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竹林軒出張所

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『脳は奇跡を起こす』(本)

b0189364_20132134.jpg脳は奇跡を起こす
ノーマン・ドイジ著、竹迫仁子訳
講談社インターナショナル

神経可塑性の可能性

 神経可塑性について紹介する本。
 従来、脳細胞は一定の年齢になると成長しないで衰えるだけと考えられてきたが、実は必要に応じて変化していくというのが神経可塑性という考え方である。たとえば脳障害のために動かなくなった部位がその後動かせるようになったケースの場合に、詳しく調べると実は通常と違う代替の脳部位が使われるようになっていたことが判明するなどというのがその実例である。脳が回路を作り替えていたわけである。
 著者は精神科医で、この本では神経可塑性についての最新の知見が紹介される。脳障害だけでなく、これまで不治の病とされてきた病気も、神経可塑性を利用することで回復する可能性があることも記述されている。自閉症やPTSDまでがその対象になる。紹介されている実験も面白いものが多く、被験者にテーブルが腕の一部であるかのように認識させると、テーブルを叩いたときにその被験者が痛みを感じるなどのケースはユニークで興味深い。
 ただ、この著者は基本的に精神科医でフロイトの考え方を踏襲しているらしく、少し疑わしい内容のものもあった。フロイトの理論について神経可塑性で説明している部分はそれなりに説得力があるが、ホンマかいなという感情も最後まで残る。
 またネットポルノ中毒についても1章を割いて解説しているが、これも結構怪しい。やや独断的な見方が少々気になるところだが、従来信じられていた局在論(脳の機能が特定の脳領域に固定されているとする考え方)に対抗する1つの解答がここにあるのも確かである。必要な部分だけ読んで吸収したら良いだけのことだ。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『奇跡の脳(本)』
竹林軒出張所『再起する脳 脳梗塞が改善した日(本)』
竹林軒出張所『壊れた脳 生存する知(本)』
竹林軒出張所『よみがえる脳(本)』
竹林軒出張所『タッチ・ザ・ミュージック(ドキュメンタリー)』

by chikurinken | 2017-01-28 07:12 |
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