ダウン症のない世界?(2016年・英Dragonfly Film & Television)
NHK-BS1 BS世界のドキュメンタリー
ダウン症胎児の中絶について考えさせられる 現在、妊娠中に出生前診断を行うことで、胎児がダウン症かどうかが事前にわかるようになってきている。ダウン症であることがわかれば中絶して子どもを産まない選択ができるということなんだが、こうやってダウン症を100%この世から排除することが良いことなのか、今存在しているダウン症の人々は存在してはならない存在なのか、そういうことを問いかけるドキュメンタリー。
番組の進行役は、ダウン症の息子を持つ女優のサリー。彼女は、ダウン症の息子、オリーについて、ネガティブな感情はまったくなく、この息子がいること自体、幸福なことだと感じている。そのため、出生前診断でダウン症の胎児を中絶するという傾向に対して違和感を感じている。
こういう状況で、出生前診断の権威の医師や、ダウン症の診断が出た人たちの相談施設のトップなどに話を聞く。ダウン症(ひいてはダウン症患者)が存在すべきでないものであるかのように話す人々もおり、それは(ダウン症の子どもを持つ)彼女にとって、耐えがたく賛同できない話だったりする。本当にダウン症はなくすべき悪なのかという問いを発し、ダウン症の現実(一例ではあるが)も紹介していくという、興味深いが少々重い内容である。ダウン症児の現在の教育体制や、社会で活躍するダウン症の人々も紹介する。ダウン症についてほとんど知識がなかったため、目が見開かれたような気がする。
★★★☆参考:
竹林軒出張所『日本人は何をめざしてきたのか (6)(ドキュメンタリー)』