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竹林軒出張所

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『日曜劇場 幻の町』(ドラマ)

日曜劇場 幻の町(1976年・北海道放送)
演出:守分寿男
脚本:倉本聰
出演:笠智衆、田中絹代、桃井かおり、北島三郎、室田日出男

b0189364_8315139.jpg「幻」尽くしのドラマ

 東芝日曜劇場1000回記念ドラマで、同時に評価も高いある意味「幻」のドラマである。田中絹代にとっても最後の主演作で、本人がこの脚本をいたく気に入って、出演に消極的な笠智衆を自ら説得したというエピソードもある。
 戦前樺太の真岡という都市に住んでいた老夫婦(笠智衆、田中絹代)が、記憶を頼りに真岡の地図を作ることをライフワークにしていて、その地図を完成させるため、かつて樺太在住だった知人を訪ね歩く旅をしているという、かなりユニークな背景を持つストーリーである。老夫婦は、小樽にかつての知人の話を聞きにやって来たが、その知人はすでに亡くなり、その肉親の若い女性(桃井かおり)にそのあたりの事情を聞くというシーンから話が動き出す。老夫婦の過去や、若い女性の今の生活、それぞれの思いが絡み合い1本のドラマになるという寸法である。
b0189364_8321636.jpg 老夫婦の人生がテーマなんだろうが、老夫婦がキスするなど話がちょっと妙な方向に進んで、このあたりからあまり共感できなくなっていった。むしろ小樽の若いカップル(桃井かおりと北島三郎)のエピソードの方が、ちょっと『前略おふくろ様』を連想させるようなもので、リアルで面白かった。旅をする老人が若いカップルと関わり合うドラマといえば、山田太一の『冬構え』を思い出すが、テーマのリアルさという点では『冬構え』に軍配が上がる。この『幻の町』は、詩的なというか抽象的な方向に流れすぎて、なんだか訳がわからなくなってくる。ちょっと「幻」みたいなストーリーになっているのは作者の意図だかどうだかわからないが、世評は高くとも、どちらかと言うと(倉本作品にありがちな)やり過ぎで企画倒れの部類に入るドラマのような気がする。
第31回芸術祭優秀賞、1976年度芸術選奨文部大臣賞受賞
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『日曜劇場 ああ!新世界(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 ひとり(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 りんりんと(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 ばんえい(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 風船のあがる時(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 田園交響楽(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 遠い絵本 第一部、第二部(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 聖夜(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 時計(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 うちのホンカン(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 遅れてきたサンタ(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 スパイスの秋(ドラマ)』
竹林軒出張所『聞き書き 倉本聰 ドラマ人生(本)』
竹林軒出張所『100年インタビュー 倉本聰(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『前略おふくろ様(1)〜(26)(ドラマ)』
竹林軒出張所『冬構え(ドラマ)』
by chikurinken | 2016-12-24 08:33 | ドラマ
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