日曜劇場 遅れてきたサンタ(1984年・北海道放送)
演出:長沼修
脚本:倉本聰
出演:いしだあゆみ、平田満、三木のり平、秋元博行
84年の水準から行くと並のドラマ 北海道放送製作、倉本聰作の日曜劇場作品。倉本作品の日曜劇場としては、最後期のドラマである。
1984年と言えば、すでに『北の国から』で倉本聰ブームみたいなものが起こり、しかも『駅 station』みたいな重厚な映画も作った後で、倉本聰が一番調子が良かった時期である。そのせいか先日見た『スパイスの秋』と比べるとはるかにグレードが高い。『駅 station』を彷彿させるような北の飲み屋のシーンもある。
北海道のとある貧しい漁師町に毎年12月24日に現れて子どもたちにプレゼントを配るサンタクロースの話を耳にした新聞記者(平田満)が、この話を新聞で公表したあたりから話が動いていく。この記事を通じてそのことを知ったテレビなどのマスコミがその町に殺到し、結果的にそのサンタクロースがその町に行くことができなくなるというようなストーリーである。
ストーリーは割合自然に流れ、あまり作為的な部分を感じない。やはり絶頂期の作品である。ただし、途中少し澱むような部分(平田満と三木のり平が飲み屋で酔っ払うシーン)があって、そのあたりから流れが悪くなった。まるで
『昨日、悲別で』の千秋実のシーンのようだった。また1時間ドラマだから仕方がないのかも知れないが、ドラマに膨らみがなく物足りない感じも残る。総じて、それなりに面白くはあるが、84年の倉本聰の水準から行くと並の部類のドラマである。
★★★☆参考:
竹林軒出張所『日曜劇場 ああ!新世界(ドラマ)』竹林軒出張所『日曜劇場 ひとり(ドラマ)』竹林軒出張所『日曜劇場 時計(ドラマ)』竹林軒出張所『日曜劇場 りんりんと(ドラマ)』竹林軒出張所『日曜劇場 幻の町(ドラマ)』竹林軒出張所『日曜劇場 ばんえい(ドラマ)』竹林軒出張所『日曜劇場 風船のあがる時(ドラマ)』竹林軒出張所『日曜劇場 田園交響楽(ドラマ)』竹林軒出張所『日曜劇場 遠い絵本 第一部、第二部(ドラマ)』竹林軒出張所『日曜劇場 うちのホンカン(ドラマ)』竹林軒出張所『日曜劇場 聖夜(ドラマ)』竹林軒出張所『日曜劇場 スパイスの秋(ドラマ)』竹林軒出張所『駅 STATION(映画)』竹林軒出張所『前略おふくろ様(1)〜(26)(ドラマ)』竹林軒出張所『前略おふくろ様II(1)〜(24)(ドラマ)』竹林軒出張所『聞き書き 倉本聰 ドラマ人生(本)』竹林軒出張所『100年インタビュー 倉本聰(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『昨日、悲別で (1)〜(13)(ドラマ)』