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竹林軒出張所

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カテゴリ:音楽( 74 )

朝倉理恵ファンがいるかは知らんがやっぱり『ひとさし指』が出た

注:あらかじめ、竹林軒出張所『朝倉理恵について私が知っている二、三の事柄』竹林軒出張所『朝倉理恵ファンに朗報! 『誰のために愛するか』が出た』竹林軒出張所『朝倉理恵ファンに重ねて朗報! 「あの場所から」が出た』を読んでおくと、この記事の内容がわかりやすくなります。

b0189364_6552547.jpg やっぱり出ました、『ひとさし指』! 前に『朝倉理恵ファンに重ねて朗報! 「あの場所から」が出た』のところで「残りのサード・アルバム『ひとさし指』もいずれ発売のはこびになるんじゃないかという気がする。」と書いたが、あれから約4カ月でやはり「発売のはこび」になった。何の話かというと、興味のない人にはまったくどうでも良い話だろうが、70年代のアイドル歌手、朝倉理恵のサードアルバムが復刻発売になったという話である。例によって、ソニーのオーダーメイドファクトリーから。このアルバム、他の2枚と違ってかつて一度CD化されたことがあったが、現在はとうに絶版。Amazonの中古売り場では、あほくさいことだが1万円以上の値がついている。朝倉理恵は現役時代アルバムを3枚発表していたため、これで完結ということになる。
 2010年にオーダーメイドファクトリーから『朝倉理恵 GOLDEN☆BEST limited』が出されてから5年かかったが、今回の発売で朝倉理恵名義の歌はほとんど網羅されたことになる。思えばあの『朝倉理恵 GOLDEN☆BEST』はなかなか選曲が多岐に渡っていて良かった。オリジナル・アルバムもそれぞれ良いが、最初の導入としてはやはりあのくらいまとまっていなければと思う。おかげで僕自身もアルバムを全部集めるまでになったが、それだけの価値はあると今となっても思う。特にカバー曲と坂田晃一の曲は出色であった。その点では2枚目のアルバム『誰のために愛するか』が一番完成度が高いのではないかと思う。
 この『ひとさし指』の曲については、ほとんどすべて聞いたことがあり内容も買う前の段階で概ね推測できるが、若干寄せ集め感がなきにしもあらず。
 1枚目はファースト・アルバムということで顔見せ的でありこちらも少々寄せ集め風。『誰のために愛するか』はコンセプト・アルバム風で、まとまりがあって坂田晃一の魅力も表現されている。とは言ってもそれぞれの楽曲、特にカバー曲はなかなかよくできているので、どのアルバムも悪くはない。それにオーダーメイドファクトリー版の『あの場所から』には、ボーナス曲として、聴くチャンスは皆無であろうという2曲(「草原の輝き」と「白いギター」)が収録されていてお買い得感があった。「草原の輝き」は軽めで独特だったが「白いギター」は良い雰囲気があった。ただこの曲が加わったんで、このアルバムはチェリッシュの曲が3曲になった。他はガロの曲が3曲、オリジナル6曲、その他2曲という構成である。ちょっと意図がわからないが結果オーライだ。
 オーダーメイドファクトリーは最近、商品化率(企画が実現する割合)が高いような気がするが、それだけ世間様に認知されてきたということなんだろうか。過去商品化に失敗した(企画が実現しなかった)アルバムももう一度出してみたら商品化できるんじゃないかと思う(『あの場所から』もその一例)。僕自身は、CD化(または再CD化)してほしいアルバムというのもあまりなくなってきた。それくらいここのところ過去のアルバムのCD化が増えているということで、タワーレコードなんかも、ローカル・ブランドとしてオリジナル再発みたいなことをやっている。こういうゲリラ販売的な流れは歓迎するところである。

参考:
竹林軒出張所『朝倉理恵について私が知っている二、三の事柄』
竹林軒出張所『朝倉理恵ファンに朗報! 『誰のために愛するか』が出た』
竹林軒出張所『朝倉理恵ファンに重ねて朗報! 「あの場所から」が出た』
竹林軒出張所『讃岐裕子、キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!』
竹林軒出張所『ゆけゆけ裕子、どんとゆけ!』
竹林軒出張所『復刻終結宣言 またはメリー、メリー・ゴー・ラウンド』
竹林軒出張所『母をたずねて三千里 完結版(ドラマ)』

by chikurinken | 2015-10-10 06:56 | 音楽

ジュリはアイドル

浜田朱里『GOLDEN J-POP/THE BEST 浜田朱里』
1. さよなら好き
b0189364_8355569.jpg2. あなたに熱中
3. 青い花火
4. 青い嫉妬
5. 黒い瞳
6. 18カラットの涙
7. 夏の指定席
8. 芽ばえ
9. 想い出のセレナーデ
10. みずいろの手紙
11. 魔法の鏡
12. 何故に二人はここに
13. 夏を忘れた海
14. 時には母のない子のように
15. 旅立ち
16. 悲しみは駈け足でやってくる

 かつて浜田朱里という女性歌手がいて、僕も同時代なんで存在は知っていたが、歌はほとんど知らず。山口百恵が出演して人気が出ていたTBS金曜9時の大映ドラマ「赤い」シリーズ(『赤い魂』)に出ていたことは知っている。とにかく地味だったという印象しかない。顔も地味目だし何となく翳りを感じさせるしで、アイドルらしい華やかさはあまり感じない。何でも「ポスト百恵」として将来を嘱望されていたらしいが、この地位は結局、松田聖子がかっさらっていった。
 今回、カバー好きの僕の目に止まったのは、その浜田朱里の4枚目のアルバム『想い出のセレナーデ』で、例によってソニーのオーダーメイドファクトリーで目にしたのが最初である(オーダーメイドファクトリー『想い出のセレナーデ』参照)。このアルバム、10曲中8曲がカバーという、アイドルのアルバムとしてはかなり思い切った構成になっている。この頃発表された浜田朱里の7枚目のシングルが、カバー曲である「想い出のセレナーデ」だったため、こういう企画が出たんではないかと想像するが、それにしても……と思う。所属プロダクションおよびレコード会社は彼女にあまり期待しなくなっていたのだろうか。
 曲のラインアップは、

1. 想い出のセレナーデ(天地真理のカバー)
2. みずいろの手紙(あべ静江のカバー)
3. 魔法の鏡(荒井由実のカバー)
4. 何故に二人はここに(Kとブルンネンのカバー)
5. 夏を忘れた海(天地真理のカバー)
6. 時には母のない子のように(カルメン・マキのカバー)
7. 芽ばえ(麻丘めぐみのカバー)
8. 哀・私小説(8枚目のシングル『悲しみは駈け足でやってくる』のB面曲)
9. 旅立ち(松山千春のカバー)
10. さよなら好き(浜田朱里のデビュー・シングルA面曲)

b0189364_8364614.jpgというもの。実は8枚目のシングル曲『悲しみは駈け足でやってくる』もアン真理子が1969年に発表した曲のカバーである(この曲はこのアルバムには未収録)。カバーで通すんなら、いっそのことこのアルバムにも「悲しみは駈け足でやってくる」が入っていてしかるべきではないかと思うが入っていない(B面の曲は入っている)。デビュー曲が入っていたりもしているし、コンセプトが見えてこないアルバム、言い換えると製作者側の力が伝わってこないアルバムである。そういったことを考え合わせると駄作かと思うのが筋だが、実際聞いてみると1つ1つのカバー曲がどれもこれも素晴らしい出来映えなのである。
 まず「想い出のセレナーデ」で驚かされる。この歌は天地真理が歌ってヒットしたので、当時子どもだった僕でさえよく知っている歌なんだが、歌詞の内容についてはまったく意味がわからずにいた。今回浜田朱里の歌を聞いて別れた人を思う歌だったことがわかったのだった。振り返ってみると天地真理は朗々と歌うタイプであるため、内容がストレートに伝わってこなかったんだろうと思う。一方の浜田朱里の場合は、語るように歌うというか情感を込めて歌うので、しみじみと伝わってくる。2曲目の「みずいろの手紙」も同様で、あべ静江も「朗々型」であるため、雰囲気がまったく伝わってこなかったが、「情感型」の浜田版は心に染みてくる。
 「何故に二人はここに」と「旅立ち」については、元歌は個人的に少々気持ち悪さを感じていたのが、浜田朱里の歌の場合、せつなさが伝わってきて良い。3曲目の「魔法の鏡」は、ユーミンのオリジナルとほとんど同じような編曲でありながら、ユーミン版と違って「女の子っぽさ」が伝わってきてこれも魅力的。「時には母のない子のように」の編曲もオリジナル版に近い。全体的に編曲が非常に優れているのもこのアルバムのポイントである(カバー曲の編曲はすべて若草恵という編曲家が担当)。例外は「芽ばえ」で、ややアップテンポで妙に明るい編曲になっているのがマイナスである。元歌の情感が欠如していて、浜田朱里の歌唱がまったく活かされていないのが残念。
 ともかく、浜田朱里がどの歌も自家薬籠中のものにしているという印象があって、まさに古い曲の再発見になっている点を大いに評価したい。といってもこのアルバム自体1982年発表のもので古いアルバムであるのは間違いない。ま、僕にとっては意外な発見だったわけだ。もっとカバー曲を出してくれていたら良かったのにと今さらながら思うのである。
 なお、今回僕が買ったのは『想い出のセレナーデ』ではなく、冒頭に紹介した『GOLDEN J-POP/THE BEST 浜田朱里』である。『GOLDEN J-POP』には、『想い出のセレナーデ』のほとんどの曲が収録されており(「哀・私小説」以外すべて)、しかも『GOLDEN J-POP』には「悲しみは駈け足でやってくる」まで入っているのでお買い得感が高い(他にシングル曲も6曲付属)。ただこのベスト・アルバム自体もなんだかやっつけ仕事みたいでコンセプトが見えてこない。普通ベスト盤だったら、シングル盤のA面曲を集めるとかしそうなもんだが、ほとんどが『想い出のセレナーデ』からの抜粋になっている。このベスト盤を企画した人が、この『想い出のセレナーデ』が最高傑作だと信じてこういうラインアップにしたというのであれば、その先見の明を称賛したいところではある。で、『GOLDEN J-POP』であるが、Amazonでは現在中古品がアホみたいに高価な値段で売られているので、興味のある方は『GOLDEN J-POP』の方ではなく、オーダーメイド・ファクトリーで復刻版をお求めになる方が良いのではと個人的には思う。こちらも少々高価ではあるが定価であるため、ぼられた感は少ないと思う。

参考:
竹林軒出張所『カバー曲にまつわるあれこれ』
竹林軒出張所『讃岐裕子の「ハロー・グッバイ」』
竹林軒出張所『山崎ハコ「十八番」(CD)』
竹林軒出張所『遊佐未森「スヰート檸檬」(CD)』
竹林軒出張所『朝倉理恵ファンに重ねて朗報! 「あの場所から」が出た』
by chikurinken | 2015-09-20 08:38 | 音楽

朝倉理恵ファンに重ねて朗報! 『あの場所から』が出た

注:あらかじめ、竹林軒出張所『朝倉理恵について私が知っている二、三の事柄』竹林軒出張所『朝倉理恵ファンに朗報! 『誰のために愛するか』が出た』を読んでおくと、この記事の内容がわかりやすくなります。

b0189364_8415244.jpg またまた、ソニーのオーダーメイドファクトリーおよび朝倉理恵の話で恐縮です。
 以前、竹林軒出張所『朝倉理恵ファンに朗報! 「誰のために愛するか」が出た』の項で
規定数に達しないで復刻できなかったファースト・アルバム『あの場所から』やサード・アルバム『ひとさし指』も出たらすぐに予約が殺到するんじゃないかという気がする。
と書いたんだが、案の定、『あの場所から』がオーダーメイドファクトリーに登場し、商品化が決定していた。「決定していた」と書いたのは、今回も製品化されるまで気が付かなくて、1週間ぶりくらいにオーダーメイドファクトリーの「商品化決定」ページを覗いたら、すでに決定アルバムとして入っていたため。前の『誰のために愛するか』と同じパターンである。あやうく見過ごすところだった。
 今回もおそらく「予約」がすぐに規定数に達したんじゃないかと思われる。なにしろ、オーダーメイドファクトリーをちょくちょく覗いている僕でさえ気が付かなかったわけだから。『あの場所から』については、以前もここに商品化候補として挙がって、結局規定の予約数に達しなかったといういきさつがあったんで、今回のあまりの速さには驚きである。もちろん今回も即購入である。このCDであるが、しばらくは「購入可能」のようだ。ちなみに前に出た『誰のために愛するか』もまだまだ購入可能である。Amazonで同じ中古CDが高値で売られているが、オーダーメイドファクトリーは定価販売だし、当然だがこちらで買う方がリーゾナブルである。ここで定価で仕入れたCDをあちらで高値で売る商売ってどうよと思うが。商売人としての矜持なんてものはないのかね。
 なお『あの場所から』は朝倉理恵のデビュー・アルバムで、アイドル・デビューした年に発表された。デビューしてまもなくというタイミングだったから、当時のアイドル歌手の慣例どおりというか、カバー曲をたくさん集めてお茶を濁すというような売り方だった。だがカバー曲とはいっても、朝倉理恵の場合はかなりの歌唱力があるため、なかなか聴かせる(このアルバムの何曲かはYouTubeなどで聴くことができる)。オリジナル12曲中3曲がガロの歌ってのは、歌手自身の好みか。今回は「草原の輝き」と「白いギター」がボーナストラックで追加されるというんで、こちらも楽しみ。この感じだと、残りのサード・アルバム『ひとさし指』もいずれ発売のはこびになるんじゃないかという気がする。『ひとさし指』も現在中古CDが不当なほどの高値で売られているが、あんなの絶対に買わないからねー。いずれオーダーメイドファクトリーで出てきて売値が下がってきたら「ザマミロ」くらいのことは思ってやりたいと思っている。

参考:
竹林軒出張所『朝倉理恵ファンに朗報! 「誰のために愛するか」が出た』
竹林軒出張所『朝倉理恵について私が知っている二、三の事柄』
竹林軒出張所『讃岐裕子、キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!』
by chikurinken | 2015-06-12 08:49 | 音楽

森田つぐみ『愛のスケッチブック+3』(CD)

森田つぐみ『愛のスケッチブック+3』
b0189364_854917.jpg1. 少女期
2. 心の似顔絵
3. おろしたての放課後
4. お嬢さんお手をどうぞ
5. ウィークエンド
6. さよならは似合わない
7. もうひとつの時間割り
8. 恋の伝言板
9. 風の匂い
10. シャボン玉
<ボーナストラック>
11. めざめる頃
12. 恋して海岸通り
13. 冬の哲学

 永らくお待ちしておりました。
 森田つぐみのアルバム『愛のスケッチブック』が3日前に発売になり、とうとう入手することができた。思えばこのアルバムの復刻を望み、ソニーのオーダーメイドファクトリーにリクエストしたりして、しかもそのたびに無視され続け、結局待つこと5年。アルバムの発売が判明したのが数カ月前。やっと!という思いで8月に予約を入れ、2日前に手にしたという次第。
 あらためて言うのも何だが、森田つぐみは1976年にデビューしたアイドル歌手である。このブログでも以前書いたので、詳しくはそちらを見ていただくとして(竹林軒出張所『おとこごころをくすぐる歌』竹林軒出張所『森田つぐみ登場!』)、彼女の歌手としての活動期間は実質1年で、その後はバラエティ番組のアシスタント司会をやったり、NHKで歌のお姉さんみたいなこともやったりしたらしい。そのため、歌手としての活動で残っているものは76年に発表されたシングル・レコード3枚とアルバム1枚のみで、残された楽曲は全部で13曲ということになる。このあたり、同時期にデビューして消えていった三木聖子とまったく同じ境遇である(詳細については竹林軒『あるアイドル歌手の全記録「ベスト/三木聖子」』)。
 三木聖子もこの森田つぐみも、今聞くととても可能性を感じさせる歌手なんだが、時代との相性に難があったのか、二人とも1年で歌手活動を辞めている。なんとももったいない話である。そう言えば三木聖子だが、上記の記事を書いたときは消息を知らなかったが、その後判明したところによると、なんでも引退のきっかけは結婚だったそうで、言ってみれば寿退社ということになる。相手は音楽プロデューサーだかなんだかで、ステージの企画をやる人だったと思うが、三木聖子も引退後、彼の仕事を手伝っていたということで、そうすると「事務員になっていた」という噂もまんざらデタラメではなかったわけだ。YouTubeにも以前、三木聖子が出演したバラエティ番組(「あの人は今」みたいな企画)がアップロードされていて、その時点で仙台在住で夫の仕事の手伝いをしているというところまではわかっていた。で、先週『爆報! THEフライデー』とかいうTBSの番組に、現在の三木聖子の消息が出ていて、それによると現在も仙台在住で、スナックの経営までやっているということがわかった。しかも、その番組では、店で「まちぶせ」を歌っている映像まで流されていた。これはもちろんテレビ用の企画だろうが、普段は歌わない……というか歌えないんだそうだ。もう声が出ないという話だ(もっともこの番組で放送された「まちぶせ」はある程度しっかり声が出ていたが)。それからこの番組では、三木聖子の体験をユーミンが歌にしたものが「まちぶせ」だというエピソードも披露されていた。道理で三木聖子版の「まちぶせ」に鬼気迫る迫力があるわけだ……と妙に納得したのだった。
 それはさておき、森田つぐみだ。森田つぐみも随分消息がわからなかったんだが、今はWikipediaに「森田つぐみ」という項目があって、それによると、西宮のカフェバーで店長を務めていて、ときどきピアノも弾いているらしい。お元気そうで何よりである。(このCDのライナーによると)元々ピアノで音大を志していたこともあるらしいんで、今は楽しみながら仕事なさっているんではないかと推測される。
b0189364_861370.jpg このCDには、オリジナルの『愛のスケッチブック』全曲プラス3曲が収録されているが、特にボーナストラックの「冬の哲学」と「恋して海岸通り」がお奨めである。「冬の哲学」は、TBS系列で放送されていた『笑って!笑って!!60分』の番組内コーナー「続・哀愁学園」の主題歌だそうだ(まったく記憶にない)が、シナリオライターの佐々木守が詞を書いており、「死んだ赤とんぼを見つけたわ今朝も」で始まる詞がなかなか深い。服部克久の曲も詞によく合っている。もう1つの「恋して海岸通り」は、アップテンポでノリがとても良い曲である。メロディラインも面白いが、どこかで聞いたことがあるような……と考えていたところ、山内賢と和泉雅子が歌ってヒットした「二人の銀座」に前半部がよく似ている。そのためか、どこかベンチャーズ歌謡風のノリの良さがある。あ、「二人の銀座」の作曲はベンチャーズなのね。「恋して海岸通り」には、それに加えアイドル歌謡風の味も含まれていて、それがまた良い。
 このCDがどれだけ売れるかはわからないが、たとえあまり売れなくても、販売元はこれに懲りて同じような企画から手を引いたりしないでもらいたいと思う。こういう企画は、たとえ売れないにしてもアーカイブ、資料という観点から見てとっても大切なのだ。ちなみにこのCDを販売するという大英断を下したのはウルトラ・ヴァイヴという会社である。感謝感謝。

参考:
竹林軒出張所『おとこごころをくすぐる歌』
竹林軒出張所『森田つぐみ登場!』
竹林軒『あるアイドル歌手の全記録「ベスト/三木聖子」』
by chikurinken | 2014-09-20 08:07 | 音楽

朝倉理恵ファンに朗報! 『誰のために愛するか』が出た

注:あらかじめ、竹林軒出張所『朝倉理恵について私が知っている二、三の事柄』を読んでおくと、この記事の内容がわかりやすくなります。

b0189364_1981878.jpg いやぁ、ビックリした。
 ソニーのオーダーメイドファクトリーを久しぶり(といっても1週間ぶりぐらい)に覗いたら、朝倉理恵のアルバム『誰のために愛するか』が復刻候補に上がっていた。しかもすでに100%の予約を獲得して「製品化決定」ということになっている(オーダーメイドファクトリーの詳細については(竹林軒出張所『讃岐裕子、キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!』を参照されたい)。ということは、このサイトを覗いていなければ、知らないうちに発売決定になっていて、知らないうちに販売が終わっていたということになっていたわけだ。あやうく見逃すところだった。もちろん、ソッコーで予約しました。しかもこの『誰のために愛するか』というアルバム、ほぼ全曲、坂田晃一作曲(「あなた」は編曲のみ)と来ている(坂田晃一については竹林軒出張所『さよならの夏 〜それはルフラン 頭の中で響くの〜』参照)。いやが上にも期待を持たせる。とは言っても、このアルバムに入っている曲の半分以上はすでにうちのiTunesに入っていて、それほど目新しさはないんだ、実のところ。
 しかしさすがに今回は規定数に達するのが早すぎる。おそらく2、3日で100%達成ということになったんだろうが、やはり以前『朝倉理恵 GOLDEN☆BEST limited』というアルバムが復刻されたために、朝倉理恵のアルバムを待ち望む層がこのサイトに頻繁に立ち寄っているせいなんだろうな……などと勝手に推測したりする。この感じだと、以前、規定数に達しないで復刻できなかったファースト・アルバム『あの場所から』やサード・アルバム『ひとさし指』も出たらすぐに予約が殺到するんじゃないかという気がする。オーダーメイドファクトリーよ、2匹目のドジョウを狙って、是非こういったアルバムも出してくれ。もっともあんまり立て続けに出してもらっても、買い続けられるかはわからないところだが。

参考:
竹林軒出張所『朝倉理恵について私が知っている二、三の事柄』
竹林軒出張所『朝倉理恵ファンに重ねて朗報! 「あの場所から」が出た』
竹林軒出張所『讃岐裕子、キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!』
竹林軒出張所『さよならの夏 〜それはルフラン 頭の中で響くの〜』
by chikurinken | 2014-09-09 07:34 | 音楽

そうだっ、別れの歌を聴こう!

 卒業の季節ですな。卒業といえば思い出す歌がいろいろあるもので、それぞれの世代で思い出す歌は違うんでしょうが、僕なんかは世代的に沢田聖子とか斉藤由貴とかになるわけです。
b0189364_826417.jpg 卒業式で歌う歌なんかも世代ごとに違っているみたいで、僕の時代は小学校では「別れの歌」、中学校では「巣立ちの歌」を歌いました。在校生として卒業式に出たときは、どちらもかっこいい歌だなと思いながら聞いていたものですが、あの「呼びかけ」ってやつは子ども心に一体何なんだと思ったものです。気恥ずかしいったらありゃしない。なんでもいまだにやっているようで、ああ言うのが好きな人が多いんでしょうか、僕にはもう一つ理解できないところです。卒業式ももう少しさらりとやってのけたら良さそうなものなのにと思うんですがね。それに、バカバカしいとは思いつつも「呼びかけ」の内容を40年近く経った今でも結構憶えているってんだから始末に悪いじゃありませんか。ちなみに僕の小学校ではこんな感じでした。

ある生徒:そうだっ、六カ年の思い出と感謝を胸に別れの歌を歌おう!
(「別れの歌」のピアノのイントロが入る)
全員の合唱:「たぁ〜のぉ〜しく、すぅ〜ぎぃ〜た、ろぉくね〜んのぉ〜……」

 「そうだっ」なんて白々しすぎるぞっ。
 まあ「呼びかけ」はともかく「別れの歌」の方は懐かしくて、ちょっと聞いてみたいものであることよなあと思っていたんですが、CDなんかも当然のように出ていなくて残念至極な日々を送っていたわけですね。ところがそこはネット社会、よくしたもので、案の定見つかりました、YouTubeに。しかも初音ミクが歌ってる!(というより「歌わせてる」……)
YouTube『【別れの歌】〜(昔の)卒業式の歌を〜 【初音ミク】』

 それから、中学の卒業式で歌った「巣立ちの歌」もありました。
YouTube『巣立ちの歌』

 「巣立ちの歌」の歌詞はこんな感じ。

巣立ちの歌

作詞:村野四郎
作曲:岩河三郎

b0189364_8262435.jpg花の色 雲の影
懐かしい あの想い出
過ぎし日の 窓に残して
巣立ちゆく 今日の別れ
いざさらば さらば先生
いざさらば さらば友よ
美しい 明日の日のため

風の日も 雨の日も
励みきし 学びの庭
かの教え 胸に抱きて
巣立ちゆく 今日の別れ
いざさらば さらば先生
いざさらば さらば友よ
輝かしい 明日の日のため

 初めて気が付いたけど五七調だったんですね。お見事。
 なおこちらの歌はCDで聞くこともできます。『あの日教室で歌った 思い出の合唱曲』ってのがそれで、このCD、他にも懐かしい合唱曲が満載です。文化祭で歌った「モルダウの流れ」と「気球にのってどこまでも」が個人的には懐かしさ充填100%ですね。一番うれしいのはシューマンの「流浪の民」が日本語版で入っていたことで、この日本語版「流浪の民」、意外なことにクラシックのCDにもあまり見つからないんですね。そういうわけで僕としては久々のヒットCDでした(「巣立ちの歌」については他のCDもあります)。
by chikurinken | 2013-03-12 08:28 | 音楽

ジャズの輸入DVD続編

b0189364_849265.jpg 竹林軒出張所『輸入DVDもプチ・ウラシマ』の続編と考えていただければ結構。
 あの後、ジャズの廉価版DVDを何枚か買った。金銭的に余裕があったわけではないが、この機会を逃すと二度と手に入らないかも……と思うと、やはり欲しいものは買っておくべきという結論に達して、かなり奮発して数枚買ったのだった。
 今回買ったのは、前回買ったジョン・コルトレーンのものと同じJazz Iconsシリーズのものが3枚とStars of Jazzというシリーズのものが2枚。いくつかは中古で安いものがあったのでそちらを購入。Jazz Iconsシリーズは、ソニー・ロリンズオスカー・ピーターソンアート・ブレイキー、Stars of Jazzシリーズはマイルス・デイヴィスディジー・ガレスピー。その他にJazz Iconsシリーズのカウント・ベイシーのやつが以前CS(『ミュージックエア』というチャンネル)で放送されており、それを録画したものがあったので、そちらも試聴。ということで全部で6種類のタイトルを見ることができたことになる。
 結論から言うと、Jazz Iconsシリーズはどれも外れがなく、質が高い。Stars of Jazzシリーズの方はまずまずといったところ。特にオスカー・ピーターソンのものは、スタジオ・ライブ、ナイトクラブでのライブ、ホールでのライブの3部構成で、中でもクラブでのライブは周りを聴衆が取り囲んだ状態で演奏するというもので雰囲気バッチリである。「On Green Dolphin Street」、「Bags' Groove」、「C-Jam Blues」といったいかにものナンバーが並び、最後に「Hymn to Freedom(自由への讃歌)」で終わる。最後の盛り上がりはこれぞオスカー・ピーターソンというもので、まったく申し分ない。ただし「Hymn to Freedom」の最後の最後で音が少し変になる(マイクに何かがぶつかったような音が入る)んだが、それが唯一の難点である。しかしそれでも満足度は高い。すべてのライブを通じ、基本はレイ・ブラウン(b)、エド・シグペン(ds)とのトリオで、スタジオ・ライブとホール・ライブではゲストみたいな感じでトランペットが入る(ロイ・エルドリッジとクラーク・テリー)。いろいろなパターンのオスカー・ピーターソン・トリオが楽しめる趣向になっていて贅沢この上ない。
b0189364_1247484.jpg アート・ブレイキーとカウント・ベイシーはどちらもホールでのライブである。ホールでのライブだけに少し興が醒めるが、アート・ブレイキーの方は1958年のライブ、つまり『Moanin'』の頃で、メンツもリー・モーガン、ベニー・ゴルソン、ボビー・ティモンズと超豪華。ホール・ライブだが演奏は一級品である。カウント・ベイシーの方もビッグ・バンドだが手堅い印象でソツがない。

 で、今、確認のために先述の『ミュージックエア』のホームページを見たんだが、12月にこのJazz Iconsシリーズが「人生で一度は聴かなきゃいけないJAZZ」というタイトルで放送されるようで(『ミュージックエア』ホームページ参照)、僕が買ったソニー・ロリンズ、オスカー・ピーターソン、ジョン・コルトレーンの他、多数のアーチスト(キャノンボール・アダレイ、ローランド・カーク、デューク・エリントン、ライオネル・ハンプトン、ウエス・モンゴメリー、サラ・ヴォーン、エラ・フィッツジェラルド、デイヴ・ブルーベック、デクスター・ゴードン、ビル・エヴァンス、ニーナ・シモン)のものも予定に入っている。てことは、DVDを買わなくても、このチャンネルと契約すれば見れたということになるのか。もちろん、見ていないものもたくさんあるわけで、今から申し込んでも損はないわけだが……。ちなみに1カ月630円。少し早まったという後悔の念がふつふつと湧いてくる。

参考:
竹林軒出張所『輸入DVDもプチ・ウラシマ』
by chikurinken | 2012-12-12 08:50 | 音楽

輸入DVDもプチ・ウラシマ

b0189364_820267.jpg 以前、輸入盤のCDの値段がえらいことになっているとこのブログで書いたが(竹林軒出張所『輸入CDはウラシマ状態』参照)、その現象はCDだけにとどまらなかった。最近気がついたんだが、ジャズの巨匠たちの(秘蔵)DVDが軒並み1700円前後で売られている。『Jazz Icon』というシリーズがそれで、今のところ23タイトルあるらしい。ほとんどがヨーロッパ・ライブの映像で、現地の放送局が収録していたビデオ映像が最近になって発掘されたため、それがDVDとしてリリースされたという、そういういきさつのようだ。それにしても値段が破格で、今までの相場だと国内盤が4000〜5000円、輸入盤が3000〜5000円という感覚なんだが、国内CD並みの1700円というのは驚きである(映画は廉価ものもありますがね)。あるいはアメリカやヨーロッパではこれが普通の感覚かも知れない。それにジャズの巨人たちの映像は意外に残っていないもので、かつて、大勢のジャズメンの秘蔵映像を集めた映画を劇場まで見に行ったことさえあるくらいで、それくらい目にすることはなかった。特に60年代以前に死去した人々についてはそうである。当時のジャズの社会的地位なんかと関係しているのかも知れない。
 で今回、例によって、試しに1枚買ってみたんである、ジョン・コルトレーンのものを。ヨーロッパ・ツアーの映像ということで、ホールの舞台で演奏しているのであれば少し興ざめではあるが、演奏するコルトレーンの映像自体が少ないし、値段も安いんで、多少はずれでもかまわないと思っていたわけだ。だが実際、蓋を開けてみると、舞台以外の演奏もある上、トータル1時間半以上の映像が収録されていて、満足度は非常に高い。何より、コレハコレハ……という驚きの映像もあった。
 このDVDの構成は、1960年3月28日の西ドイツ、デュッセルドルフでのスタジオ・ライブ、1961年12月4日の西ドイツ、バーデンバーデンでのスタジオ・ライブ、1965年8月1日のベルギー、リエージュでのコンサート映像の3部構成になっている。60年が5曲、61年が3曲、65年が3曲だが、65年の「My Favorite Things」が20分以上の長い演奏という具合で、演奏時間にあまりばらつきはない。60年の演奏はマイルス・デイヴィス・クインテットからマイルス・デイヴィスを抜いたメンツ、61年と65年は、コルトレーン・カルテットのメンツ(マッコイ・タイナー、エルヴィン・ジョーンズら)である。
b0189364_823373.jpg さて60年の演奏だが、ライナー・ノートによると、「JATPヨーロッパ・ツアー」で渡欧したジャズメンをテレビ収録にかり出したものだったらしい。実際映像を見ると、マイルス抜きのマイルス・クインテット、つまりサックスのコルトレーン、ピアノのウィントン・ケリー、ベースのポール・チェンバース、ドラムのジミー・コブの演奏が始まる。このメンツもすごいが演奏も素晴らしい。ところがその後、「Moonlight in Vermont」(DVDの4曲目にあたる)の演奏が始まると、突如スタン・ゲッツが参加してくる。さらにその次の「Hackensack」になると、今度はウィントン・ケリーに代わってオスカー・ピーターソンがピアノを担当するという、コルトレーン、スタン・ゲッツ、オスカー・ピーターソンの夢の共演が実現するのだった。おそらくコルトレーンとスタン・ゲッツの共演は、CDでも出ていないんじゃないかと思う。非常に貴重な演奏が映像で楽しめ、これだけで十分元が取れるというものである。
b0189364_8234849.jpg なぜこういった奇妙なセッションが実現したか、その事情がライナー・ノートに書かれていた。当初、テレビ収録には、このJATPツアーに参加したマイルス・デイヴィス・クインテット、スタン・ゲッツ・カルテット、オスカー・ピーターソン・トリオが出演して、3番組収録する予定だったが、マイルス・デイヴィスが「オレはやらない」と言い出したという。JATPのプロデューサー、ノーマン・グランツは、テレビ関係者に、収録を中止することもできるがこういうのはどうだろうと言って、スタン・ゲッツ・カルテット、オスカー・ピーターソン・トリオの収録以外に、マイルス抜きでマイルス・クインテット(実態はカルテットだが)の演奏をやり、ゲッツとピーターソンをゲスト出演させる企画を持ち出した。テレビ関係者は、3番組撮れればOKということで結局この企画が実現した……ということらしい。スタジオ内のライブであるため、臨場感があって映像としても上質のものである。なお、曲の最後に拍手が入るが、これは現場にいた人々の拍手ではなく、後で重ねたもの(ライナーによる)。
 61年のスタジオ・ライブも同じく臨場感があり、ガレージみたいなセットがしつらえられていて、面白い映像になっている。ちなみにここで演奏される2曲「My Favorite Things」と「Impressions」はエリック・ドルフィーが参加しているもので、既発売のDVD『ジョン・コルトレーンの世界』に収録されているセッションと同じものである。
 最後の65年のコンサート・ライブは、大ホールで行われたセッションの記録映像だが、コルトレーンが無茶苦茶吹きまくる演奏で、ものすごく熱いライブになっている。1966年の日本ツアーもこんな感じだったんじゃないかという演奏で、そういう意味でも非常に貴重。
 このように、どの演奏もまったく外れがない、これで1700円はお買い得! どうです、奥さん! というようなDVDであった。満足度100%である。そういうわけで、このシリーズの他のタイトルも今後いくつか買うかも知れない。
あえて、★★★★

参考:
竹林軒出張所『輸入CDはウラシマ状態』
竹林軒出張所『ジャズの輸入DVD続編』
by chikurinken | 2012-11-17 08:24 | 音楽

ナマ冨田勲が出た!

b0189364_1259732.jpg 先日いつものように『タモリ倶楽部』を見ていると、なんとあの(!)巨匠、冨田勲が登場。
 テーマは「温故知新シリーズ (1)」ってことで、古いシンセサイザ、MOOGIII-Cを使って音を出してみようという企画である。そもそもこのシンセサイザを日本で最初に購入したのが冨田勲だそうで、MOOGIII-Cを使うという企画であればこの人以上に適任な人はいないんだろうが、それにしてもよくこんな番組に出てきたなと思う。ちなみに冨田勲以外に、弟子の松武秀樹って人(僕は全然知らなかったがエライ人らしい)も登場したが、実際に音出しするのはこの人がほとんどだった。
 さて、この『タモリ倶楽部』、レギュラー陣が進行途中に茶化したりするので、エライ人が出ると見ているこちらがヒヤヒヤするんだが、この回はそういう部分はあまりなく、滞りなく進行する。冨田勲がシンセサイザに魅せられたいきさつ(大阪万博のときに『スイッチト・オン・バッハ』というアルバムを聴いたのが始まりだそうで)や、当時1千万円でアメリカから個人輸入したという話(費用は借りたらしい)、輸入する際税関で1カ月足止めを喰らったという話も非常に興味深い(楽器であるということが理解されなかったそうだ)。さらに、手に入れたは良いが使い方がわからず、「大変な鉄クズをアメリカから買いこんじゃった」(本人談)と思ったという話も面白い。で、手に入れてから数年後1974年にアルバム『月の光』を発表するんだが、これがアメリカでヒットし、「シンセサイザの冨田勲」として知られるようになったんだそうだ。
b0189364_8232682.jpg 僕が個人的に冨田勲を知ったのは、『惑星』が最初で、当時中学生だった僕は小遣いをはたいてこのLPレコードを買ったが、シンセサイザ・アルバムとしてはすでに4作目だったそうである('77年発売)。冨田勲の作品は当時一般的にも人気があったようで、FMラジオでもときどき流れていたし、CMでも使われたりしていて、個人的にはそこそこ馴染みがあった。そういうわけで僕の中では永らく「冨田勲=シンセサイザ」だったんだが、その後、シンセサイザ以前にNHKのテレビ番組のテーマ曲をたくさん書いているということを知ることになった。あの『新日本紀行』や『きょうの料理』のテーマまで冨田勲が書いていたというのもこのとき知ったのである。b0189364_8235214.jpg最近ではこういうのをまとめたアルバム『TOMITA ON NHK〜冨田勲 NHKテーマ音楽集』も出ていて、冨田の作品を回顧できるようになっている。あらためてこの人のすごさがわかるってもんである。
 さて、その冨田勲だが、この『タモリ倶楽部』で、このマシンを使ってどうやって『月の光』の音を作ったかまで細かく説明していて、正味15分弱のこの番組がものすごい密度で展開されていた。音作りの前段階のインタビューも非常に密度が濃く、1視聴者の僕は終始ワクワクしていたのだった。今回に限っては「空耳アワー」を省いてほしかったと思ったほどである。間違いなく僕にとっての『タモリ倶楽部』歴代ベスト3に入る名作だったと言ってよい。ちなみにこの放送、僕は数日前に見たが、東京では2週間前に放送されていたそうである。

参考:
竹林軒出張所『訪問インタビュー 冨田勲(ドキュメンタリー)』
Wikipedia「冨田勲」
竹林軒『マニアの集い タモリ倶楽部』
by chikurinken | 2012-09-24 08:25 | 音楽

チョピンとは俺のことかとショパン言い

 前にベートーヴェン全集のところ(竹林軒出張所『ベートーヴェンの使い回し』)で書いたが、ショパン全集が手元にある。いよいよこれを全部聴いてみたという話である。
b0189364_811787.jpg 別のところで書いたが、20年以上前にルービンシュタインのショパン全集(10枚組、全集と名うっているが室内楽や歌曲が入っておらず全集とは言えない)を買っているので、ショパンのCDについては手持ちのものが結構ある。ルービンシュタインをはじめさまざまな演奏家のものをすでにiTunesに登録しているため、今回はそれ以外の楽曲を取り込んで聴いてみた。
 今回のショパン全集は、ドイツの名門音楽レーベル、グラモフォンによるもの(『Chopin Complete Edition』)であるため、演奏家もポリーニ、アルヘリッチなど錚々たる顔ぶれで、その点ではまったく不満はない。しかも英国の名門音楽レーベル、デッカから出ているアシュケナージの名盤も数枚収録されていて、この辺、グラモフォンとデッカとの間で何らかの交渉があったんだろうが、非常に贅沢である。おそらくグラモフォンの意向で、グラモフォンに足りない楽曲をデッカからレンタルして補ったんだろうと思う。なお前に書いたように、僕は3800円で売られていたときに輸入盤を買った。今は5000円くらいだが、17枚組であることを考えると、この値段でも十分お買い得であると言える。この企画は、ショパン生誕200年記念として2010年に発売されたアルバムで、日本版も出ている……ようだ(中身が同じかどうかは未確認)。
 内容はと言うと、ルービンシュタインのコレクションを持っていることもあり、楽曲の目新しさはあまりなかったが、それでも声楽曲や室内楽曲は珍しい。ショパンと言ったらピアノ曲しか知らなかったもので、それ以外のものは非常に新鮮である。といってもこういった曲にもピアノ・パートは入っているわけで、ピアノ抜きの曲は実は存在しないのだ、おそらく。さすがピアノの詩人! 演奏はどれも良く、今のところ物足りなさは感じていない。
 今回全集に触れてわかったのは、一般的に「第●番」という番号付きで呼ばれている曲(ワルツ、マズルカ、ポロネーズなど)は、元々その多くが2、3曲のセットで発表されているということである(前奏曲、練習曲は例外)。たとえばポロネーズ第1番と第2番は『2つのポロネーズ』として発表されている。この「第●番」というのはやはり後の人が付けたんだろうが、すべてが出版順というわけでもなく、これ自体にあまり意味がないんではないかということに気が付いた。ショパン自身は出版した作品に作品番号を付けているが、この作品番号にしても、ショパン死後、関係者が勝手に付けたものもある(作品66以降)らしく、少々ややこしい。ちなみにショパン自身は、(作品66以降を含む)未発表の作をすべて破棄してほしいと遺言したらしい。実際にはショパンの意向は尊重されなかったが、しかし作品番号の付いていない作品にも秀作があることを考えれば、結果的には良かったのかとも思う。
 それからもう一つわかったのはマズルカが異常に多いということで、全部で60曲近くある。ショパン自身、マズルカに思い入れがあったということなんだろうか。全集を聴いたといっても、実際のところはそういうことをつらつら考える程度なんだが、それでもやはり「全集は良い」と思う。ある作曲家の生涯の作品すべてに当たることができるわけで、贅沢きわまりない体験と言える。まあしかし、全集を聴いて、この程度の感想しか出てこないというのも少しみっともない気もする。

参考:
竹林軒出張所『ベートーヴェンの使い回し』
竹林軒出張所『輸入CDはウラシマ状態』

by chikurinken | 2012-07-31 08:04 | 音楽