京都人の密かな愉しみ 月夜の告白(2016年・NHK)
NHK-BSプレミアム ザ・プレミアム
そろそろ佳境かな…… 『京都人の密かな愉しみ』シリーズの秋版。やはり秋版が出てきた(
竹林軒出張所『京都人の密かな愉しみ 冬(ドキュメンタリー)』を参照)。
今回は月に関するエピソードがテーマで、全編いろいろなところで月がモチーフとして使われる。例によって、ヒースロー教授(団時朗)と老舗和菓子店の若女将、三八子(常盤貴子)を中心に展開するドラマがメインで、それにプチドラマ(今回は1本)や料理コーナー、京都のエピソード紹介コーナーが挿入される。演出は源孝志、出演は上記2人の他、シャーロット・ケイト・フォックス、深水元基らで、プチドラマの方は本上まなみ、安藤政信が主演。このプチドラマには、エピソードがもう一つあって、そこでは黒谷友香が宮川町の芸妓を演じている。ドキュメンタリーの範疇に入れられているが、ほとんどはドラマである。
今回メインドラマでは、ヒースローが出家したところで終わったことだし、シャーロット・ケイト・フォックスのエミリーとの関係も次回収束に向かいそう。また三八子についても一定の落ち着き方をしそうである。ドラマはまだまだ続きそうだが何となく結末が近いという印象で、次の春版が最終回ではないかという気がする。
今回のテーマが月であることから、中秋の名月(旧暦8月15日)、裏名月(旧暦9月13日)や、立待月、居待月、有明月など月についてのあれこれが紹介されるが、元々こういったものは特に京都に限定されるものではなく、ほとんどが江戸時代に採用されていた太陰太陽暦の習慣に則ったものである。ただ現在の京都でも、こういった月に関わる行事や習慣が残っているらしいので、この番組で紹介されても別段かまわないが、ネタとしてはそれほど新鮮さはない。全体的に少々マンネリが出てきているようにも感じるが、このことも次回が最終回かなと感じる由縁である。良い感じで収束するんじゃないかと思う。
今回特に目新しいことはなかったんだが、今回は武田カオリ「京都慕情」(今回は2番まであった)以外にも、挿入音楽が非常に良いと感じた。音楽担当は阿部海太郎という人だが、ワルツあり、タンゴ風あり、「なのにあなたは京都へ行くの」(歌:シャーロット・ケイト・フォックス)ありで、実に味わいがあって凝りまくっている。風情がある武田カオリ版「京都慕情」とあわせて、いずれミュージッククリップがCD化されるんじゃないかという予感もしている。阿部海太郎という人、ちょっと注目。CDの発売についても期待したいところ。
★★★☆参考:
竹林軒出張所『京都人の密かな愉しみ(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『京都人の密かな愉しみ 夏(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『京都人の密かな愉しみ 冬(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『京都人の密かな愉しみ 桜散る(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『京都人の密かな愉しみ blue 修行中(ドキュメンタリー)』