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竹林軒出張所

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『20世紀少年 (1)〜(22)』(本)

20世紀少年 (1)(22)
浦沢直樹著
小学館

キミは著者の大風呂敷に付き合えるか

b0189364_7372970.jpg 15年以上前のマンガで、当時結構人気があったように記憶している。映画化もされ、テレビCMで放送される映画の予告編が不気味だったことを憶えている。
 内容も、おそらくオウム真理教の一連の事件をモチーフにしたであろうストーリーで、全編に不気味さが漂う。
 70年代に少年少女時代を送った主人公たちが成長し、その同級生の中に数々の怪事件の首謀者がいるということがわかり、かつての仲間たちを集めてその究明に乗り出すというストーリー。やがてそこに不気味な宗教団体の存在が明るみに出て来てしっちゃかめっちゃかになるというふうに話が進んでいく。
 主人公たちは、概ね僕と同世代で、使われる懐かしグッズも概ね知っているし、ノストラダムスの世紀末に関する予言なども身近だったため、このマンガで扱われている世紀末の恐怖感なども身近には感じる。実際オウム真理教も、あの予言からもたらされた不安を心の中のどこかに持っていた信者が中心だったというし、モチーフとしては面白い。ただし話が進んでいくうちに、物語の空間的な広がりがあまりにないことがだんだん見えてきて少々しらけてくる。もちろん、この著者は、画力がある上、見せ方が非常にうまい(先が非常に気になる終わり方をする)ため、どんどん読み進めることはできるんだが、ストーリーがやはり安直であると感じてしまう。大風呂敷を広げてはみたが、どうしようもなくなったという感じもあるし、何より死んだことになっている登場人部が実は生きていてその後大活躍するなどというストーリーもちょっと受け入れがたい。ご都合主義的と言わざるを得ない。
 これくらい画力、表現力がある作家であれば、もう少ししっかりしたストーリーならば良い作品ができるんじゃないかと感じたりする。そういう意味では、この作家にとっては原作ものの方が良いんではないかと感じる。実際この著者の『マスターキートン』なんかよくできていて面白かった。とりあえず『20世紀少年』については、ストーリーが稚拙過ぎるという評価に尽きる。語り口があまりにうまいため22巻までひたすら引っ張られてしまったが、途中からアラが見え始め、最後の方ではアホクサという見方をしていたことをここに明記しておく。
★★★

参考:
竹林軒出張所『21世紀少年 (上)(下)(本)』
竹林軒出張所『手塚×石ノ森 ニッポンマンガ創世記(ドキュメンタリー)』
by chikurinken | 2017-01-23 07:38 |
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