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竹林軒出張所

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2017年 08月 28日 ( 1 )

『さらば東京タワー』(本)

b0189364_20390178.jpgさらば東京タワー
東海林さだお著
文春文庫

ショージ節健在の一冊

 マンガ家、東海林さだおのエッセイ集。第何弾かはわからない。この人、40年ぐらい前からこのテのエッセイを書き続けており、単行本も相当な数になるんではないかと思う。僕も著者のエッセイを読んだのは30年ぶりくらい。本書のエッセイは初出が2010年であるため、初期のものから数えるとかれこれ40年ぐらいか。それのそのはず、著者はすでに79歳。中に老人の性についての対談があり、著者自身は老人の問題を第三者的に見ているフシがあるが、実はど真ん中である。
 お掃除ロボット、ルンバとの接し方や東京タワー訪問記と、ネタは例によってさまざまだが、内容は昔と変わっていない。あれやこれやに対してのコダワリや怒りがユーモラスに表現されていて、ショージ節の健在がうれしい。中でも面白かったのは「オノマトペ大研究」と「相田みつを大研究」の2編で、前者が日本語の擬態語についてこだわり抜いた一編、後者が相田みつをの詩の分析(といっても概ね茶化しているんだが)。
 つまらなかったのは平松洋子という人との対談で、面白味がない上、何が言いたいのかよくわからないと来ている。他の対談(老人の性欲に関するものと、社交ダンスに関するもの)が東海林さだおの特徴が出ていて非常に面白かっただけに、平松対談については数合わせで入れたのかと思わせるグレードの低さだった。それでもまあ、ほとんどは独特の世界観(?)で貫かれており、しかも(やはりというべきか)エンタテイメント的要素も存分に散りばめられているため、十分楽しむことができる。この人みたいに、文章自体で面白さを表現できるという人もそういないんじゃないかな。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『かつをぶしの時代なのだ(本)』
竹林軒出張所『山手線内回りのゲリラ(本)』
竹林軒出張所『日本語ぽこりぽこり(本)』
竹林軒出張所『娘と私の部屋(本)』
竹林軒出張所『小説より奇なり(本)』

by chikurinken | 2017-08-28 07:19 |