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竹林軒出張所

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『日本の熱い日々 謀殺・下山事件』(映画)

日本の熱い日々 謀殺・下山事件(1981年・俳優座映画放送)
監督:熊井啓
原作:矢田喜美雄
脚本:菊島隆三
出演:仲代達矢、山本圭、隆大介、井川比佐志、平幹二朗、浅茅陽子、中谷一郎、岩崎加根子、神山繁、大滝秀治

b0189364_20571772.jpgノンフィクションをそのまま
劇映画にするのは無理がある


 1949年、当時の国鉄総裁だった下山定則の轢死体が常磐線で発見された。自殺説、他殺説、GHQの謀略説、共産党の謀略説などいろいろな説が飛びかったが、結局迷宮入りし、いまだに真相は藪の中。これが世に言う下山事件で、その後起こった国鉄関係の事件(三鷹事件、松川事件)とあわせて、今でも物議を醸しており、折に触れて取り上げられている。
 当時朝日新聞社の記者をしていた矢田喜美雄は、独自の取材を通じて他殺説を確信し、1973年に『謀殺・下山事件』を出版した。それを俳優座が映画化したのがこの映画である。
 原作がノンフィクションだけに映画もドキュメンタリー調で、全編引き締まったモノクロ映像。著者の矢田喜美雄(映画では矢代)を仲代達矢が演じる。ただ映像は引き締まっているが、全体的には少々弛緩気味で、結局謎解きで終始しているため、謎解き以外の面白味はあまりない。謎解き大好きのミステリーファンなら楽しめるかも知れないが、劇映画としてはかなり物足りない印象である。ドキュメンタリー作品のような迫真性もない。
 俳優の演技も演劇風で作り物的な雰囲気になっているのはマイナス点。俳優座の役者ばかりなので演劇的になったのかはわからないが、演出レベルでもう少し何とかしたかったところである。脚本も過剰に説明的で、わかりやすいという点では評価に値するかも知れないが、そのあたりが映画が演劇的になった原因かも知れないとも思う。ノンフィクションをそのまま劇映画にしたらこうなったという類の映画で、見ているこちらは、あちらの意図と違ってあまり「熱く」はなれない作品になっている。またこの映画で展開されている推理も少々無理やりな部分が残っており、この映画を見た後でも矢田の下山他殺説を100%受け入れる気になっていないということも付記しておく。
★★★

参考:
竹林軒出張所『奇子 (上)(下)(本)』
竹林軒出張所『裁判百年史ものがたり(本)』
竹林軒出張所『日本テレビとCIA(本)』
竹林軒出張所『戦後70年 ニッポンの肖像 (1) 高度成長(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『忍ぶ川(映画)』

by chikurinken | 2017-04-05 06:56 | 映画
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