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竹林軒出張所

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『赤ひげ』(19)(ドラマ)

赤ひげ 第19回「ひとり」(1973年・NHK)
演出:中山三雄
原作:山本周五郎
脚本:倉本聰
出演:小林桂樹、あおい輝彦、仁科明子、黒沢年男、浜木綿子、小鹿敦、柳生博

落ち着きのある『赤ひげ』

b0189364_20364455.jpg 山本周五郎の『赤ひげ診療譚』のドラマ化作品。『赤ひげ』は過去何度も映画化、ドラマ化されているが、これは72年から73年にNHKで全49回に渡って放送されたドラマで、おそらく『赤ひげ』のドラマ化では最高のものと言えるのではないかと思う。「赤ひげ先生」に小林桂樹、「安本」にあおい輝彦という配役で、奇を衒ったところもなく端正に仕上げられたドラマである。小林桂樹の「赤ひげ先生」もなかなか良いものであるが、どことなく同時期に製作された映画(およびドラマ)『日本沈没』の田所博士を思い出させるような人物像であった。
 脚本は倉本聰だが、ドラマの内容自体は、時代劇でありながら結構現代風。「権利」などという言葉が出てきたりして、思わずツッコミを入れたくなるような部分があちこちにあるが、時代考証を脇に置いて純粋にドラマとして見れば、割合よくまとまっている。『赤ひげ』と言えば黒澤明の映画が思い出されるが、あの映画みたいに気恥ずかしい演出があるわけではないので、安心して見ていられる。
 なおこのNHK版『赤ひげ』だが、実はほとんど映像が残っておらず、唯一公式に残っていたのがこの第19回である。患者が求める限り医者は自分の生活より患者を最優先すべきというテーマの1本で、芸術祭に参加したせいかこの1本だけが残されている。他の作品が残っていないのは、当時カラービデオが貴重だったために消去して繰り返し使ったためだろうと推察されるが、ただ放送された映像を録画したものが一部で残っているらしいので、他の回もそのうち出回るかも知れない。この第19回についてはDVD化もされており、割合目に触れやすいんではないかと思う。
第5回テレビ大賞優秀番組賞、第28回芸術祭優秀賞受賞
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『それぞれの秋 (1)-(15)(ドラマ)』
竹林軒出張所『「3人家族」と「二人の世界」(ドラマ)』
竹林軒出張所『聞き書き 倉本聰 ドラマ人生(本)』
竹林軒出張所『100年インタビュー 倉本聰(ドキュメンタリー)』
by chikurinken | 2017-03-04 07:36 | ドラマ
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