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竹林軒出張所

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2017年 05月 15日 ( 1 )

『E・トッドが語るトランプショック』(ドキュメンタリー)

エマニュエル・トッドが語るトランプショック 〜揺れる米中関係〜
(2017年・NHK)
NHK-BS1 BS1スペシャル

b0189364_18360847.jpg米中は表裏一体らしい

 『帝国以後』の著者、エマニュエル・トッドのインタビュー番組。この手の番組、NHKでは『エマニュエル・トッド 混迷の世界を読み解く』に続いて二度目ということになる。
 今回は、トランプの大統領就任とその後の米中関係について、トッドが語るというもの。トランプが大統領選で勝利したのは、中間層がグローバリズムによって疲弊していることが原因とする。また、今後米国は保護主義の方向に進むという持論を展開する。一方中国の立場についても、中国の活況というのはあくまでも先進国が下請工場として利用しているためであって、現在経済が低迷しているのは、(中国の最大の貿易相手国である)米国の経済低迷の影響であるとする。言ってみれば、米国と中国は表裏一体の関係にあり、中国の再生は、米国経済が立ち直るかどうかにかかっていると言う。そして米国が立ち直るための方策こそが保護主義である、というのがトッドの主張である。
 トッドによると、保護主義は、世間で喧伝されているように必ずしも悪いものではなく、関税などを使って適正なレベルで自国の産業を守るのは、その国の経済、ひいてはその国以外の経済にも役に立つ。(米英の主導により)過剰なグローバリズムが進んだせいで、世界中の経済が疲弊している現在、適切な保護主義に移行するというのが今後の世界の経済の流れになるということである。
 内容は、近年トッドが本やメディアで発言していることばかりで、特に目新しいものはないが、初めてトッドの話を聞く人にとっては斬新な論だろうと思う。ただそのトッドをしても、トランプがなぜシリアを攻撃したり、日本海に空母を派遣したりしているかはよくわからないという。そもそも国内向けの政策か国外向けの政策かが判然としないらしい。少なくとも国内の軍部勢力とは距離を縮められたということで国内的には利点があったと考えられるが、筋の通った説明は見つからないようだ。個人的にはあまり深い考えもなく突発的にやったんじゃないかという気がするが、いずれにしてもあの人、(グローバリズムから保護主義へという)時流に乗ったせいで最高権力者になったは良いが、何をしでかすかわからない人間であることに変わりない。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『エマニュエル・トッド 混迷の世界を読み解く(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『帝国以後 - アメリカ・システムの崩壊(本)』
竹林軒出張所『問題は英国ではない、EUなのだ(本)』
竹林軒出張所『「ドイツ帝国」が世界を破滅させる 日本人への警告(本)』
竹林軒出張所『シャルリとは誰か? 人種差別と没落する西欧(本)』

by chikurinken | 2017-05-15 07:35 | ドキュメンタリー