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竹林軒出張所

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『訪問インタビュー 冨田勲』(ドキュメンタリー)

訪問インタビュー 冨田勲 全4回(1983年・NHK)
NHK総合

渋い、あまりに渋い番組

b0189364_801315.jpg 1983年にNHKで製作・放送された『訪問インタビュー』が、CSの日本映画専門チャンネルで放送された。この『訪問インタビュー』先月から続けて放送されているが、いまだにDVD化されていない貴重な映像で、やるじゃん日本映画専門チャンネル!という番組なのである。このチャンネル、先々月から「山田太一劇場」、「倉本聰劇場」と名うって両者の作品をまとめて放送している。そのためもあって先月加入したのだった(だから先々月放送のものは見落としてしまった)。どれもすごい企画だと思うが、しかしこういった作品群はどれもテレビ放送されたもので、「日本映画専門」という看板とはかけ離れているようにも思えるが、もちろんこういった企画は是非続けていってもらいたいというのが僕の本音。
 『訪問インタビュー』という番組は、80年代当時僕自身テレビを持っていなかったせいもありまったく知らなかったが、1回あたり20分、全4回で1人分という構成になっている(月曜から木曜の同時刻に放送されたという)。今回取り上げられるラインアップを見ても興味深いインタビュイーが多く、岩波ホールの高野悦子なんかも登場する。中でももっとも興味を引いたのが今回のこの冨田勲である。冨田については、以前『タモリ倶楽部』に出て、非常に面白い話が聴けたので、もっと掘り下げた話も聴いてみたいと思っていた。ところが先頃亡くなってしまったんで、過去に書いたものやなんかを読まない限りなかなか知ることができない状態になった。『タモリ倶楽部』でわかったが、大層話し好きな人のようで、インタビューみたいなものがあったらそれに越したことはないと思っていたところ、この番組が出てきたというわけ。
 さてこの冨田勲インタビューだが、第1回は当時取りかかっていた大河ドラマ『徳川家康』のテーマ音楽関連の話、第2回はシンセサイザーに興味を持った時期の話、第3回は音色への関心、第4回は今の仕事についてという内容(だったと思う)。『タモリ倶楽部』と重なる話も多く、しかもこちらはNHKの番組で、あの番組ほど気さくに話していないため、冨田勲の魅力はあまり伝わってこなかったが、彼が何を求めて音楽活動をやっていたかはよく伝わってきた。何でも少年時代から(メロディよりも)音色に対する興味が深かったようで、最初はストラビンスキーなどの20世紀の音楽に夢中になったという。既製の楽器の音に飽き足らずシンセサイザーなどの人工の音を開拓することになるんだが、そのあたりの流れも自然であり、必然性が感じられる。途中、シンセサイザーでの実際の音出しの方法も実演していて、こちらはとりわけ興味をそそる場面であった(もっといろいろ見せてほしかったところだ)。すでに83年の時点でコンピュータによる革新が大きかったという話もしていて、(このインタビューの)5〜6年前であれば数時間かかるような作業もコンピュータのおかげで瞬時に行えるようになった(しかもそのデータを保存できるようになった)と語っていたことが興味深い。ちなみにインタビューが行われた場所もNHKのスタジオ、自身のアトリエ、自宅のリビングと多彩である。
 インタビュー番組としては少々物足りない面もあったが、冨田勲の半生を映し出したという意味で貴重なソフトと言うことができる。なお、この番組のテーマ曲だが、冨田勲が編曲したものである(オリジナルはバッハのインベンション)。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『ナマ冨田勲が出た!』
竹林軒出張所『100年インタビュー ロナルド・ドーア(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『100年インタビュー 倉本聰(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『100年インタビュー 脚本家 山田太一(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『テレビがくれた夢 山田太一 その1(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『テレビがくれた夢 山田太一 その2(ドキュメンタリー)』
by chikurinken | 2016-11-11 08:01 | ドキュメンタリー
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