いのち・ぼうにふろう(1971年・東宝)
監督:小林正樹
原作:山本周五郎
脚本:隆巴
音楽:武満徹
出演:仲代達矢、勝新太郎、中村翫右衛門、酒井和歌子、栗原小巻、山本圭、佐藤慶
間延びしたストーリーと
安っぽいヒューマニズム 山本周五郎の『深川安楽亭』が原作の映画。
監督小林正樹、主演仲代達矢と来ると名作
『切腹』や『人間の條件』を思い出させ、いやが上にも期待を抱かせるが、残念ながら同じメンツであることが信じられないような間延びした映画になってしまった。テーマも非常に安っぽく、さながらできの悪い黒澤映画みたいで、安直なヒューマニズムが嘘臭い。原作がどの程度活かされているのかわからないが、原作だけでなく、脚本にも問題があるのではないかと感じる(脚本担当は仲代達矢の奥方)。
俳優座がタッチしている映画であるためキャストはなかなか豪華だが、どの役者も演技が大げさでいただけない。ともかくキャストもスタッフも一流なのに、何が原因かわからないがとにかくつまらないのである。キネ旬ベストテンに入っていたりするので公開当時はあるいは評判が高かったのかも知れないが、70年代が日本映画の冬の時代であることを考えると、この程度の作品でも良い方だったのだろうか。すごい映画が多い小林正樹作品の中ではかなり駄作の部類に入る。
★★☆参考:
竹林軒出張所『切腹(映画)』竹林軒出張所『怪談(映画)』竹林軒出張所『椿三十郎(映画)』竹林軒出張所『樅ノ木は残った 乱心(ドラマ)』竹林軒出張所『釣忍(ドラマ)』竹林軒出張所『赤ひげ (19)(ドラマ)』竹林軒出張所『闇の歯車(ドラマ)』竹林軒出張所『果し合い(ドラマ)』竹林軒出張所『仲代達矢が語る 日本映画黄金時代(本)』竹林軒出張所『リメイクもういらん党宣言』