ブログトップ | ログイン

竹林軒出張所

chikrinken.exblog.jp

『さらば国分寺書店のオババ』(1)〜(10)(ラジオドラマ)

NHK-FMふたりの部屋
さらば国分寺書店のオババ (1)〜(10)
(1981年・NHK)
原作:椎名誠
脚本:津川泉
出演:伊武雅刀、佐々木允、武知杜代子

椎名誠と伊武雅刀の黄金タッグ

b0189364_19024079.jpg ここでラジオドラマを取り上げるのは珍しいが、かつてはよくラジオドラマなどというものを聞いたものである。僕自身も今と違って時間に余裕があったせいかも知れないが、そもそもラジオドラマ自体が今より多かったような気がする……そうでもないのかな。僕自身がラジオをよく聞いていたせいかも知れない。今回紹介する『さらば国分寺書店のオババ』は81年の放送時に聞いたもので、椎名誠が同作でエッセイストとしてデビューして2年後の放送である。そのため椎名誠もまだそれほどメジャーではなく、一部のマニアに受けていたというような時代である。僕自身もこの放送を聞いた時点ではまだ椎名作品を読んだことがなかったんだが、この放送のインパクトが強かったため、その後『本の雑誌』を買って読むようになった。あ、この『本の雑誌』というのは椎名誠が編集していた雑誌なのね。
 さて、この放送であるが、15分×全10回という代物で、月曜日から金曜日の夜11時頃に放送された。ドラマのほとんどの部分、つまり原作の地の文は伊武雅刀が読む……というか演じる。伊武雅刀も当時まだそれほどメジャーではなく、僕はこのドラマで初めて「いぶまさとう」という名前を聞いたのであった。そして、この伊武雅刀のナレーションがもう、すごくいい。椎名誠の初期のスーパーエッセイは、世の中のいろいろなことに怒ったり考察したりというものなんだが、その怒り具合の表現、妙ちきりんな考察の表現などが、これ以上ないくらいはまっている。「椎名役は伊武雅刀」という定番になっていたとしてもおかしくない。実際この後同じ枠で放送されたラジオドラマ『気分はだぼだぼソース 日本の異様な結婚式について』(椎名誠原作)でも伊武雅刀が怒って絶叫しており、僕なんぞ聞いていて大笑いしたのだった。
 このラジオドラマは『さらば国分寺書店のオババ』というタイトルになっているが、半分以上は『かつをぶしの時代なのだ』のネタである。もちろん『さらば国分寺書店のオババ』のネタも入っていて、それぞれが非常にうまくブレンドされていて、知らなければ原作は元々1冊の本なのではないかと勘違いするほどである。毎回最後に「オババの部屋」などというコーナーもあって、聴取者を楽しませる工夫もある。また第9回、第10回には椎名誠本人が登場し、伊武雅刀と対話するというスペシャル企画もあって、本来であれば音源をアーカイブしていてほしいほどの傑作であったわけだが、残念ながら現在この音源が発売されているなどということはまったくない。ところがそれがYouTubeに登場していたのである。投稿した方によると「掃除してたら懐かしいカセットテープが出てきました。」ということらしいが、ありがたきこと限りなしである。そういうわけでYouTube経由で、全10回分存分に堪能し尽くした。『日本の異様な結婚式について』の方ももう一回聞いてみたいが、現状ではYouTubeにはない。もっとも残っているかどうかもわからない。奇跡的に残っていて、それを奇跡的に公開してくれる人がいたらなーと思うが、たとえ登場したところですぐに当局が消したりするんだろう。著作権を主張するのは当然だと思うが、それなら別の形で提供しろよと思う。ブツはないくせに、俺のだから勝手に人に見せたらいけんよなどというのは少々虫が良すぎるのではないか。何らかの手段で音源を集めるなりして、有料でもかまわないから公開するのが筋ってもんじゃないかなと思う。元々無料で公開していた作品なんだからあんまりうるさいことを言うなとも思う。
 この間の『快刀乱麻』のケース(竹林軒出張所『「快刀乱麻」を聴く』を参照)もそうだったが、こういった草の根的、ゲリラ的な一般公開は(本当なら権利がないにしてもだ)、やはりインターネットの一番の魅力と言える。そしてそれがYouTubeの魅力でもある。(著作権の観点から考えると)不謹慎かも知れないが。
★★★★

参考:
YouTube『NHK-FM ふたりの部屋 さらば国分寺書店のオババ 1』
竹林軒出張所『かつをぶしの時代なのだ(本)』
竹林軒出張所『「快刀乱麻」を聴く』

by chikurinken | 2017-04-17 07:01 | ドラマ
<< 『レ・ミゼラブル』(1)〜(4... 『幕末グルメ ブシメシ!』(1... >>