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竹林軒出張所

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『あこがれの家電時代』(本)

b0189364_22483780.jpgあこがれの家電時代
清水慶一著
河出書房新社らんぷの本

博物館風に昭和の家電を紹介

 これも、ここのところ立て続けに読んでいる懐かし家電の本の1つだが、しかしこの本には他のカタログ本と違って非常にしっかりしたコンセプトがある。昭和の家電を単にカタログのように紹介していくだけでなく、その背景の時代を家電から読み解くという視点が明確になっている。そのため紹介される家電がエポックメイキングなものばかりで、そういう点でも資料的価値が高いと言える。紹介されるのがそういった画期的な商品であるため、現物がすべて手元にあるわけでなく、それがために松下電器、ソニー、シャープ、東芝科学館などから写真を提供してもらっている。この本自体が、他の類書のようにカタログ的ではなく、どちらかというと網羅的で博物館的なたたずまいになっているのはそのせいである。さまざまな製品についてのコメントや解説も当を得たものが多く、家電から時代を切り取るという試みも成功している。そのため、読んでいて非常に興味をそそられる。
 著者は国立科学博物館に勤務する専門家で、専門は産業技術史だそうな。興味本位で終わらない記述からも、専門家としての真摯さが窺われる。また、現代の日本の行政に、家電などの商品を文化財として保存するという視野が欠けている点についても批判している。もっとも著者が務める国立科学博物館も同様の活動をやっていないらしいが、しかし一方で著者はこういった本を書くことで、多くの読者に対し博物館的な体系的知識を与えるということを行っているわけで、それは十分評価に値する活動であると言える。いずれにしてもこの本は、そこいらのいい加減な(と言っては失礼だが)カタログ本とは一線を画す本である。それは間違いない。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『ドラえもんの時代性に関する一考察』
竹林軒出張所『70年代アナログ家電カタログ(本)』
竹林軒出張所『日本懐かしオーディオ大全(本)』
竹林軒出張所『ラジカセのデザイン!(本)』
竹林軒出張所『昭和のレトロパッケージ(本)』
竹林軒出張所『昭和ちびっこ広告手帳(本)』
竹林軒出張所『昭和子どもブーム(本)』
竹林軒出張所『ぼくらの60〜70年代宝箱(本)』
竹林軒出張所『キックの鬼』
by chikurinken | 2016-07-30 22:48 |
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