、地域とも摩擦が生じたりするなど、問題が100%解決したわけではない。それでも、学校と地域が本気で取り組むことによって、こうした問題のコントロールにある程度成功している。
 いじめに対する処方箋がここにある……とは言えないが、いじめに対する一つの取り組みがここに示されている。ここから何を学習するかは、見る側の意識次第ということになるだろう。
 このドキュメンタリーでは、学校の日常がカメラで淡々と追いかけられるためこういう問題を身近なものとして感じることができるが、ドキュメンタリーとしては少しインパクトに欠けるきらいもある。
★★★

参考:
竹林軒出張所『いじめを語ろう 〜カナダ ある学校の試み〜(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『いじめの果てに(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『追いつめられて 〜アメリカ いじめの実態〜(ドキュメンタリー)』
by chikurinken | 2009-10-25 20:22 | ドキュメンタリー

胴上げは……ヨイ

b0189364_18275678.jpg 引き際っていうのは大事だね……胴上げを見ながら思ったよ。両チームの選手達が最後に胴上げしてくれるなんて、これ以上ない終わり方ではないか。
 岩隈は、第2戦の汚名をそそぐことはできなかったが、まだまだ現役生活は続くので、この口惜しさを糧にすれば、いずれこれをはらす日がくるだろう。
 このシリーズについて言えば、初戦の9回裏の攻撃がすべてだった。あんな大逆転劇は、どのチームでも1年に1回あるかないかで、それがいきなりってんだから、あちらにツキがあったんだろう。実力があったことは言うまでもないが、なにしろ、楽天球団はゴタゴタが多すぎた。土壇場でこんなにゴタゴタしてるようでは、ちょっとね……。というわけで、野村監督の引退とともに、僕のプロ野球観戦は無期限休止ということになりました。今後、なんか面白いネタが出てきたら、また見始めるかも知れない。Jリーグのヴェルディみたいに、傲慢な企業が経営から手を引くとかになれば面白くなるかな〜などとも思う。
 まあ、野球ばかり見てると時間ばかりやけに無駄遣いするんで、長い目で見れば助かるんだが。
(写真はnikkansports.comより勝手に拝借)

by chikurinken | 2009-10-24 18:31 | 社会

ホームページ更新しました

 ホームページを模様替えして、更新しました。おかげで今日は濃密な一日を送ることができました。
 お時間がある方はお立ち寄りくださいませ。

 竹林軒ネット
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by chikurinken | 2009-10-23 20:08 | 日常雑記

『太宰治物語』(ドラマ)

b0189364_19565632.jpg太宰治物語(2005年・ドリマックス・テレビジョン、TBS)
監督:平野俊一
脚本:田中晶子
出演:豊川悦司、寺島しのぶ、菅野美穂、池内博之、伊藤歩、橋爪功

 『冬の花火』と同じTBSが、『冬の花火』から25年後に同じ題材で作ったドラマなんで、当然両者を比較することになるが、正直言って比較の対象にならない。同じ題材であってもこうもつまらないと、やはり要は見せ方ということになるんだろう。
 太宰の扱い方ひとつ取っても、単に「女たらし」、「女の敵」というレベルの解釈ではまったくもって新鮮味もなければリアリティもない。『冬の花火』では、太宰は「誰かに頼らなければ生きていけない弱い人間」という解釈で、新鮮味もリアリティもある上、ドラマの展開とも整合性がとれていた。そういう点でも優れたドラマだったと言える。
 また、セットなども嘘臭くて安っぽくまったくリアリティがない。キャスティングも問題外、演技も光るところはまったくない。
 ドラマ単体としても展開がダラダラとしており、最初の10分で飽きが来た。この企画は実質的にはリメイクの類だったんだろうが、こういうリメイクだったらやらない方がいいんじゃないかと思う。残念ながら昨今のドラマのリメイクはこんなレベルなんだが。
★★☆

参考:
竹林軒出張所『富嶽百景・走れメロス 他八篇(本)』
竹林軒出張所『冬の花火 わたしの太宰治 (1)〜(13)(ドラマ)』
竹林軒出張所『青空文庫の「ヴィヨンの妻」を読む』
竹林軒出張所『女性操縦法 “グッドバイ”より(映画)』
竹林軒出張所『ヴィヨンの妻 桜桃とタンポポ(映画)』
竹林軒出張所『漱石悶々(ドラマ)』
by chikurinken | 2009-10-22 19:58 | ドラマ

オバカ記念日

b0189364_17355532.jpg ちょっとガックリ来ることがあって、ふぬけ状態になっている。
 要は、シェアウェアのソフトを買ったんだが、いろいろ手違いがあって、結局30ドル損をしたということ。
 いろいろな手違いの過程でこちらが必要以上にパニックに陥ってせっかちになったため、余計な支払いをしてしまったのだ。100%自分のせいで、もはや取り返しがつかないので、あきらめるしかない。ま、一時的に傷つけられたプライドは元に戻ったことだし、これで納得すべきなんだが、なかなか切り替えができない。
 もうっ、オレのバカバカッ!
 本当は俵万智のことなんか書こうと思っていたんだが元気がないのでまた今度。
 そうそう、ちなみに昨日書いた「原発があぶないのというドキュがあり……」云々の短歌 (?) の本歌は、俵万智の
  愛人でいいのと歌う歌手がいて言ってくれるじゃないのと思う
  (『サラダ記念日』より)
です。
 俵万智……良いね。歌に奥深さがあって、若い女性の内面がパァーッと広がって見えてくる。
 まだ僕が学生のとき、当時話題になっていた『サラダ記念日』を初めて本屋で手にして衝撃を受け、すぐにレジに持って行ったことがあります。結局2冊買って、ある人の誕生日に1冊プレゼントしました。そのとき、裏表紙に
  この本が良いねと君が言ったから九月○日は『サラダ記念日』記念日
と書いて渡しました。その人はケラケラと笑ってくれました……今となっては良い想い出です。
 あ、ちなみにこの短歌 (?) の本歌は、俵万智の
  「この味がいいね」と君が言ったから七月六日はサラダ記念日
  (『サラダ記念日』より)
 です。
 考えてみると、やってることが今と変わらないではないか……。成長のあとが見られませんな。いつまでも成長できないと、また30ドル損することになるぞ……と自分を叱咤して、と。
 などといろいろ書いているうちに、結局、俵万智のことも書いちゃった。書いているうちに元気が出たせいか。よし、切り替え、切り替え。

  クレームを入れて結局損をして 10月21日はオバカ記念日……お粗末。

参考:
竹林軒出張所『短歌をよむ(本)』
竹林軒出張所『たんぽぽの日々(本)』
竹林軒出張所『生まれてバンザイ(本)』
竹林軒出張所『ちいさな言葉(本)』

by chikurinken | 2009-10-21 17:51 | 日常雑記