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竹林軒出張所

chikrinken.exblog.jp

カテゴリ:ドキュメンタリー( 459 )

『足元の小宇宙Ⅱ』(ドキュメンタリー)

足元の小宇宙Ⅱ 絵本作家と見つける“雑草”生命のドラマ(2017年・NHK)
NHK総合 NHKスペシャル

今ファーブル、甲斐信枝の目

b0189364_18142182.jpg 絵本作家の甲斐信枝さんは、山野に生える野草(いわゆる雑草)に大いに関心を示し、それをスケッチして絵本にしてきた。その甲斐さんの後ろにくっついていき、彼女の見ている世界を映像化したのがこの番組。
 ノゲシなどの野草類の種子の放出シーンが映像化されていたり、野草類の変わった形状や野草が互いに勢力を伸ばしあう様子などが映像で紹介されたりしていて、映像自体は非常に興味深い。
 この甲斐信枝という人、野原に寝そべってひたすら野草を見たり、おもむろにスケッチブックを取り出して野草の絵を描き始めたりして、端で見ている分には大変楽しい人である。さしずめ「今ファーブル」といったところだが、その彼女の視線に映像が非常に近づいていて、この人が感じる面白さ、心地よさなどが再現される。見ていて大変心持ちが良い。もっともこの甲斐さんって人、良い人そうだが、野草のことを「あいつ」とか「この人」とか呼んだりして、そういうあたり僕などはちょっと引いてしまう。実際こういう人がそばにいたら心情的にお近づきになれるかどうかわからない。とは言え、番組の映像は非常に良いもので、甲斐さんの世界観は実にうまく再現されていた。それは間違いない。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『田んぼにトキが舞いおりる(ドキュメンタリー)』

by chikurinken | 2017-04-27 07:13 | ドキュメンタリー

『月へ、夢を 人類初の月面探査レースに挑む』(ドキュメンタリー)

月へ、夢を 人類初の月面探査レースに挑む(2017年・NHK)
NHK-BS1 BS1スペシャル

核心部分がないじゃない

b0189364_18492713.jpeg 「月面探査レースに挑む」などというタイトルなんで、てっきり例の「グレートレース」シリーズかと思った。「ついに月までが舞台になった」ってなもんである。だが残念ながら、まだ月面到達レースは始まっていなかった。なんでもGoogle主催により、2017年までに月面を車両で500メートル走るというレースが行われているそうで、それに参加する日本のチームの準備の顛末記という、そんな内容である。「グレートレース」の準備部分だけ取り上げたというか、ロボコンシリーズの準備部分だけを切り取ったというか、とにかく何とも物足りない内容である。日本から参加する唯一のチームは、チームHAKUTOという名前で、このプロジェクトのために日本に留まっているアメリカ人の元留学生がいたり、族あがりみたいなメンバーがいたり、ユニークさを強調しようという試みは見受けられるが、早い話、見ているこっちにとってみればどうでも良い話ばかりで、そもそも月に車を送って500メートル走らせるということにまったく魅力を感じない。ましてや月に送る手段は(つまりロケットだが)自分で用意できず別のチームに頼るというのも、そういうので良いのかという疑問が消し去れない。
 番組としてはそれなりに構成されているが、まったく心を動かされる部分がなく、最低限ホンちゃんのレースを入れなきゃ番組として成立しないだろうと思う。もっともレースまで引っぱった場合、HAKUTOの車が月まで到達できないという可能性も十分あるわけで、それをメインに据えることにはリスクがあったのかも知れない。
 ただ『YOUは何しに日本へ』でときどき何かの大会に参加する外国人が来て、1回戦で負けて「チーン」で終わることがあるが、現実はそんなもので、テレビの世界でもそれはそれで良いんじゃないかと思うが、「グレートレース」みたいにむだに大げさな番組にしてしまうと、そういうわけにも行かないんだろうか、などとつらつら考えるのである。
★★★

参考:
竹林軒出張所『雲上の超人たち(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『激走! 富士山一周156キロ(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『死闘!コスタリカ横断850キロ(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『密着! アタカマ砂漠マラソン(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『灼熱の大地を疾走せよ!(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『絶景アルプスを飛べ!(ドキュメンタリー)』

by chikurinken | 2017-04-25 06:48 | ドキュメンタリー

『小野田元少尉の帰還』(ドキュメンタリー)

小野田元少尉の帰還 極秘文書が語る日比外交(2017年・NHK)
NHK-Eテレ ETV特集

オノダさんは30人も殺害していた

b0189364_20291344.jpg 1974年、フィリピンのルバング島に潜んでいた旧大日本帝国軍人、小野田寛郎少尉が保護され、日本に帰国した。太平洋戦争終結後30年近く、戦争が終結したことも知らず、フィリピンのジャングルに潜伏していた軍人の帰還は、平和国家の戦後日本に暮らしていた多くの人々の度肝を抜いた。もちろんその数年前にグアム島に潜伏していた横井庄一が、同様に保護されて帰国した例があって日本人にも多少の免疫はあったが、それでもそれを上回る年月潜伏していたことは、僕にとっても大変な驚きだった。
 だが、この小野田少尉、戦争が継続中であると信じ、地元民をライフルで殺害したりしていたという。これは当時知らなかった事実である(あるいは意図的に隠されていたのかも知れない)。何でもその数、30人に上るということで、いくら戦争継続中と思い込んでいたとはいえ、殺害された方の関係者はたまったもんではない。そのため地元民の方も潜伏中の日本兵(小野田以外にも数人いた)を掃討する作戦を展開したらしいが、結局小野田だけは最後まで残っていた。
 しかしそういった事件が繰り返されていたため、(フィリピンに日本兵が潜伏しているという)この話は日本にも入ってきて、世論も何とか彼を救出すべきだという機運になった。当時日本の経済支援を欲しがっていたフィリピンのマルコス政権も協力を約束したため、事態は一挙に進展していく。ただし地元民の感情はそう簡単に割り切れるわけではなく(そりゃそうだろう、身内を殺されているんだから)、その辺が問題として浮上してくるが、日本政府は地元への経済支援という形で事実上の賠償をしようとする。太平洋戦争については賠償を一切行わない方針で当時の被害国に当たっていたため、直接の賠償ができないというのが日本政府のスタンスであった。
 政府により小野田救出活動は始まるが、かつて陸軍中野学校で「生き抜いて諜報活動を続けよ」という命令を受けていた小野田は、こういった活動が敵国側の作戦だと思い、なかなか出てくることがなく難航した。結局ある一人の日本人青年が小野田に接触したことから、やっと小野田をジャングルから引きずり出すことができた。その後もこの小野田の扱いをどうするかで問題になるが、フィリピンのマルコス大統領が特例の恩赦を与えることで決着が付き、無事日本政府に身柄が引き渡されることになった。ただし地元に対する賠償については、土壇場でマルコスが拒否したため、地元民にとって複雑な思いはそのまま残ることになった。
 こういった事情を明かしたのがこのドキュメンタリーで、当時子どもだった僕など「オノダさんがジャングルから戻ってきた」くらいの認識しか(当時からずっと)なかったため、僕にとっては新事実の連続で、大変興味深かった。もちろんこういった事実自体、今回新しく見つかった資料から明らかになったため、僕だけに限らず多くの人にとっても新事実ではある。
 なお帰国した小野田寛郎は、その後日本の教育問題なんかについてあれやこれやコメントする人になっていたが、さらにその後ブラジルに移住したらしい。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『野火(映画)』
竹林軒出張所『俘虜記(本)』
竹林軒出張所『コミック昭和史 第5巻、第6巻、第7巻、第8巻(本)』
竹林軒出張所『敗走記(本)』
竹林軒出張所『総員玉砕せよ!(本)』
竹林軒出張所『ゆきゆきて、神軍(映画)』
竹林軒出張所『鬼太郎が見た玉砕(ドラマ)』

by chikurinken | 2017-04-01 07:28 | ドキュメンタリー

『陥没』(ドキュメンタリー)

陥没(2015年・米Lawrence Klein Productions/WGBH)
NHK-BS1 BS世界のドキュメンタリー

ピンポイントに「陥没」を掘り下げる

b0189364_18020257.jpg 世界中で発生する陥没を取り上げたドキュメンタリー。テーマがピンポイントにもほどがあるドキュメンタリーだが、しかし世界中の陥没事故の映像が紹介される他、なぜ陥没が起きるかわかりやすく紹介されていて大変ためになる。『陥没』というタイトルもストレートで良い。
 陥没は、水に溶けやすい石灰岩質の岩盤が長時間に渡って浸食され(そのために地中に空洞ができ)、その上にある地表がある日突然崩壊することで引き起こされる(らしい)。石灰岩質の岩盤は世界中に広がっているため、地下で何が起こっているか知らないまま地上に構造物を建造すると、ある日突然ドン!ということになる。日本でもこの間博多で陥没事故が起こって他人事ではないし、自分の家の周辺でもいつこういったことが起こるかわからないわけで、それを考えるとおちおちドキュメンタリーを見ている場合ではない。しかしよそ事として見ている限りであれば、紹介される映像が非常に衝撃的なこともあり、なかなかにエキサイティングな番組である。もちろん本当であれば他人事ではまったくないのであるが、他人事だと考えながら見るのである。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『大地動乱の時代 地震学者は警告する(本)』
竹林軒出張所『MEGAQUAKE II(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『ガスランド(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『土の文明史(本)』

by chikurinken | 2017-03-30 07:01 | ドキュメンタリー

『ソビエト連邦のコマーシャル王』(ドキュメンタリー)

ソビエト連邦のコマーシャル王
(2014年・エストニア/フィンランドTraumfabrik)
NHK-BS1 BS世界のドキュメンタリー

広告に政治体制の矛盾が見え隠れする

b0189364_23571884.jpg 旧ソ連に存在していた唯一のCM製作会社、ERF(エストニア広告フィルム)。ソ連のテレビで放送されるCMを一手に引き受け、繁栄を謳歌していた。しかしソ連崩壊とともに事業から撤退。そもそもこの会社、エストニアに存在していたため、バルト三国が旧ソ連と縁を切った時点で、事業が継続できなくなった。ただし彼らが作ったCMフィルムは、アーカイブに収められ今も見ることができる。このドキュメンタリーは、こういったコマーシャル・フィルムを紹介しながら、それを通じ広告からソ連の社会を照射していこうという試みである。
 そもそも、計画経済だったソ連、広告が必要あるのかという疑問が真っ先に生じる。実を言うと広告はまったく必要ないどころか、ソ連は常時商品不足、物資不足が続いていたため、テレビでCMを打ったところで、消費者に商品が手に入るとは限らない。ではなぜCMが存在するかというと、たとえばある国営企業がある商品を作ってはみたが、在庫の山を抱えていて商品を捌けないケース(CMの力でなんとかしてくれということらしい)とか、国営企業が予算を消化できないため予算を消化するためにCMを発注するケース(日本の役所仕事を彷彿させる)とかで、こういう話を聞くと、CMにもソ連型計画経済の矛盾みたいなものが露わになっているのがわかる。
 ただCM自体は、ERFが当時のアメリカやヨーロッパの広告手法を研究していたため、それなりの作品(?)に仕上がっていて、国際映画祭で受賞したCMフィルムもあるほどだ。もちろん今見ると気恥ずかしい演出が多い(これは同時代の日本の広告を見ても感じることだ)のは事実だが、それでも、こういったCMからは共産圏であることがにわかに信じられない。共産圏の臭いがあまりしないのは、広告自体が資本主義的であるせいかわからないが、興味深い映像であることは確かである。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『こうしてソ連邦は崩壊した(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『フルシチョフ アメリカを行く(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『ベラルーシ自由劇場の闘い(ドキュメンタリー)』

by chikurinken | 2017-03-28 06:56 | ドキュメンタリー

『タッチ・ザ・ミュージック』(ドキュメンタリー)

タッチ・ザ・ミュージック 盲目のフルート奏者が“見る”世界
(2016年・スウェーデンDEEP SEA PRODUCTIONS/SVERIGES TELEVISION)
NHK-BS1 BS世界のドキュメンタリー

目以外の器官で視覚を実現する

b0189364_07465118.jpg スウェーデン在住の中国人ウー・ジンは、視力はないが、かつてパラリンピックに出場したこともあるという異色のフルート奏者である。フルートは演奏できるが、目が見えない、つまり指揮者の動きが見えないため、オーケストラでの合奏ができず、オーケストラで演奏することが彼女の悲願である。
 そんな彼女の夢を叶えようと、ジャーナリスト、指揮者、技術者などが協力して一大プロジェクトを敢行。それがロイヤル・ストックホルム・フィルハーモニー管弦楽団とウー・ジンとの共演である。そのために、視覚映像、つまり指揮棒の動きを触覚に変換し、これでウーの視力の代わりを果たさせようとする。当初はあまり実用にならなかったが、さまざまな試みを経て実用レベルに到達。そうしていよいよ本番の日を迎える……という、そういうドキュメンタリーである。
 触覚を利用することで、視覚に限りなく近いイメージを脳の中に作り出せるという話は、脳の可塑性の実例として『脳は奇跡を起こす』でも紹介されていたが、それを地で行くような話で、多くの視覚障害者にとって朗報となるような話である。まだ始まったばかりの研究であるが、この先どのように展開するか目が離せない。
 それにしてもこの主人公のウー・ジンという人、経歴が異色すぎて、その経歴だけで1つの話になってしまいそうである。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『脳は奇跡を起こす(本)』

by chikurinken | 2017-03-26 23:46 | ドキュメンタリー

『パリ戦慄の3日間 シャルリ・エブド襲撃事件』(ドキュメンタリー)

パリ 戦慄の3日間 〜シャルリ・エブド襲撃事件〜(2015年・英Films of Record)
NHK-BS1 BS世界のドキュメンタリー

シャルリ・エブド襲撃事件の全容

b0189364_7561228.jpg 2015年1月7日に起こったシャルリ・エブド襲撃事件の経過を、発生から犯人射殺まで時系列で紹介したドキュメンタリー。
 イスラム教の始祖ムハンマドを揶揄した風刺画を掲載した新聞、シャルリ・エブドの編集部を、2人組のイスラム原理主義に凝り固まったテロリストがカラシニコフ銃を持って襲撃し、11人を殺害して、その後逃亡。最終的に郊外の工場に立てこもっていたが、警察の知るところとなり、警官隊と銃撃戦を行った末、射殺された。
 このとき、犯人たちに共感するある男が、同じく警察官を1人殺害し、その後ユダヤ人向けのスーパーに人質を取って立てこもったが、犠牲者は出たものの最終的に警官隊に射殺されるという事件も同時に起こった。事件の解決はほぼ同時刻であったが、多くのフランス人を2日間に渡って恐怖に陥れ、フランス史上最悪のテロ事件となった。その後、この事件に衝撃を受けた多くの人々が街に繰り出し「私はシャルリ」というキャッチフレーズを掲げたデモを行った……というのがこの「シャルリ・エブド襲撃事件」の一部始終。
 この事件について、さまざまな映像や関係者のインタビューを交えて再構成したのがこのドキュメンタリーで、特にヒステリックになることもなく、比較的客観的に淡々と語っていく。シャルリ・エブドが1968年の民衆運動(パリ五月革命)をきっかけにできた新聞社で、その後、あちこちでスキャンダルを巻き起こしていた媒体であることも紹介される。宗教上の問題というより、とち狂った若者の乱射事件という扱いに近く、そういう点であのヒステリックな「私はシャルリ」デモとは一線を画したドキュメンタリーと言える。過剰な私情が入っていない分、共感しやすく、理解しやすいドキュメンタリーになっていた。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『フランスで育った“アラーの兵士”(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『そして、兄はテロリストになった(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『T(ERROR) FBIおとり捜査の現実(ドキュメンタリー)』
by chikurinken | 2017-03-01 07:56 | ドキュメンタリー

『フランスで育った“アラーの兵士”』(ドキュメンタリー)

フランスで育った“アラーの兵士”(2016年・仏Takia Prod)
NHK-BS1 BS世界のドキュメンタリー

問題の根源はイスラム教ではなく
社会に対する不満である


b0189364_7471862.jpg イスラム系フランス人のあるジャーナリスト(イスラム教徒)が、フランス国内のイスラム原理主義に凝り固まった若者に近づき、彼らがどのようにテロに走って行くかを側面から捉えたドキュメンタリー。
 このジャーナリスト(身の危険があるため素顔と名前は明かされていない)は、イスラム原理主義者が集まるというSNSに登録し、さまざまな若者と知り合う。警戒心を持つものもいるが、中には平気で近づいてくるような若者もいて、彼らを経由することでテロ活動家たちとも接するようになる。そうこうしているうちに、フランス国内でのテロの計画が持ち上がってきて、それに参加するよう促される。周りの若者は、大勢の異教徒を殺して自分も死ぬことこそアラーの意志とばかりに、テロへの参加を表明する。実際、彼らにはあまり現実感がないようにも見える。番組によると、彼らの多くは現状の生活に不満を持っているだけで、イスラム教とは本当の意味であまり関係がなく、多くのイスラム教徒はこういった過激思想に反感を持っているらしい。従って彼らはモスクでも宗教指導者と対立しているという。
 いずれにしても、大した現実感がないまま、現状の不満を周りにぶつけるというのが彼らの動機であり、テロリストのボスに良いようにコマとして利用されるというのがオチなのである。
 実際には、彼らが行動に移す前に、フランス国内で(別件の)ナイトクラブの乱射事件が起こったことから当局の締め付けが厳しくなり、大勢のテロリスト予備軍が逮捕された。そして彼らもその時点ですでにマークされており、一網打尽にされたらしい。この様子を内部から追っていたこの番組の主人公であるジャーナリストは、逮捕を免れたことからボスに正体がばれ、殺害予告をされるようになる。
 現状不満型の若者が、極端な考え方に凝り固まり、やがて悪の組織に利用される過程がよく分かるドキュメンタリーで、しかも主人公のジャーナリストも正体がばれる危険性が常に漂っていてかなりスリリングな展開になる。問題の根源はイスラム教ではなく社会に対する不満であるという主張も明確である。同様のドキュメンタリーは他にもあるが、その中でもっとも優れたもののひとつと言えるのではないか。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『そして、兄はテロリストになった(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『T(ERROR) FBIおとり捜査の現実(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『過激派組織ISの闇(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『追跡「イスラム国」(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『“イスラミック ステート”はなぜ台頭したのか(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『イスラーム国の衝撃(本)』
by chikurinken | 2017-02-28 07:47 | ドキュメンタリー

『巨龍中国大気汚染 超大国の苦闘』(ドキュメンタリー)

巨龍中国大気汚染 超大国の苦闘 〜PM2.5 沈黙を破る人々〜(2017年・NHK)
NHK総合 NHKスペシャル

目新しさはほとんどない

b0189364_212496.jpg 全土で深刻な大気汚染が進んでいる中国で、今抗議の声を上げている住民達の話。
 中国では、3年前に政府が公害対策を進めることを発表したものの、現実には一向に環境は改善されない。その有様は、映像から十分に伝わってくるほどで、人がまともに住める状態ではないということもよくわかる。このあまりにひどい状況に対して多くの住民が声を上げている(2016年には公害関連の訴状が8万件裁判所に提出されたという)が、地方行政は動かず、企業側も動こうとしない。政府の音頭で少しずつ変化の兆しは見られるが、遅々とした状態は相変わらず……というのが現状。この番組ではそういった状況が報告される。
 これまでもNHKスペシャルなどでさんざん報告されてきたような内容で特に目新しさがない番組ではあるが、唯一目新しい情報だったのが、経済状態の悪化のためにある鉄鋼工場が操業停止に追い込まれたところ、とたんに青空が蘇ったというケース。中国経済はこれから低迷に向かうことが考えられるため、結果的にこういうケースは増えていくだろうが、しかしこういった地域でもすでに土壌汚染が進んでおり、工場が停止しても即解決とはならない。何しろ中国はスケールがでかいので、影響も大きい。解決にも長い年月がかかりそうであると実感するドキュメンタリーであった。
★★★

参考:
竹林軒出張所『日本人は何をめざしてきたのか (3)(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『青空どろぼう(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『安全な“食”を求めて』(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『廃棄家電の悲しき行く末(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『ガスランド(ドキュメンタリー)』
by chikurinken | 2017-02-27 07:02 | ドキュメンタリー

『青空どろぼう』(ドキュメンタリー)

青空どろぼう(2010年・東海テレビ)
監督:阿武野勝彦、鈴木祐司
撮影:塩屋久夫
ナレーション:宮本信子

四日市ぜんそくはまだ終わっていない

b0189364_74945.jpg 四大公害の1つ、四日市ぜんそくの当時とその後を追ったドキュメンタリー。
 四日市ぜんそく発生当時から市民運動を展開し、機関誌などで一般市民へ状況を報告し続けてきたある運動家、澤井余志郎氏に密着する。今回日本映画専門チャンネルで放送された東海テレビのドキュメンタリーでは、概ね同じ手法を執っていて、何らかの事象に関わる人々に密着することで、その事象自体をあぶり出すのであるが、それはこのドキュメンタリーにも当てはまる。澤井氏を通じて公害被害が見えてくるというしくみである。
 ただ僕自身は、四日市ぜんそく公害自体がすでに終わったものと考えていたため、今ことさら取り上げる必要があるのかという疑念を持っていた。ところがこのドキュメンタリーによると、ぜんそく被害が実は現在も進行中で、かつてほどマスコミに取り上げられなくなったために、現状があまりこちらに伝わっていないだけというのが真相のようである。しかも現在では、国が公害病認定を行わなくなっているため、被害者の数はますます明るみに出にくくなった。何のことはない、見えない場所に追いやられただけなのであった。そういう意味では、このドキュメンタリーの持つ役割は非常に大きいと言える。僕自身も目からウロコだった。行政や企業が結託すれば、個人が理不尽な目にあっても、無視されるか消されてそれで終わりというのがよくわかる。同時に、こういった隠された事象を取り上げて伝えるマスコミ(またはミニコミ)の役割の大きさというのもよくわかるというものである。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『日本人は何をめざしてきたのか (3)(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『長良川ド根性(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『平成ジレンマ(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『死刑弁護人(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『ヤクザと憲法(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『ホームレス理事長(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『約束 名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『ふたりの死刑囚(ドキュメンタリー)』
by chikurinken | 2017-02-07 07:49 | ドキュメンタリー