電流戦争! エジソン VS テスラ
(2015年・米Stephen David Entertainment)
NHK-BS1 BS世界のドキュメンタリー
「電流戦争」概論 19世紀末のアメリカ、電球の発明と電気系統の普及で一躍時代の寵児になったエジソンだが、電気系統については直流電力を使っていたことから送電系統が数百メートルまでしか拡大できず、電気の普及の上でこれが大きな足枷になっていた。
かねてより交流電力網の可能性を主張していたオーストリア人、テスラは、エジソンの研究所で働きながらも、交流システムの利点をエジソンに説いていたが、結局エジソンとは物別れになる。エジソンの研究所から独立した後は、自ら交流システムを開発し、ウェスティングハウスと協力して、交流システムを実用化させる。エジソン側はあくまでも直流電力にこだわり、交流電力に対して(ウェスティングハウスとテスラに対して)「交流電力は危険」というあからさまなネガティブ・キャンペーンを行っていた(重犯罪者を処刑するための、交流電力を使った電気椅子を提供したりしている)。
その後、ナイアガラの滝に作られた発電所から電気を送るための送電網に交流電力が使われるようになった(つまりテスラ、ウェスティングハウス勢が受注した)ため、交流電力が爆発的に普及し、現在の交流電力網が定着した。そのいわゆる「電流戦争」について紹介するのが、このドキュメンタリー。番組は、多くの部分がドラマ仕立てになっていて内容が非常にわかりやすい。
交流電力網の拡大に伴って、テスラはウェスティングハウスからかなりの金額を手にすることになっていたが、契約金額が法外だったことからウェスティングハウス自体の経営が立ちゆかなくなり、結局テスラは利用料収入の大半を放棄することになる。そのため晩年はみじめな生活を送り、貧困のうちに死んでいったという。
★★★☆参考:
竹林軒出張所『発明はいかに始まるか(本)』竹林軒出張所『いまに至る道 灯り(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『世界をつくった6つの革命の物語 新・人類進化史(本)』竹林軒出張所『人類初飛行の光と影(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『iPadの衝撃 その1』