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竹林軒出張所

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『用心棒』(映画)

用心棒(1961年・東宝、黒澤プロ)
監督:黒澤明
脚本:黒澤明、菊島隆三
撮影:宮川一夫
音楽:佐藤勝
出演:三船敏郎、仲代達矢、東野英治郎、司葉子、山田五十鈴、加東大介、河津清三郎、志村喬

b0189364_18442623.jpgハリウッド的な
あまりにハリウッド的な


 黒澤明の代表作。滅法強い侍が、知力と腕力を駆使して悪者たちを倒していくというストーリーの映画である。
 活劇の要素が非常に強い映画だが、ただの活劇に留まらず、人情あり笑いありで、エンタテインメント色が非常に強いハリウッド的な映画と言って良い。もっとも見終わった後はそれなりの爽快感が残るため、多くのハリウッド映画で見た後に感じるようなバカバカしさは、この映画ではあまり感じない。この映画が公開後『荒野の用心棒』としてリメイク(というよりパクリ)されたことも、(この映画がハリウッド的であることを思えば)頷けるというものである。
 この映画、何よりテンポが非常に良く、見る者を飽きさせない。また主人公の桑畑三十郎(三船敏郎)がまことに魅力的であることも特筆すべきである。敵役の卯之助(仲代達矢)、居酒屋の親父(東野英治郎)も素晴らしい存在感を見せる。また、映像が凝っていて、たとえば近景と遠景を画面の中に並べて入れたりなど、随所に工夫が見える。後で確認したところ撮影監督は宮川一夫ということで、どうりでねと一人納得した。
 個人的な好みとしては、過剰なセンチメンタリズム、ヒューマニズムがうるさく感じられる。子どもが母親を呼ぶシーンや三十郎に礼を言うシーンなんかは、臭さが鼻について少々辟易する。黒澤映画らしいとは思う。黒澤映画らしいと言えばセリフが聞きとりにくいところも他の黒澤作品と共通している。最初の方に登場人物によって舞台の背景が語られるんだが、何を言っているのかよく聞き取れない。結局背景がよくわからないまま最後まで行ってしまった。ホントのところ字幕でも付けてほしいくらいである。
 とは言うものの黒澤映画の中では良い部類のもので、僕としては本作と『七人の侍』、『隠し砦の三悪人』、『椿三十郎』『デルス・ウザーラ』あたりを推したいところである。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『椿三十郎(映画)』
竹林軒出張所『蜘蛛巣城(映画)』
竹林軒出張所『デルス・ウザーラ(映画)』
竹林軒出張所『上意討ち 拝領妻始末(映画)』
竹林軒出張所『仲代達矢が語る 日本映画黄金時代(本)』
竹林軒出張所『リメイクもういらん党宣言』

by chikurinken | 2017-05-03 07:43 | 映画
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