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竹林軒出張所

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『若い人』(映画)

b0189364_8283761.jpg若い人(1952年・東宝)
監督:市川崑
原作:石坂洋次郎
脚本:内村直也、和田夏十、市川崑
出演:池部良、久慈あさみ、島崎雪子、杉村春子、小沢栄、伊藤雄之助

ヘンな感じばかりが残る

 ミッション系女子高校を舞台にした、若い男性教師と女子生徒、そして女性教師の関係を描いた映画。原作は石坂洋次郎の同名小説。
 今見ると、女子生徒や女性教師が男性教師のアパートに遊びに行ったり、男性教師が泣きじゃくる女生徒を(愛情からではなく)抱くという、(今なら)ちょっと違和感を感じるシーンが目白押しだが、それ以外にも、江波恵子という女子生徒(島崎雪子)の行動と、それに対応する男性教師、間崎慎太郎(池部良)の心情というのがよくくみ取れない。この女子生徒、家庭に問題をかかえていて問題行動が多く、ストーカーまがいの行動で間崎に迫っていくが、間崎の方もだんだん好意を持つようになっていく。まずこのあたりからしてよく理解できない。おかしな行動の生徒に感情移入して恋愛感情を持ってしまう教師がいても不思議ではないんだが、ここで言っているのはそういうレベルの話ではなく、普通の人間がおかしな(というかやや狂気がかった)行動の人間に惹かれるようなことは普通の感覚からいけばないんじゃないかということである。石坂洋次郎の原作自体にそういう部分があるのか、それともこの映画のせいなのかはよく分からないが、とにかく江波恵子の行動と間崎の心情がまったく噛み合っていないような気がして、まったくドラマに入っていけなかった。それからこのストーリー自体(女性教師を含めた)三角関係がモチーフなんだろうが、そのあたりもなんだかしっくりこない。ともかくヘンな感じばかりが残るのである。
 そういうわけだから、方々がずれまくっているような印象があって、全体としての整合性がまったく感じられないというのがこの映画の印象である。小説を読むのも面倒だから映画を見て原作を読んだつもりになろうと思っていたが、どうも原作をそのまま踏襲したようなものではなさそうである。石坂洋次郎の小説は、もう少し明朗で単純なんではないかと感じていたが、結局は本当のところが分からないままである。少なくともこんな奇妙な噛み合わない世界ではないような気がする。
★★☆

参考:
竹林軒出張所『原作と映画の間』
竹林軒出張所『細雪(映画)』
竹林軒出張所『炎上(映画)』
竹林軒出張所『おとうと(映画)』
竹林軒出張所『鍵(映画)』
竹林軒出張所『野火(映画)』
竹林軒出張所『太平洋ひとりぼっち(映画)』
竹林軒出張所『ぼんち(映画)』
竹林軒出張所『夏目漱石のこころ(映画)』
竹林軒出張所『吾輩は猫である(映画)』
by chikurinken | 2017-01-16 08:29 | 映画
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