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竹林軒出張所

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カテゴリ:放送( 10 )

孫にはやけに優しいがその実とんでもなく頑固な老職人を思わせるCM

 その昔『キンカン素人民謡名人戦』というテレビ番組が放送されていて、土曜日の午後の顔になっていたことを皆さんは知っておられるか。
b0189364_932846.jpg 僕がテレビでよく目にしていたのは1960年代後半から70年代までだったが、実際には61年から93年まで続いた長寿番組で、司会者も5、6回代わっているらしい。僕が見ていた時代は、パッとしないおじさん(三和完児という人)と鈴木ヤスシで、司会者もパッとしないが内容自体もパッとしないという、そういう番組だった。
 なんと言っても素人参加型の民謡番組という地味にもほどがあるコンセプトで、他に例がないという意味ではオリジナリティ抜群ではあるが、どうしてこういう異色の番組があったのか、しかもキンカンという冠がついた一社提供の番組が……と考えると、当然、キンカンの会社の偉いさんが民謡好きなんだろうかなという点に落ち着く。で、今Wikipediaで調べるとやはりそうだったようで、いくら民謡好きだと言っても、こんな地味な番組が30年以上も続いたのは今考えると驚きである。
 民謡になんぞまったく興味がなかった当時ガキンチョの僕ではあったが、土曜の午後、何をするともなくテレビをつけているとこの番組が出てくるわけで、今考えると結構よく見ていたことになる。とは言ってもそのせいで民謡好きになったりすることもなく、むしろ、審査員が小さなプラカードみたいなものを使って素人歌手の歌を採点したりするという趣向が面白いと感じていたのである。しかも司会者がそれに合わせて「10点、10点、10点と出ましたっ」などと叫んだりするのもまた一興であった。
b0189364_9321735.jpg どうしても年配の方向けというイメージがつきまとうんで、同世代の人間(当時の若者)でこの番組を知っている人がいるのかはよくわからないが、僕が学生になってから、ある同級生がくだらないシャレを言ったときにすかさず「10点、10点、10点と出ましたっ」と言い放った際にごく一部の人間の間で受けていたんで、おそらく彼らはこの番組を見たことがあったんだろうと思う。いずれにしても当時の若者にとってはマイナーな存在であったのは確かである。
 でまあ、番組についてはその程度の印象しかないんだが、そのときのコマーシャルがなかなかキョーレツだったというのが今日の本題である。言わずと知れた、金冠堂(当時テレビでは「キンカン本舗」と言っていたような気がするが)の商品、キンカンのコマーシャルだが、まずコマーシャルソングが非常に印象的。単純かつ明るい童謡のようなメロディで、詞もリズミカルでなかなかふるっている。こんな歌詞ね。

キンカンCMソング
作曲:服部正/作詞:藤浦洸

b0189364_9243289.jpgカンカン キンカン キンカンコン
カンカン 鍛冶屋のおじいさん
肩こり 腰の痛みには
キンカン塗って また塗って
元気に陽気に キンカンコン
☆ミカン キンカン サケノカン
ヨメゴモタセニャ ハタラカン

カンカン キンカン キンカンコン
カンカン 家庭の常備薬
毒虫 水虫 蚊やぶよに
キンカン塗って また塗って
明るい暮らしを キンカンコン
☆(繰り返し)

 キンカン自体がどういう製品かはよく知らないが、虫刺されとか肩こりとかに効く薬なんだろうなというのは歌からも推測できる。そういう意味でもコマソンとしては絶品なんだろう。ちなみにこの歌、現在、金冠堂のホームページで聞くことができる(『金冠堂のホームページ | CM紹介』を参照)。Wikipediaによると、60年代のCMソングは「唄:雪村いづみ・ダークダックス」ということになっているが、ホームページで提供されているバージョンは、おそらく天地総子が歌っているんじゃないかと思う(ちなみに僕が馴染んでいるのもこのバージョン)。
b0189364_925651.jpg もう一つ記憶に残っているのは、ある時期に放送されていた(おそらく期間限定の)キンカンのコマーシャル。先ほども書いたようにキンカンを使ったことがないのでよく知らないが、匂いが独特だったらしくて(なんせ主成分はアンモニア水だから)、当時、これを改善してほしいという要望が顧客から会社にたびたび寄せられていたようだ。それについてコマーシャル内で言及するんだが、そのときに金冠堂からの回答として「キンカンは香水ではないのです!」と言い放っていたのだった。あまりの潔さに、当時まだ少年だった僕の心には強い印象が残った。匂いがきつくてイヤという声が客からあがったら、香料を加えるとか匂いの成分を研究して変えてみるとかするのが一般的なアプローチなんだろうと思うが、「香水ではない」と言い切るとはなんという頑固さ。製品によほど自信があるんだろうと子ども心に妙に納得したのを憶えている。あの時代、あの正露丸ですら糖衣錠を出して、それをしきりに宣伝していたというのに……。
 あれから数十年、キンカンは今でも昔と似たようなパッケージで売られているようだが、その後内容成分はどうなったのだろうかと思う。成分は相変わらずで独特の匂いが残っているのだろうか、もしかしたらその後日和って匂いが改善されたりしているのではないか、非常に気になるところではある。昨今ではあまり見られない職人的頑固さが今でも残っていることを期待している自分がいるのだった。

参考:
『金冠堂ホームページ』
by chikurinken | 2014-02-08 09:26 | 放送

ヤマグチさんからのメール

 ヤマグチさんからメールが来た。といってもクリスティー・ヤマグチでもなければ、山口ツトムさんでもない(ネタが古くて恐縮です)。
 何を隠そう、メールを送ってこられたのはあのシェリー・ヤマグチ氏で、京都の伝統文化におそろしく広いコネを持つ(と思われる)あの美女である(竹林軒出張所『外国人が見た禁断の京都(ドキュメンタリー)』)。あの番組ではコーディネーターみたいな立場で登場していたが、メールの文面から察すると、NHKの番組の制作に関わっておられる方のようで、NHKの人?なのかな。
b0189364_8445525.jpg メールの内容は、来週早々に放送される番組の件がメインで、これは皆さんにも早めにお知らせしなければなるまいということで、急遽この場でお知らせすることにした。案内ページを見る限り、指揮者の西本智実がバチカンでオラショを演奏するまでの過程を追うというもので、非常に興味深い。見たところ、NHKではあまり番宣に力を入れてないようで、もったいないよなーと思う。
 またメールには、「禁断の京都」シリーズは全部で6本あって、国内のNHKで放送されたのは件の2本だけということもあわせて書かれていた。こちらももったいない限り。ま、いずれ放送されるんじゃないかと思うが。
 ということで、ヤマグチさんのメールもそのまま掲載しようかと思う。本当ならヤマグチさんの許可を得るのが筋ってもんだが、緊急の番宣なんで事後承諾いただくってことで、ひとつよろしくお願いいたします。もし問題あるようでしたら、おっしゃってください(→ヤマグチさま)。

参考:
竹林軒出張所『外国人が見た禁断の京都(ドキュメンタリー)』

 以下文面。

-----------------

竹林軒さま

前略 いきなりお便りさせていただく御無礼、どうかお許しください。

はじめまして。
わたくしは、シェリー・ヤマグチと申します。
NHKの「禁断の京都」という番組の案内役をしております。
竹林軒さまには、番組を御高覧戴き、
さらに、真摯な御意見をブログに掲載していただきまして、
誠に有難く、心から感謝しております。

「禁断の京都」シリーズは、現在進行形で制作が進んでおり、
海外放送(NHK WORLD)では、既に6本を放送しております。
「Forbidden Kyoto」というタイトルです。
残念ながら日本語版は、竹林軒さまに御覧いただいた2本のみです。

昨今では、若者のTV離れが進み、ネット配信が主流だそうです。
わたくしとしては、あえてフルハイビジョンで制作し、TVで放送する番組は、
日本文化と、その精神性の高さを、圧倒的な美しい映像で伝えるべきであり、
日本人でさえ知らぬ禁断の世界を、世界に、日本に、発信したいと思料しており、
いくら予算が無いとはいえ、せっかく制作した残りの4本についても、
日本語版が制作され、日本国内で放送されるように願っていますが・・・。
視聴様からの強い要望が局に寄せられない限り、なかなか実現しません。
特に、竹林軒さまには、全シリーズ見て戴いて、
御意見や御感想をうかがいたいので、残念でなりません〜。

因みに、他の4本は、どのような内容かと申しますと、
NHK WORLDのHPに、予告編とラインナップが載っていますので、
お時間の許す時に、チェックしてみてください。

★Forbidden Kyoto番組HP

★番組ラインナップ

ところで、話は変わりますが、
わたくしが、ここ数年、全精力を費やして来た番組が完成し、
放送日時が決まりました。

長崎県の生月島に、今なお伝わる「隠れ切支丹」の祈りの歌「オラショ」が、
今から約500年前、宣教師に寄り日本に伝わった当時の形で、
強い百年の時を経て、ヴァチカンで演奏されました。
その過程を追った、ドキュメンタリー番組です。

今年の春に新法王に選出されたフランチェスコ1世は、
ヴァチカン派閥の中でもイエズス会に所属。
イエズス会から法王が選出されたのは、初めての事だそうですが、
奇しくも、500年前、日本に渡り、布教活動に従事した宣教師のほとんどが、
イエズス会の人だったということに、少なからず運命を感じました。
世界中のクリスチャンたちが、ラテン語を使わずミサを行っている今、
なんと、ヴァチカンと生月島だけが、いまだにラテン語でミサをあげています。
そして、ヴァチカンにさえ現存しない讃美歌(オラショ)が、
過酷な弾圧をくぐり抜け、いまだに、生月島に伝えられているのです。

来週のクリスマス祝日の月曜日、夕方5時からです。
12013年12月23日(月) 17:00〜
チャンネルは、NHK総合1chです。

この番組にご興味を持っていただき、御高覧戴けたら幸いです。
そして、感想、御意見など、伺えたら嬉しいです。

大寒の折りから、どうぞご自愛下さいませ。

かしこ

SHERRY YAMAGUCHI
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by chikurinken | 2013-12-21 08:49 | 放送

手塚・石森アニメ/特撮ドラマ回顧

 手塚治虫、石森章太郎といえば、我々世代にとっては非常に愛着のある存在。かれらのマンガはもちろん、かれらが原作のアニメも同時代の子どもとして折に触れて接触してきている。昨日も紹介したが(竹林軒出張所『手塚×石ノ森 ニッポンマンガ創世記(ドキュメンタリー)』参照)、その手塚治虫、石森章太郎の特集が今月NHK-BSで組まれていて、彼らが原作のアニメ/特撮ドラマも大量に放送された(他にかれらをモデルにしたドキュメンタリードラマも放送)。
 アニメ/特撮ドラマはどれも初回と最終回をセットで放送するというもので、放送されたアニメ/特撮ドラマのラインアップは、手塚治虫作品が『マグマ大使』、『鉄腕アトム(アニメ第1作)』、『ブラック・ジャック』、『ビッグX』、『ミクロイドS』、『ジャングル大帝』、『リボンの騎士』。石森章太郎作品が『仮面ライダー』、『がんばれ!! ロボコン』、『変身忍者 嵐』、『さるとびエッちゃん』、『人造人間キカイダー』、『サイボーグ009(アニメ第1作)』、『秘密戦隊ゴレンジャー』というもの。
 同時代で見たものもあるが、『ロボコン』や『ゴレンジャー』は初放送時すでにこっちもそこそこ年長になっていたため、面白いと感じたことはない。大体このころの石森章太郎は、子ども心に商業主義的な匂いがして、しかも内容自体ちょっとお粗末だったこともあってあまり思い入れはない。しかもその後、『マンガ日本経済入門』を出すに至って、いかにもコビコビの商業主義というイメージを持ってしまったため、手塚治虫と違って、石森氏に対してはあまり良い印象はない。それに『マンガ日本経済入門』の頃、名前を石森から石ノ森に改名したのもなんだか良い気分はしなかった。そのため、石ノ森章太郎という呼び方はいまだに違和感がある。僕の中では石ノ森章太郎は「石森章太郎」ではないのだ。
b0189364_7445814.jpg さて、放送された番組だが、初回と最終回をセットにするというのはなかなか面白い企画で、その作品を俯瞰するにはもってこいと言えるかもしれない。『マグマ大使』は最終回を見るのは40年ぶりくらいでなかなか新鮮だったんだが、正直言って設定もいい加減だし映像が実にチャチな感じがした。『マグマ大使』は、初放送時に見たときは、もうとにかくゴアが怖くて、アニメを混ぜた演出や、マグマ大使の頭の位置からの俯瞰撮影、ロケットからマグマ大使に変身する特撮シーンなんかも非常に斬新さを感じたが、怪獣とヒーローの格闘シーンについては、今見るとやはり円谷プロに一日の長があると見た。それにマグマ大使の着ぐるみがボロボロだったのももの悲しさがある。
b0189364_7453159.jpg 『変身忍者 嵐』と『人造人間キカイダー』についても設定のいい加減さとチャチさを感じた。当時の特撮モノは全体的にこういう水準だったのかも知れない。『変身忍者 嵐』は、小学生だった当時は「面白い!」と思って見ていたんだが、今見るととてもご都合主義的で、しかもディテールがしっかり描かれていないので、大人が見るにはちょっと苦しい。「素敵なラブリーボーイ」の林寛子が子役で出ていたのは当時まったく知らなかったので、今回ちょっとした驚きだった。そう言えば林寛子が歌手で出てきたときどこかで見た顔だと思ったような記憶はある。それから『仮面ライダー』で地獄大使を演じた潮健児が、おっちょこちょいのイタチ小僧として登場したのも新鮮な驚きだった。他にも『仮面の忍者赤影』の白影、牧冬吉が『赤影』と同じような役回りで出てきたりするので、キャスティングは今見ると非常に面白い。
 『ミクロイドS』も今回が35年ぶりぐらいで、当時も感じていたが、作りが非常に雑である。セル数が非常に少なく絵があまり動かない上、プロットもいい加減で、それに絵だって原作の絵と全然違うし、悪いアニメ化の実例みたいな作品だった。『ゴレンジャー』も『ロボコン』もずさん。やはり当時子ども向け番組が非常に多かったせいか、「質より量」とか「こんなもんでよかろう」というような風潮がそれぞれの放送局にあったのかも知れない。
b0189364_7522079.jpg 例外と言えるのが『ジャングル大帝』で、冒頭のタイトルバックの表現は手がかかっていてしかも芸術性が高い。しかも音楽は冨田勲と来ている。虫プロ作品であることから、手塚治虫が関わっていたのかしらんが、今の水準から見ても非常にレベルは高い。今回はタイトルしか見ていないので、内容はどうだかわからないが、タイトルだけで非常に感心したので、ここに記しておこうと思う。
 いずれにしてもこういう企画はなかなか楽しいもので、手塚、石森作品以外にもこれからどんどん放送していってほしいと思う。次はスポ根ものあたりになるのかなと勝手に思ったりもしている。『タイガーマスク』の最終回はすごかったけど、NHKでは放送できないかな……などと一方的に考えたりする。やはり60〜70年代のアニメ、特撮ドラマは我々世代の琴線に触れてくるものなんである。

参考:
竹林軒出張所『手塚×石ノ森 ニッポンマンガ創世記(ドキュメンタリー)』
by chikurinken | 2013-07-23 07:52 | 放送

アドリブの相乗効果 - 『YOUは何しに日本へ?』が面白い

 テレビ番組が最近つまらないというのは誰もが実感することだろう。お笑いタレントを呼んできてウチでやっている遊びを再現するような、安易な作りの番組がやたら増殖しているが、もういい加減よしたらいいのにと思う。作り手のレベルの低さをさらされたところでまったく笑えない。
b0189364_98146.jpg それでもやはり毎週テレビで見る番組というのはあって、僕自身は特に最近はテレビ東京系のものが増えているように思う。前もテレビ東京系の深夜枠について書いたが(竹林軒出張所『日本世間噺体系テレビ版』参照)、最近興味深く見ているのが、やっぱりテレビ東京系深夜枠の『YOUは何しに日本へ?』という番組。
 成田空港にいる外国人旅行者に「YOUは何しに日本へ?」と訊き、内容が面白そうだったら同行取材するというただそれだけの番組で、コンセプトはあるが、結構行き当たりばったりで、アドリブ満載、「なるようになる」的なバラエティ番組である。同じ局の『和風総本家』の1企画みたいな内容で、またこういうのをやらせるとテレビ東京はなかなかうまいんだ。そう言えばやはり同じテレビ東京の『田舎に泊まろう』という番組も似たような同行取材番組であった。こういうアドリブ番組は、何を拾って何を採用し、どうまとめるかにすべてかかっているが、この『YOUは何しに日本へ?』では、今のところ毎回かなり面白い人々を拾いまくっていて、まったく飽きない。意外性もある。
 で、今週放送されたのが、日本海側の都市を自転車旅行するために日本に来たというドイツ人に密着する企画で、いつもはこの番組、数人の人々のインタビューと約2組の密着取材で構成されるんだが、この回はこのドイツ人のみ。つまりスペシャル企画なわけだ。
 実はこのドイツ人、かつてこの同じ番組のパイロット版(以前特番として2回放送されている)のときに登場したらしく、その際に彼が青森に行き、自転車をそこで調達するまでを撮影クルーが追っていったようなのだ(このパイロット番組については見ていなかったが、今回の放送の前半でそのときの模様が放送された)。
 要するにこのドイツ人、「日本海側を自転車で旅する」という目的はあるが、それ以外、何も計画を立てずに来日したということなのである。簡易テントとそこそこのお金は持っているが、かなり行き当たりばったりで、もちろん日本語もろくに喋れない。そういう人が普通列車で東京から青森まで行き、そこで自転車屋を探して、スポーツ車を購入するという、なんだかもうすごい展開になるんだな。しかも買った自転車が30〜40年前の、小・中学生向けでライトがたくさんついたヤツ(ちなみに新車)で、それをなんと5000円で買っていった。ネットに出せば10万円超えるんじゃないかというビンテージものなんだが、すでにここらあたりで面白ネタの宝庫になっている。その後、彼はこの自転車にまたがり、竜飛岬目指して北上していく。坂があれば適当に自転車を押していき、なんだか気ままなもんである。ノープランでいかにも呑気なこのドイツ人を、やはりノープランのこの番組が密着するという、ノープラン同士の相乗効果が番組を面白くしている。ここらあたりまでがパイロット番組で放送された部分である。
 その数ヶ月後、スタッフのところにこのドイツ人から「東京に戻ってきた」というメールが来て、東京で再会することになる。ここからが番組の後半部分で、今回のオリジナル部分。東京のとあるホテルでスタッフはこのドイツ人と無事再会し、今度は彼の東京自転車観光を追っていく。ちなみにあの5000円自転車は健在で、なんでも東京に来る前に、青森から日本海側を南下し、新潟や山口を経由して九州、鹿児島まで行き、そこから再び自転車で東上してきたという話で、そこらあたりの事情は彼が撮影した写真を使ってうまく編集して放送された。そもそも自転車旅行の同行取材だけでもある程度面白くなるのに、そこに「外国人旅行者」、「行き当たりばったり」という面白さが加味されて、この企画、出色のできになった。なにしろこのドイツ人のキャラクターもまた魅力的で、この企画を一層引き立てている。
 通常の放送でも、出てくる外国人の方々がなかなか魅力的で面白いが、おそらくしばらく続くうちにこの番組もワンパターン化していくんだろうと思う。ただテレビ東京の番組は引き際もまた良くて、良いタイミングで終わることも割合多い。放送業界の中では永らく地味な位置を占めていた同局だが、いちやくトップに躍り出る日も近いんじゃないかというような昨今の充実ぶりである。正直今の段階でも、NHKとテレビ東京以外、あまり見るべきものがないという状況なのだ。作り込んだNHKとアドリブに強いテレビ東京、それぞれ持ち味が出ていてよろしいんじゃないかと思う。

参考:
竹林軒出張所『日本世間噺体系テレビ版』
竹林軒出張所『取材ディレクターが語る18のアザーストーリーズ(本)』
by chikurinken | 2013-02-15 09:04 | 放送

12月放送予定TV番組の告知

b0189364_854935.jpg 例によって、来月のテレビ番組をTVガイドでチェックしていたんだが、来月、昨日紹介した『それぞれの秋』や2週間ほど前に紹介した『3人家族』がCSで再放送されるらしい。最近、木下恵介100周年企画として、木下恵介関連の映画とドラマのDVDが立て続けに発売されているが、おそらくその関連だろうと思う。同じくDVDが発売された木下映画『カルメン故郷に帰る』も放送される(こちらはかなり前から予定されていたもののようだが)。
 そういうわけで、過去このブログで紹介した番組で、来月放送される予定のものをここでピックアップしようという企画の第2弾。例によってBS、CS中心になったのはご愛敬ということで。なお「チャンネル銀河」については試聴経験がないため、どういうチャンネルなのかよく知らない。

ドラマ
それぞれの秋 12月1日16:00より、TBSチャンネル2
参考:竹林軒出張所『それぞれの秋 (1)〜(15)(ドラマ)』

3人家族 12月1日16:00より、チャンネル銀河
参考:竹林軒出張所『3人家族と二人の世界(ドラマ)』

ドキュメンタリー
天海祐希 パリと女と… 魅惑の新オルセー 12月1日14:30、NHK BSプレミアム
参考:竹林軒出張所『天海祐希 パリと女と… 魅惑の新オルセー(ドキュメンタリー)』

映画
にごりえ 12月3日21:00、日本映画専門チャンネル
参考:竹林軒出張所『にごりえ(映画)』

夫婦善哉 12月5日13:00、NHK BSプレミアム
参考:竹林軒出張所『夫婦善哉(映画)』

銀座カンカン娘 12月8日7:00、日本映画専門チャンネル
参考:竹林軒出張所『銀座カンカン娘(映画)』

招かれざる客 12月12日13:00、NHK BSプレミアム
参考:竹林軒出張所『招かれざる客(映画)』

君よ憤怒の河を渉れ 12月14日13:00、日本映画専門チャンネル
参考:竹林軒出張所『君よ憤怒の河を渉れ(映画)』

カルメン故郷に帰る 12月17日21:00、NHK BSプレミアム
参考:竹林軒出張所『カルメン故郷に帰る(映画)』

望郷 12月19日13:00、NHK BSプレミアム
参考:竹林軒出張所『望郷(映画)』

フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ
  12月28日23:00、日本映画専門チャンネル
参考:竹林軒出張所『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ(映画)』

華麗なる一族 12月31日10:05、日本映画専門チャンネル
参考:竹林軒出張所『華麗なる一族(映画)』

不毛地帯 12月31日14:05、日本映画専門チャンネル
参考:竹林軒出張所『不毛地帯(映画)』

駅 STATION 12月31日21:05、NHK BSプレミアム
参考:竹林軒出張所『駅 STATION(映画)』

注:上記は『デジタルTVガイド』からピックアップしたものです。あくまでも予定ですので変更になる可能性は大いにあります。また上に書いた放送予定にも誤りがあるかも知れません。興味のある方はそれぞれでご確認の上、ご覧になってください。
by chikurinken | 2012-11-28 08:56 | 放送

『日本世間噺体系』テレビ版

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 昨日、テレビ東京系で木曜深夜に放送されている『解禁! 暴露ナイト』というバラエティ番組を見た。ちょっと変わった分野のゲストを呼んで話を聞くという番組で、話を聞く側のレギュラーが、名倉潤、河本準一、菜々緒の3人。ということはどう見ても、その前に放送されていた『くだまき八兵衛』をそのまま引き継いで焼き直した番組である。ちなみにこの『くだまき八兵衛』だが、居酒屋でくだを巻いているレギュラー陣のところにゲストが相席をして、専門的な話を披露するというオール居酒屋ロケの番組で、コンセプトは面白かったがゲストによって番組の質が大幅に左右されていたため、当たり外れがかなり大きかった。それにゲストにコアな人々が出てくると、居酒屋での無駄話というコンセプトに必然性がなくなってくる。むしろインタビュー番組にしてしまった方が良いという面があった。また、企画段階から関わっていたと思われるオセロ中島知子が途中から出なくなってしまったこともあって、初期のコンセプトが大幅に変わったような部分もある。おそらくそういう塩梅で実質的なリニューアルという運びになったんではないかと予想される。
 11月1日深夜に放送された分では、4人のゲストが登場したんだが、その4人全員がコアな話を披露して、その内容がまったくもって規格外だった。めったに聞けない話が次々に出てきて、インタビュー番組のポテンシャルを見せつけられた。
 登場した1人目はオウム真理教に4回殺されそうになった弁護士(滝本太郎)、2人目は「吉展ちゃん事件」に立ち会った元監察医、3人目は実際に死刑執行に立ち会ったことのある元刑務官、4人目はかつて著名芸能人の逮捕に立ち会った元麻薬調査官。経歴だけでも興味を持ってしまうような面々である。で、案の定、ちょっとよそでは聞けないようなヘビィな話が次々と繰り出されてきて、僕などはどの話も聞き入ってしまった。話の内容はどれも非常に具体的で、初めて聞くようなものも多かった。特に元刑務官は、死刑がどのように執行されるか事細かく説明し、同時に、日本の死刑執行が受刑者の尊厳を踏みにじらないよう非常に配慮されていると主張していた。一般的にこの時間帯は眠気が襲ってくることが多いが、見始めた頃の眠気は途中でどこかに消し飛んでしまった。さながら『日本世間噺体系』のテレビ版といった趣で、いっそのこと、それぞれの人達に1回ずつ割り当てても良かったくらいの内容充実度であった。
 ましかし、これだけの内容を伴ったゲストを毎回呼ぶのも難しいだろうし、『くだまき八兵衛』同様、回によってグレードが変動するのはある程度予測できる。ただ次回以降も期待させる、ちょっと興味深い、テレビらしいバラエティ番組であるのは確かである。テレビ東京系の深夜枠はここのところ充実していて、20年前のフジテレビの深夜枠に迫るような勢いがある。もう終わったが『極嬢ヂカラ』という番組も、深夜枠にふさわしいインパクトのある番組だった。今後も少し注目しておこうと思っている。

参考:竹林軒出張所『小説より奇なり(本)』
by chikurinken | 2012-11-03 08:43 | 放送

10月放送予定TV番組の告知

b0189364_7524516.jpg 放送予定の映画やドキュメンタリーをチェックするために、毎月TVガイドを買って調べるんだが、このブログで紹介したドキュメンタリーや映画が(再)放送されるケースも結構ある。特にドキュメンタリーについては、放送されるとその記事へのアクセス数が急に増えたりするので、やはりそういう番組を心待ちにしている人々は結構いるんだろうと思う。
 というわけで、過去このブログで紹介した番組で、来月放送される予定のものをここでピックアップしようという企画。BS中心になったのはご愛敬ということで(結構大変だったので、たぶん次はやらないと思う)。

ドラマ
天皇の料理番 10月10日16:00より、BS-TBS
参考:竹林軒出張所『天皇の料理番 (1)〜(19)(ドラマ)』

ドキュメンタリー
バーミヤンの少年 10年の記録 10月10日24:00、NHK BS1
参考:竹林軒出張所『バーミヤンの少年(ドキュメンタリー)』

地球ドラマチック「密着! 都会のアライグマ ~驚きの“進化”~」 10月13日19:00、
NHK Eテレ
参考:竹林軒出張所『アライグマの国 〜都市生活と“進化”〜(ドキュメンタリー)』
(違う番組だが、おそらく同じ映像を使っているのではないかと思われる)

映画
おとうと 10月1日9:00、日本映画専門チャンネル
参考:竹林軒出張所『おとうと(映画)』

黒いオルフェ 10月5日13:00、NHK BSプレミアム
参考:竹林軒出張所『黒いオルフェ』(映画)

たそがれ清兵衛 10月5日19:30、NHK BSプレミアム
参考:竹林軒『2004映画日記』(「たそがれ清兵衛」で検索してください)

忍者武芸帳 10月9日16:00、日本映画専門チャンネル
参考:竹林軒出張所『忍者武芸帳(映画)』

馬鹿まるだし 10月14日13:00、NHK BSプレミアム
参考:竹林軒出張所『馬鹿まるだし(映画)』

セント・オブ・ウーマン 10月15日13:00、NHK BSプレミアム
参考:竹林軒出張所『セント・オブ・ウーマン 夢の香り(映画)』

ニッポン無責任時代 10月21日13:00、NHK BSプレミアム
参考:竹林軒出張所『ニッポン無責任時代(映画)』

博士の異常な愛情 10月19日13:00、NHK BSプレミアム
参考:竹林軒出張所『博士の異常な愛情(映画)』

タンポポ 10月20日23:00、日本映画専門チャンネル
参考:竹林軒出張所『タンポポ(映画)』

恐怖の報酬 10月24日13:00、NHK BSプレミアム
参考:竹林軒出張所『恐怖の報酬(映画)』

注:上記は『デジタルTVガイド』からピックアップしたものです。あくまでも予定ですので変更になる可能性は大いにあります。また上に書いた放送予定にも誤りがあるかも知れません。興味のある方はそれぞれでご確認の上、ご覧になってください。
by chikurinken | 2012-09-28 07:56 | 放送

『僕は人生を巻き戻す』を巻き戻す……アンビリバボー

b0189364_20323647.jpg 昨日、フジテレビの『奇跡体験! アンビリバボー』という番組で、強迫性障害のエド・ザインを扱った番組をやっていた。エド・ザインというのは、先日ここで紹介した『僕は人生を巻き戻す』という本の主人公だ。この本はノンフィクションなんで、むろん実在の人物である。
 この1冊で詳細に扱っていた事例が30分枠でまとめられていたので、予想に違わず通り一遍の話になっており、核心部分には触れられていなかった。もの足りないなんてものじゃないが、初めて見る方には、その事実だけで衝撃的だったかも知れない。そういう意味では、価値があると言えなくもない。『僕は人生を巻き戻す』の本も、わずか1、2秒ではあったが一応紹介されていたことだし(興味のある方は是非読んでください。昨日の番組より面白いと思います)。ただ、エド・ザインやマイケル・ジュナイクなど、さまざまな人々を映像で見られたのは良かった。この番組を見たのもそれが目的だったんだがね。

 僕は小説をあまり読まないんで、カフカの小説なんかも興味はあるんだが読もうという気がしない、なかなか。で、「小説を忠実に映画化した」などというキャッチフレーズが付いた映画があれば、つい食指が動いてしまう。『カフカの「城」』というDVDを見たのもそういういきさつだったんだが、これを見ただけで僕なんかはカフカの『城』を読んだような気になっているんだ。あるドイツ文学者にこの映画の話をしたら、映画を見るくらいだったら原作を読むと言っていた。僕とは発想がまるで逆である。もっともノンフィクションであれば、僕も同じように考えるかも知れない。だから、昨日の『アンビリバボー』を見てそれで感心し納得している人がいても、基本的には僕と変わらないわけだ。だから、たまたま『僕は人生を巻き戻す』を読んでいたからと言って、上から目線でしゃべってはならないのだ、本当はね。
 でも、あえて言います。あれは、ポイントだけを取り上げたもので、その間のつながりが描かれていない。そこが一番重要だと思うんだがそこがなかったのだ。つまり、あくまでダイジェストに過ぎないということ。だから、原作を読んだら良いと思いますよ。あ、カフカも原作で読んだ方が良いですか……うーん、考えておきます。
by chikurinken | 2009-10-30 20:34 | 放送

『エリックとエリクソン』についての告知

 2004年4月にNHK BSで放送された『エリックとエリクソン 〜ハイチ ストリートチルドレンの10年』(第42回ギャラクシー賞上半期奨励賞受賞作品)が2009年10月2日(金)に再放送されます。私が直接関係しているわけではもちろんありませんが、非常に質の高い、見応えのあるドキュメンタリーです。かつてホームページでも紹介し、「2004年のベスト1ドキュメンタリー」に勝手に選定しています。私自身再放送を心待ちにしていたので、大変喜ばしい限りです(一度再放送されたようだが気付かずにやり過ごしてしまった)。
 かつて、このホームページの記事を見た方2人からお問い合わせいただいたことがあります。今でもこのページをご覧になっているようでしたら、是非予約録画の準備を!

以下BSオンラインより
エリックとエリクソン〜ハイチ・ストリートチルドレンの10年
[BShi] 10/2(金) 前9:00-10:30
10年前、カリブ海の国ハイチの路上で双子の兄弟に出会った。エリックとエリクソン。経済は破たんし、政情不安が続くハイチ。世界最貧国で生きてきた2人の10年を追う。
by chikurinken | 2009-10-01 07:50 | 放送

ドラマ雑記(ドラマから伝記、そしてまたドラマ)

 見ていないにもかかわらず永らく気になっていたドラマというのがいくつかある。だが、レンタル・ビデオ/DVDやCSチャンネル(スカパー)などが普及して、こういったドラマも目にできる機会が増えてきた。喜ばしい限りである。
b0189364_1022513.jpg かつてTBSで1980年に放送された『天皇の料理番』というドラマは、当時1回も見ていないんだが、最近までずっと気になっていた存在である。原作は杉森久英の同名の小説であるが、この原作本を書店や図書館で目にするたびに忸怩たる思いがこみ上げてきていた。
 だが、例によって、CSのTBSチャンネルで再放送されることになって、この機会にと思い録画して見ている。脚本は鎌田敏夫で、第1回目は映画監督の森崎東が演出していた。ものすごくできが良いというドラマではないかも知れないが、しかし面白い。原作の面白さも大きいのだろうが、トンカツを食べて感動しそれで料理人を目指すというエピソードがなかなか豪快でよろしい。こういう破天荒な出世話は、それ自体が興味をそそるものである。この頃のドラマは質が高かったんだなとあらためて思う。
 原作者の杉森久英は、伝記小説で有名になった人だが、彼の作品に『天才と狂人の間―島田清次郎の生涯』がある。島田清次郎は、僕の学生時代(精神分析の対象として)非常に興味を持った作家だが、当時すでにこの本は絶版で、古本屋を探し歩いてやっと見つけたものである。内容は非常に面白く、島田清次郎に(精神分析の対象として)恐怖を感じるほどリアルで、鬼気迫るものであった。そんなこともあり、今度は島田清次郎の出世作『地上』を読みたいと思うようになり探し歩いたが、これも絶版というより、当時から過去数十年以内に出版された形跡すらなく、永らく読むことができなかったのだ。で、市立図書館で図書目録を一生懸命検索して、古い本が置かれていることを知り、やっと読むことができたのだった。内容は、非常に稚拙な感じがあって、『天才と狂人の間』の方が断然面白いと感じた。杉森久英の才能を感じた次第である。ちなみに今どちらの本も入手可能なようで(『天才と狂人の間』が94年、『地上』が95年にそれぞれ再発されたようだ)、検索もAmazonで簡単にできる。便利な時代になったものだ。その後、杉森久英の太宰治の伝記『苦悩の旗手―太宰治』なども読んで、杉森久英の書き手としての才能をあらためて認識した。
b0189364_1025112.jpg 僕の場合、太宰治といえば石坂浩二を思い出すのだが、これもかつてのドラマの影響である。『冬の花火 わたしの太宰治』(1979年・TBS)というドラマがあって、こちらも当時見ていないにもかかわらず永らく気になっていたのだ。見ていないにもかかわらず「太宰治=石坂浩二」という図式がずっと僕の中で長い間続いていたわけだ(もっとも、これも、杉森久英の著書をはじめとする本を読んでいくうちに印象は変わってきたが)。それはともかく、このドラマも現在TBSチャンネルで放送されている。こちらも録画して見ているが非常に見応えがある。当時のドラマは今よりはるかに質が高いと、ここでも実感させられる。企画力なんかも大きいのだと思う。ちなみに『天皇の料理番』はTBSでリメイクされている(93年)。また太宰治の伝記ドラマも4年前に作られている(これがリメイクなんだかどうだかはちょっとわからないが)。そもそもリメイクという発想自体が企画力のなさを示しているのだ。良質のドラマを作れないんだったら、いっそのこと、新しいドラマを1本作る予算で、過去のドラマを地上波で2本再放送してみてはどうだろうかね。「TBSアーカイブス」とかなんとかいうタイトルにしてさ。あ、もうNHKがやってるか……。

参考:
竹林軒出張所『天皇の料理番 (1)〜(19)(ドラマ)』
竹林軒出張所『冬の花火 わたしの太宰治 (1)〜(13)(ドラマ)』
by chikurinken | 2009-09-05 10:05 | 放送