最高に楽しい文房具の歴史雑学
ジェームズ・ウォード著、関根光宏、池田千波訳
エクスナレッジ
何かがもの足りない……
少なくとも「最高に楽しい」ということはない
イギリス在住の文房具愛好家のブロガーが書いた文房具のウンチク本。
ゼムクリップ、ホチキス、ボールペンなどの歴史が紹介されているが、残念ながらほとんどの箇所であまり面白味を感じない。なぜ面白くないかはよくわからないが、おそらく意外性に乏しいからではないかと思う。著者のジョークもあちこちに散りばめられているがこちらも面白くなく、記述自体は(個人的には)割合鼻につくようなものである。したがってあまり良い印象はない。
もちろんこの本で初めて知ったこともあり、たとえばスコッチテープやテープディスペンサー、ポストイットなどが3Mの発明品というのはさもありなんとも思うが、1社でこれだけの文房具を発明(再定義)したことを考えると3Mは偉大な企業だということがわかる。またフェルトペンがぺんてる社の発明というのも初耳である。このように耳新しいこともあるにはあるんだが、先ほども言ったように読んでいてあまり面白くない。もう少し見せ方、つまり提示の仕方を工夫すれば面白い本になったんではないかという気もしないではない。
また紹介される文房具に、名前を知らない文房具名(あるいはメーカー名)が結構あり(モレスキンやティペックスなど:イギリス人なら普通に知っているのかも知れない)、こういったところに訳者の注なり写真やイラストなりを入れるなどの工夫が欲しかったとも思う。
結局、時間をかけて読んだ割にはあまり残るものがなかったという類の本で、読んだことを少々後悔している。
★★★
参考:
竹林軒出張所『古き良きアンティーク文房具の世界(本)』
竹林軒出張所『日本懐かし文房具大全(本)』
竹林軒出張所『さわの文具店(本)』
竹林軒出張所『ボールペン反見える化計画』