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竹林軒出張所

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『エマニュエル・トッド 混迷の世界を読み解く』(ドキュメンタリー)

エマニュエル・トッド 混迷の世界を読み解く(2016年・NHK)
NHK-BS1

b0189364_21112456.jpg現代世界の羅針盤

 『帝国以後』の著者、エマニュエル・トッドのインタビュー番組。50分でまとめられているため、ダイジェスト的だが、トッドによる現代世界の見方が紹介される。番組ではトッドのことを、ソ連崩壊、アメリカの凋落、EUからの英国の離脱などを予言し的中させてきたなどと紹介していたが、これは遠からずと言えども当たらずという感じで、予言を的中させたわけではない。さまざまな予想のうちの一部が当たったという言い方が正しい。
 EUからの英国の離脱が必然でありEUは崩壊の危機に陥っていること、アメリカ大統領選挙のトランプ現象が支配層に対する中間層(大学を卒業できなかった層)の反乱であり今後も同様の動きが継続する可能性が高いことなどの他、現在繁栄を謳歌している中国は今後内部から崩壊する危険性を孕んでいるため日本は敵対するのではなく支援すべきであることなどが語られる。ここで披露される見識は例によって統計などから得られたもので説得力がある。実際EUとアメリカの凋落は『「ドイツ帝国」が世界を破滅させる』や『帝国以後』などでも予想されていたが、こういった予想はいろいろな統計データに基づいたもので、奇異に見える結論であってもそれなりの説得力があり、実際世界がその予想に近い形で動いていることからもトッドの先見性は疑うべくもない。ただし先ほども言ったようにトッドは決して予言者ではない。そういった喧伝の仕方はあまり気持ちの良いものではない。
 また日本の少子化についてもコメントしていたが、早く対策をとらなければ今に日本も凋落することになるよと警告していた。行政の関係者は早く対策をとるように。
 インタビューは、廃校になった新宿の小学校や大井埠頭、駒沢オリンピック公園などで行われ、随時統計データがCGで画面内に挿入される。話の内容が非常にわかりやすく伝わるような配慮がされていて、内容がやや難しいわりには理解しやすくなっている。インタビュー番組としては成功である。最初に言ったように、時間が短かったこともありトッドの今の見方をつまみ食い的に紹介するだけになってしまった点が惜しいが、いずれテーマを絞った上で時間を十分確保した番組を作ってほしいと思う。『100年インタビュー』みたいな番組がとっても合っているんだが、実はもうトッド氏、出演済みなんだな(その回の『100年インタビュー』は見応えがあった)。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『帝国以後 - アメリカ・システムの崩壊(本)』
竹林軒出張所『「ドイツ帝国」が世界を破滅させる 日本人への警告(本)』
竹林軒出張所『問題は英国ではない、EUなのだ(本)』
竹林軒出張所『E・トッドが語るトランプショック(ドキュメンタリー)』

by chikurinken | 2016-11-10 07:10 | ドキュメンタリー
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