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竹林軒出張所

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『山猫』(映画)

山猫(1963年・伊仏)
監督:ルキノ・ヴィスコンティ
原作:ジュゼッペ・トマージ・ディ・ランペドゥーサ
脚本:スーゾ・チェッキ・ダミーコ、パスクァーレ・フェスタ・カンパニーレ、エンリコ・メディオーリ、マッシモ・フランチオーザ、ルキノ・ヴィスコンティ
撮影:ジュゼッペ・ロトゥンノ
音楽:ニーノ・ロータ
出演:バート・ランカスター、アラン・ドロン、クラウディア・カルディナーレ、リナ・モレリ、パオロ・ストッパ、ジュリアーノ・ジェンマ

老貴族は死なず、ただ消え去るのみ

『山猫』(映画)_b0189364_1839212.jpg 全編3時間を越すルキノ・ヴィスコンティの大作。おそらく彼の最高傑作と呼んで良い映画。
 1860年、イタリアに革命が起こり、それに伴って旧来の貴族はかつてのような地位を保てなくなる。貴族である主人公、サリーナ公爵(バート・ランカスター)はその時代のうねりの中で自らの運命を悟っていく、というような話である。
 このような話であるためストーリー自体に大した起伏はなく、悠々と貴族の日常が流れていく。そしてそこで描かれるのが(おそらく)本物のイタリア貴族の日常であり、それは非常に豪奢でありながら、一方で無駄が多く、このような贅沢が許されて良いのかと思わされるような部分でもある。元貴族ヴィスコンティが描く貴族の生活はリアリティに溢れ、そのリアルな生活を覗くことができるという意味でも十分価値のある作品である。
 この映画の圧巻はなんと言っても終盤1時間近く展開される舞踏会のシーンで、華やかでありながらある種のバカバカしさも感じさせる、なかなかユニークなシーンである。なんと言っても、主役の3人、バート・ランカスター、アラン・ドロン、クラウディア・カルディナーレの魅力が炸裂するのがこのシーンで、非常に見応えがある。
 映像も非常に凝ったものが次から次に現れ、泰西名画を見るような映像美が続く。家宝にしたい映画の1本である。
第16回カンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞
★★★★

参考:
竹林軒出張所『家族の肖像(映画)』
竹林軒出張所『若者のすべて(映画)』
竹林軒出張所『ルートヴィヒ(映画)』
竹林軒出張所『夏の嵐(映画)』
竹林軒出張所『白夜(映画)』
竹林軒出張所『切腹(映画)』

by chikurinken | 2017-02-18 07:38 | 映画
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