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竹林軒出張所

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『マルタイの女』(映画)

マルタイの女(1997年・伊丹プロダクション)
監督:伊丹十三
脚本:伊丹十三
音楽:本多俊之
出演:宮本信子、西村雅彦、村田雄浩、高橋和也、津川雅彦、江守徹、名古屋章、山本太郎、近藤芳正、あき竹城、伊集院光

笑いとサスペンスがほどよくブレンド

b0189364_75425.jpg 伊丹十三の「〜の女」シリーズの一作にして伊丹の遺作。「マルタイ」とは護衛対象者を表す警察用語で、主人公が殺人事件を目撃したことから犯人につけ狙われることになったために、警察によって護衛されることになるというストーリーの映画である。
 製作段階から三谷幸喜が関わっていたためか、あちこちにコメディの要素が散りばめられていて、隅から隅まで楽しめる。映画の内容自体はかなり殺伐としており、殺人も辞さない謎の宗教団体(オウム真理教を意識したもの)が不気味な影を落としていたりするが、コメディ要素が散りばめられているために、途中で滅入ってしまうようなことはない。
 伊丹十三自身がかつてヤクザに襲われマルタイになった経験が活かされているらしく、方々に経験者でなければわからないようなリアルな表現があるのも好ましい。マルタイだった伊丹は、この後、次回作のために某宗教団体と暴力団との関わりを追っていて、それが原因で殺されたようだが(公式には自殺になっているが)、死んだことが非常に悔やまれるくらい、この映画はよくできている。『マルサの女』や『スーパーの女』みたいに、珍しいものをお見せしますというレベルを超えた映画的な映画で、伊丹作品ではもっとも良いものの1つである。
 何よりキャストがどれもはまっていて、120%活用できている点に伊丹の才能を感じる。三谷幸喜が関わっているせいで、東京サンシャインボーイズのお馴染みのメンバーが多いが、中でも西村雅彦の快演は光る。村田雄浩とのコンビも絶妙で、名古屋章の刑事(管理官)は『刑事くん』を彷彿させるキャスティングで、これはもしかしたら三谷の嗜好なのか。
 伊丹十三の作品に三谷風コントを散りばめたような映画で、伊丹と三谷のコラボレーションがうまくいった作品と言える。過剰に(くだらない)笑いを取ることに走るのでもなく、非常に良い塩梅で仕上がっていて、笑いとサスペンスがほどよくブレンドした良い味わいの映画であった。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『ミンボーの女(映画)』
竹林軒出張所『スーパーの女(映画)』
竹林軒出張所『タンポポ(映画)』
竹林軒出張所『小説より奇なり(本)』
by chikurinken | 2017-03-10 07:54 | 映画
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