ルートヴィヒ(1972年・伊独仏)
監督:ルキノ・ヴィスコンティ
脚本:ルキノ・ヴィスコンティ、エンリコ・メディオーリ、スーゾ・チェッキ・ダミーコ
音楽:フランコ・マンニーノ
出演:ヘルムート・バーガー、ロミー・シュナイダー、トレヴァー・ハワード、シルヴァーナ・マンガーノ、アドリアーナ・アスティ
ヘルムート・バーガーの魅力 バイエルン国王「狂王」ルートヴィヒ2世の半生を描く映画。ヴィスコンティが監督しているだけに映像は絢爛豪華で、随所にワーグナーの音楽が流れる。
ルートヴィヒ2世は、ドイツ帝国成立直前の1864年にバイエルン王国(後にドイツ帝国に編入)の国王になったが、ワーグナーを庇護したり城の建設に没頭したりして国費を浪費し、そのためもあってか最終的に「発狂した」とされて廃位される。この映画でも「発狂」の事実は廃位のための口実であるとされている。一方でワーグナーの音楽に没頭する姿も描かれ、王の美意識の高さが随所に表現される。
ルートヴィヒが憧れるオーストリア王妃、エリーザベトを「シシー」女優、ロミー・シュナイダーが演じ(
竹林軒出張所『プリンセス・シシー(映画)』を参照)好演。また、ルートヴィヒ2世を演じた主演のヘルムート・バーガーの魅力が光る。ヴィスコンティの愛人だったせいか、ヴィスコンティの映画(『地獄に堕ちた勇者ども』、『ルートヴィヒ』、
『家族の肖像』)でのヘルムート・バーガーは、どの映画でも異彩を放っている。中でもこの映画はその最たるもので、まさにヘルムート・バーガーとヴィスコンティの映画である。
この映画は過去、京都と銀座の劇場で見ており、銀座の劇場では途中から最後まで1時間半以上眠っていた。さすがに上映中1時間以上眠った映画は後にも先にもこの映画をおいてないが、とにかく長時間眠ってしまうようなゆったりと流れる映画である。今回見たのは復元完全版ということで4時間のバージョンであったが、4時間連続で見るのは劇場でない限り僕には無理ということで、3部くらいに区切って見た。おかげで途中も眠くならず最後まで見ることができたが、4時間連続で見続けさせられるということになるとやはり苦痛だと思う。「完全版」などというものはビデオ時代の産物であるということを痛感する。
★★★☆参考:
竹林軒出張所『プリンセス・シシー(映画)』竹林軒出張所『若き皇后 シシー(映画)』竹林軒出張所『山猫(映画)』竹林軒出張所『若者のすべて(映画)』竹林軒出張所『家族の肖像(映画)』竹林軒出張所『夏の嵐(映画)』竹林軒出張所『白夜(映画)』