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竹林軒出張所

chikrinken.exblog.jp

2017年 10月 02日 ( 1 )

『ヘッドライト』(映画)

ヘッドライト(1955年・仏)
監督:アンリ・ヴェルヌイユ
原作:セルジュ・グルッサール
脚本:フランソワ・ボワイエ、アンリ・ヴェルヌイユ
音楽:ジョセフ・コズマ
出演:ジャン・ギャバン、フランソワーズ・アルヌール、ピエール・モンディ、ポール・フランクール、ダニー・カレル、リラ・ケドロヴァ

捨てられた女よりもっと哀れなのは
よるべない女です


b0189364_08084347.jpg 中年男が若いウェイトレスと不倫関係になるという恋愛ドラマ。主演は国民俳優ジャン・ギャバンで、今回は『恐怖の報酬』ばりのトラック野郎を演じる。このジャン・ギャバン、どの映画でも積極的に演技をしているという感じはないが、どの役もよくはまっているから不思議。暗黒街のボスを演じた『望郷』の印象が今まで強かったが、『港のマリー』の冷静な実業家もよく合っていたし、この若い女に溺れるトラック野郎もなかなか良い。相手役はフランソワーズ・アルヌールで、ギャバン-アルヌール・コンビは前年の『フレンチ・カンカン』以来ということになる。
 ストーリーは割合ありきたりだが、中年男の家族、仕事、恋愛がよく描かれている。冒頭のトラックのカットも意外性があり面白い。ヘッドライトを多用した映像も印象的で、そのために『ヘッドライト』という邦題が付けられたのだろうと思われる(原題は『とるに足りない人々』という意味だそうだ)。また、この時代のフランスの労働者階級の様子もしっかり描かれていて、風俗という点でも興味深い。
 これまで未見の名画であり、期待が大きかった分多少物足りなさはあったが、しかし破綻もなくよくできた映画である。ちょっと女の子が憐れで、マリー・ローランサンの詩「鎮静剤」の一節、
  悲しい女よりもっと哀れなのは不幸な女です。
  不幸な女よりもっと哀れなのは病気の女です。

を思い出す。このあたりは『浮雲』と共通。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『地下室のメロディー(映画)』
竹林軒出張所『ダンケルク(映画)』
竹林軒出張所『望郷(映画)』
竹林軒出張所『大いなる幻影(映画)』
竹林軒出張所『港のマリー(映画)』
竹林軒出張所『霧の波止場(映画)』
竹林軒出張所『暗黒街のふたり(映画)』

by chikurinken | 2017-10-02 08:10 | 映画