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竹林軒出張所

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『ミンボーの女』(映画)

ミンボーの女(1992年・伊丹プロダクション)
監督:伊丹十三
脚本:伊丹十三
撮影:前田米造
音楽:本多俊之
出演:宮本信子、宝田明、大地康雄、村田雄浩、大滝秀治、三谷昇、伊東四朗、中尾彬、小松方正、柳葉敏郎

b0189364_20185646.jpg革新的「ヤクザ映画」

 伊丹十三の「ヤクザ映画」。といってもそこいらのヤクザ映画とはひと味もふた味も違うのは伊丹十三らしい。ヤクザ組織による民事介入暴力(民暴)を扱っており、その手口や撃退方法を紹介する(もちろん)ドラマ仕立ての映画である。内容からは、警察庁が民暴関連の講習会で上映する教材みたいにも思えるが、ドラマとしてもよくできていて、特に民間人がヤクザと関わるシーンは非常に緊迫感がある。
 伊丹の「〜の女」シリーズはどれもあまりにできすぎで、言ってみれが先が見えてしまうという難点を抱えているが、この映画については予定調和的な要素があまり目立たず、良い具合に収束している。
 実際この映画が社会的にヤクザ組織に与えた影響は、公開直前に施行された暴力団対策法と相まって小さくなかったように思う。日本の大企業などの組織は、街宣車を使ったゆすりや恫喝の被害にかなり遭っていたようだが、昨今はそういう話も少なくなってきたように感じる。だがこの映画の直後に、伊丹十三自身がヤクザ者に襲われ大けがを負うという事件が起こったし、その後結局伊丹は謎の死を遂げることになった。こういったきな臭いエピソードがつきまとうため、この映画にはこれまで、あまりお近づきになりたくない雰囲気があった。だがこういう題材の映画ができたことは、日本の映画界および社会にとって画期的であり、社会に大きな影響を与えたという点でも十分評価に値する。映画自体も、先ほども言ったように非常にデキが良いもので、90年代を代表する映画と言って良いと思う。ただしそれが芸術面でなく社会面の意味あいが強いという点が少々残念な部分である。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『タンポポ(映画)』
竹林軒出張所『マルタイの女(映画)』
竹林軒出張所『スーパーの女(映画)』
竹林軒出張所『大病人(映画)』
竹林軒出張所『小説より奇なり(本)』
竹林軒出張所『ヤクザと憲法(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『冬の華(映画)』
by chikurinken | 2017-03-08 07:18 | 映画
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