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竹林軒出張所

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2014年 03月 25日 ( 1 )

『ゴリオ爺さん』(映画)

b0189364_843119.jpgゴリオ爺さん(2004年・仏)
監督:ジャン=ダニエル・ヴェルハージェ
原作:オノレ・ド・バルザック
脚本:ジャン=クロード・カリエール
出演:シャルル・アズナヴール、チェッキー・カリョ、マリック・ジディ、ナディア・バランタン、マルーシュカ・デートメルス

アズナヴールのゴリオは
洗練されすぎてやしないか?


 フランスの大作家であるバルザックの代表作『ゴリオ爺さん』をドラマ化したテレビ映画。主演のゴリオを演じるのは、なんとシャンソンの大家、シャルル・アズナヴールである。
 『ゴリオ爺さん』自体は原作を読んでいるわけではないのでどの程度中実に脚色されているかはわからないが、DVDの解説によると大筋では原作どおりということで、おおむねこの映画が『ゴリオ爺さん』であると考えてもよさそうである。娘のためにすべての財を費やし自らは安下宿に住まうゴリオの晩年が話の中心で、これに若き法学生ラスティニャックや極悪人ヴォートランが絡んで人間模様を織りなしていく。ちなみにこの話に登場する人物たちは、バルザックの他の作品にも(あるいは主人公として)登場するらしく(たとえば『ニュシンゲン銀行』のニュシンゲン男爵)、この人物再登場法は『ゴリオ爺さん』から始まったというから、やはりこれがバルザックの代表作ということになるんだろう。なお、こういった作品群は『人間喜劇』という総称で呼ばれている。さらに付け加えると『居酒屋』のゾラもこういう手法を使っている。
 さて肝心の映画の方だが、とりたててどうこう言うような要素はあまりなく、無難にまとめられているという印象である。何よりも当時の風俗がよくわかる点が、こういう映画の原作小説に勝る部分であり、その点では非常にうまく再現されていて良かったと思う。ただ、ラスティニャックが惹かれるデルフィーヌ役の女優があまり冴えないのが少し引っかかった(ラスティニャックが惹かれないヴィクトリーヌの方は陰があって良かった)が、それもまあご愛敬。翻案としてはよくできていたドラマである。これをとっかかりに『人間喜劇』に進んでいくのもありかなと思っている。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『原作と映画の間』
竹林軒出張所『居酒屋(映画)』
竹林軒出張所『赤と黒(映画)』
by chikurinken | 2014-03-25 08:46 | 映画