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竹林軒出張所

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『ベラルーシ自由劇場の闘い』(ドキュメンタリー)

ベラルーシ自由劇場の闘い 〜“欧州最後の独裁国家”の中で〜
(2013年・米Great Curve Films)
NHK-BS1 BS世界のドキュメンタリー シリーズ「知られざる国々の素顔」

ソビエト型独裁政治の残滓

b0189364_21582745.jpg 東欧に位置するベラルーシ共和国。かつてソビエト連邦に属していたこの国は、ソ連崩壊後、ルカシェンコが大統領に君臨し、ソビエト型の独裁政治を続けている。2011年の大統領選挙では、ルカシェンコの独裁に嫌気がさした市民が立ち上がり、ついにルカシェンコ政権が終わるかという局面を迎えたが、選挙結果の改竄によってルカシェンコがそのまま大統領の座にとどまった。反発した市民や対立候補はこれに対して大規模なデモで応じたが、デモに対して大弾圧が行われ、逮捕者が続出、民意が力ずくで押しつぶされる結果となった。
 こういう現状を訴え続けている劇団がベラルーシ自由劇場である。2011年の大弾圧事件後、メンバーたちは逮捕を恐れ出国、その後数カ月ニューヨークで活動を続けた。アメリカでは大いに評価を受け、ベラルーシの状況をアメリカ人に伝える役割を果たしたが、帰国したいというメンバーが出てきたため、それを機にアメリカでの活動をやめ、ロンドンに移ってロンドンで活動を続けている、というのがこのドキュメンタリーが作られた時点(2013年)での話。
 ベラルーシの独裁の状況が映像でレポートされ、弾圧の様子もよく伝わってくるが、何よりベラルーシ自由劇場の舞台が素晴らしく、独裁政治下でのやるせなさや絶望感までが見事に表現されている。先の見えないベラルーシ情勢だが(ルカシェンコは2015年にも再選されたという)、こういったドキュメンタリーによって現状が伝えられると、我々にとっても無関心でいられなくなる。今後どうなるかわからないが、現代に残されたソビエト型独裁政治の残滓に注目していきたいと思う。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『混沌のウクライナ(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『アレクセイと泉(映画)』
竹林軒出張所『暴かれる王国 サウジアラビア(ドキュメンタリー)』
by chikurinken | 2016-09-15 06:57 | ドキュメンタリー
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