ブログトップ | ログイン

竹林軒出張所

chikrinken.exblog.jp

『水俣病 魂の声を聞く』(ドキュメンタリー)

水俣病 魂の声を聞く 〜公式確認から60年〜(2016年・NHK)
NHK-Eテレ ETV特集

ぬるま湯に浸かった現代人の皆さん
「魂の声」を聞くが良い


b0189364_22313295.jpg 今年は水俣病が認定されてから60年の節目の年になる。そこで、この水俣病を振り返るドキュメンタリーである。
 1950年代から、熊本県の水俣湾沿岸で、奇妙な症状を持つ子どもが現れた。それ以前もネコが突然おかしくなって死んだ事例はあったが、人間で同じような症状が出たのはこのときが初めてである。やがてこの病気は周辺地域に広がっていく。当初は原因が分からず奇病とされていたが、やがて熊本大学医学部によって、原因が有機水銀であり(この)水俣病の症状は有機水銀による神経障害によって引き起こされたものであることが判明する。そしてその有機水銀が、水俣で操業していたチッソの化学工場から垂れ流されたものであることが特定される。しかしチッソはこれを認めずその後も操業を続けたため、被害は一層拡大していった。
 チッソの組合員であった岡本達明氏は、こういったチッソの現状を憂い、自ら被害者から直接聴き取りを始めた。やがてその証言は本にまとめられることになるが、しかしこの岡本氏もすでに齢80を超え、被害者の方も高齢化し、水俣病が風化してしまう可能性が出ているのが現状である。
 この番組では、その聴き取りの際に録音された音声を紹介して、当時の水俣病の様子をあぶり出す。中でも衝撃的だったのは、当初水俣病が伝染病と思われていたため、患者と家族が周辺住民にひどい差別を受けていたことで、患者は避病院(隔離病院)に入れられ、しかもそこに見舞いに行く家族も交通機関の利用を拒否されたという話である。被害者家族にとっては二重苦で、まったく救われない話だ。
 一部の被害者については現在の状況も紹介され、水俣病がまだ終わっておらず、現在進行中であることが示される。被害者家族によって語られる内容は、タイトル通りまさに「魂の声」であり、心の中に重い澱みが残った。当時の水俣病患者の映像も衝撃的の一言である。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『日本人は何をめざしてきたのか (3)(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『薬禍の歳月 〜サリドマイド事件・50年〜(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『母と子 あの日から(ドキュメンタリー)』
by chikurinken | 2016-07-26 07:30 | ドキュメンタリー
<< 『母と子 あの日から』(ドキュ... 『ヒトラー 最後の日々』(ドキ... >>