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竹林軒出張所

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2012年 07月 06日 ( 1 )

『オーケストラの少女』(映画)

オーケストラの少女(1937年・米)
監督:ヘンリー・コスター
脚本:ブルース・マニング、チャールズ・ケニヨン、ハンス・クレイリー
出演:ディアナ・ダービン、アドルフ・マンジュー、レオポルド・ストコフスキー、アリス・ブラディ

b0189364_8264630.jpg 恐慌の影響が残るアメリカで、失業中の演奏家を集めてオーケストラを作ろうと奔走する少女(主役のディアナ・ダービン演ずるパッツィ)の話。高校生のときNHKで見て、大学生のときに自主上映会で見た。今回が3回目ということになる。有名指揮者の「ストコフスキーさん」の役は、アメリカの人気指揮者、レオポルド・ストコフスキー自らが演じる。
 ストーリーはよく練られていて、ジェットコースターのようにめまぐるしく展開する。状況を好転させようと、主人公のパッツィがあちこちに奔走するんだが、成功したり失敗したりで、喜怒哀楽の変化も多い。だから見ていて感情移入しやすい。ともかく彼女のバイタリティと明るさはのっぴきならないもので、結果的に「元気をもらえる」映画に仕上がっている。登場する人々も善意の人が多く、そういう部分も映画の「心地良さ」につながっている。話自体はよくよく考えると荒唐無稽なんだが、その辺もうまく処理しているため、違和感はあまりない。
 クラシックを題材にした音楽映画であるため、随所にクラシックの有名曲が流れる。ディアナ・ダービンの歌唱もあちこちにちりばめられているが、個人的には「モーツァルトのハレルヤ」が好みである。この曲、大分前にCDで初めて聴いたときにどこかで聴いた曲だと思っていたんだが、今回、この映画が最初だったんだなと納得した。正式なタイトルはモテット「Exultate, jubilate(踊れ、喜べ、汝幸いなる魂よ)」で、その中の3つ目のアリアがこのハレルヤなんだが、タイトルのとおり喜びがあふれる歌曲で、ディアナ・ダービンの歌唱にピッタリだった。
 なお、この映画の目玉のシーンは、『ここに泉あり』という日本映画でも流用されている。ただし流用というのは控え目な表現であって、実際には「パクリ」である。ちなみにこの映画では、ストコフスキーの役を山田耕筰がやるのだな。だが『オーケストラの少女』に比べると映画自体チープな印象が否めない。それにあちこちクサイ演出があるし、山田耕筰の指揮もまったくいかさない。両者を比較してみると、ストコフスキーの指揮はやはり絵面として見栄えが良いのだということがよくわかる。
★★★★
by chikurinken | 2012-07-06 08:26 | 映画