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竹林軒出張所

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2017年 06月 30日 ( 1 )

『なんて素敵にジャパネスク』(本)

b0189364_19284277.jpgなんて素敵にジャパネスク
氷室冴子著
集英社コバルト文庫

平安時代が舞台という
異色の少女小説


 コバルト・ブックスの本、つまり少女向けの(今風に言うなら)ライト・ノベルなんであまり期待していなかったが、予想外に面白かった。
 著者は今は亡き氷室冴子。35年ほど前『本の雑誌』で絶賛されていたことから、当時学生だった僕も『クララ白書』や『アグネス白書』を読んでみたが、やはりオッサンには少々物足りない。面白さはあるが、どうも世界観が違いすぎていてあまり感情移入できなかった。この『なんて素敵にジャパネスク』は、その後に発表された作品で、といっても1984年とかなんでかなり前の話ではあるが、僕は本作についてはタイトル以外まったく知らなかった。タイトルを知っていたのはドラマ化されたためで、僕自身は見てはいないが当時それなりに話題になったのではないかという記憶がある。
 で、この作品、少女向けエンタテイメント小説なんだが、舞台が平安時代、主人公が内大臣の娘という異色な設定。主人公は奔放でちょっとじゃじゃ馬。幼なじみと結婚することが決まるが、平安貴族の習慣などをさりげなく(もないが)紹介しながら、話が進められていく。序盤は、ありきたりで面白いのかどうかわからないような、やはりオジにはきついかと感じるようなストーリーであったが、徐々に話が動いていって、スパイ小説みたいな要素も出てきた。また、仲間のスパイの男が実は……というような展開になって、女子好みと言えるようなストーリー展開になっていく。よくできていると思うが、最後は続編がありそうな展開で終わる。事実続編はある、というか、この作品、シリーズ化されて、その後何冊か出てくる。このことから、著者も割合お気に入りの作品だったことが窺われる。氷室冴子の代表作と言って良いんじゃないかと感じる。平安の風俗がわかるという点で古文の勉強にもなるんで、中高生には特に良いと思う。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『日出処の天子 第1巻、第2巻(本)』
竹林軒出張所『あさきゆめみし完全版(1)〜(10)(本)』
竹林軒出張所『日本人なら知っておきたい日本文学(本)』

by chikurinken | 2017-06-30 07:28 |