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竹林軒出張所

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2017年 04月 09日 ( 1 )

『やすらぎの郷』(1)〜(5)(ドラマ)

やすらぎの郷 (1)〜(5)(2017年・テレビ朝日)
演出:藤田明二、阿部雄一、池添博、唐木希浩
脚本:倉本聰
出演:石坂浩二、浅丘ルリ子、有馬稲子、加賀まりこ、五月みどり、野際陽子、八千草薫、藤竜也、ミッキー・カーチス

まだ5回だから何だが
すっかり枯れてしまっている


b0189364_19290211.jpg 倉本聰の新作ってことで少しばかり期待したが、本当に後ろ向きで枯れきっているという印象のドラマである。
 第5回目までに関してだが、セリフが説明的で、ナレーションも過剰である。しかも設定があまりにも不自然。短編小説とか1時間ドラマだったら耐えられるかも知れないが、これから約3カ月間も付き合うのはちょっと大変そうな気がする。ドラマの中に、先へ先へと進めるだけのダイナミズムがないため(1回あたり12〜13分のドラマだが)見続けるのも苦痛を感じる。
 もちろんまだ5回目だし、今後なんやかんやエピソードが入ってきていろいろと展開するんだろうが、そもそも舞台になっている、テレビ業界人だけが招待されるという(しかも入居者の費用がほとんどかからない)豪華老人ホームの設定があまりにリアリティがなさ過ぎで、その段階でもう見ていてアホらしくなる。なお付け加えると、入居者は(元大女優を含む)元大スターが多く(消息がわからなくなっていた大スターたちが実はここに住んでいたというようなことになっている)、そこにかつてシナリオライターだった主人公が新しく入居してくるというストーリーである。しかもその上、ここにかつてのスターたちが入っていることは世間には完全に秘密にされているという嘘みたいな設定にもなっている(今後つじつまがあわなくなりそうな予感さえする)。
 こういう設定を聞くと、倉本聰の夢想をそのまま描いたのかとも思ってしまうが、こういう設定で話を進めるとなると、スターさんたちの過去の栄光が物語の中心にならざるを得ないような……つまり(作り物の)過去および懐かしさ中心に話を展開することになるんじゃないかと推測されるが、こういうふうに懐かしさが物語の中心に鎮座してしまうと、本当に精気が無い抜け殻のような枯れたドラマになるんじゃないかというふうに危惧する。今後精気が盛り込まれるかどうかがこのドラマの唯一の注目点だが、本当のところあまり関心が湧かない。
 キャストは超豪華だし、石坂浩二と浅丘ルリ子の共演なんかもう二度とないだろうから、それなりに見所もあるんだろうが、こんな枯れつくしたような作品が世間に受け入れられるのか、そのあたりは疑問である。「シルバータイムドラマ」などと名うっているんで年寄り向けなんだろうし、初回放送で視聴率が健闘していたなどという話も聞くが、個人的には大して興味が湧かず、これからも見続けるかどうかはわからない。
★★☆

追記:
 ドラマでは登場人物の背景(出演作品とかその人のエピソードとか)がいろいろ出てきて(ほとんどはナレーションで説明される)、こうやって登場人物の背景を設定するのが倉本聰のシナリオ流儀らしく、つまりドラマに直接関係ない人物史を描き、それを随時拾い上げて使うというのが倉本流らしいんだが、これがもうとてもわざとらしくてうるさい感じがするのである。倉本作品を見ると、ときどき居心地の悪さを感じるんだが、おそらくこういうのが原因なんだろうな……ということに今回やっと気が付いた。物語の表に出てこない部分はないことにして良いんじゃないかと思うし、むしろそういう部分の処理の仕方が文学やドラマの醍醐味であり面白さではないかというのが僕の考え方である。

参考:
竹林軒出張所『聞き書き 倉本聰 ドラマ人生(本)』
竹林軒出張所『駅 STATION(映画)』
竹林軒出張所『冬の華(映画)』
竹林軒出張所『日曜劇場 ああ!新世界(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 ひとり(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 りんりんと(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 聖夜(ドラマ)』
竹林軒出張所『前略おふくろ様(1)〜(26)(ドラマ)』

by chikurinken | 2017-04-09 07:28 | ドラマ