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竹林軒出張所

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『子どもに広がる銃社会』(ドキュメンタリー)

子どもに広がる銃社会(2015年・仏HOMEMADE PRODUCTIONS)
NHK-BS1 BS世界のドキュメンタリー

未来の顧客、それが子ども

b0189364_6523884.jpg アメリカの銃社会の異常性を紹介するドキュメンタリー。
 アメリカでは、子どもが銃の取り扱いを間違えて(肉親を含む)周りの人間を死なせてしまうという事故が後を絶たないらしい。それは、子どもの身近に銃があるためで、そのあたりがアメリカと他の国との違いであり、外国人である我々の想像を超える部分である。このドキュメンタリーはフランスの製作局が作っているものであるため、アメリカの銃社会に対する冷ややかな感覚は日本人の我々と同じである。要は今のアメリカ社会の現状は常軌を逸しているということである。
 そもそも、このドキュメンタリーに出てくるアメリカ人は、子どもに銃を買い与えたりあるいは誕生日にプレゼントしたりするんで、正直、頭がおかしいんじゃないかという感慨しか持たない。こういった人々は銃規制に反対しているわけで、例によって「銃には罪がない、罪があるのは間違った使い方をする人間である」みたいな理論を繰り返す。「人がナイフで殺人をしたからといってナイフの所持を規制することはできないだろう」という理屈である。ナイフと銃とではその性質がまったく違うと思うが、そんなことはお構いなく、とにかく自分が銃を持っていたいから銃規制に反対しているようにしか見えない。実際、このドキュメンタリーに登場するある家族(先ほどの理屈をこね回していた人の家族)は銃大好きのようで、家に数十丁の拳銃やライフルを所持していて、週末には家族(子どもを含む)で近所の射撃場に行き銃をぶっ放して楽しんでいた。
 アメリカでは憲法修正第2条で「国民が武器を保持する権利は侵してはならない」と規定されている。ちなみにこれは1791年(日本では寛政の改革が行われていた時代)に制定された法律で、こういった野蛮な法律がいまだに効力を持っているのは、かの国が野蛮なせいかどうかわからないが、結果的に銃を放置していることで多くの凶悪犯罪が起こっているのはご承知の通り。
 しかしいずれにしても、銃が下の世代にどのように受け継がれているかはこのドキュメンタリーでよくわかった。銃の製造業者(アメリカライフル協会)が、銃規制の話が出てくると議会に対してロビー活動を繰り広げ、結局(ちょっとしたものであっても)銃規制の法案を廃案にさせてしまうという現実もわかった。このドキュメンタリーには、銃規制を進めるべきとする人々も出てくる(しかも実際は米国人の70%以上が銃規制に賛成らしい)が、新しい銃大好き世代が再生産されている現実を見ると、アメリカで銃が取り締まりの対象になることは少なくとも今後100年間くらいは起こりそうにないような気がしてくる。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『銃社会アメリカ ある牧師の挑戦(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『もうひとつのアメリカ史 (8)〜(10)(ドキュメンタリー)』
by chikurinken | 2016-12-05 06:52 | ドキュメンタリー
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