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竹林軒出張所

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『ドーピング ロシア陸上チーム 暴かれた実態』(ドキュメンタリー)

ドーピング 〜ロシア陸上チーム・暴かれた実態〜(2014年・独WDR)
NHK-BS1 BS世界のドキュメンタリー

ロシア陸連のドーピング問題は
ここから始まった


b0189364_21265291.jpg ロシアで国ぐるみで行われているドーピングの実態を告発するドキュメンタリー。ロシア陸上界の組織的ドーピング疑惑が明るみに出て、ロシア陸連が資格停止処分になったのはつい先日のことだが、そのきっかけになったのがこのドキュメンタリーということである。
 ハヨー・ゼッペルトというジャーナリストがこのドキュメンタリーの案内役で、このゼッペルト氏がかつてロシアのドーピング問題を取り上げた後(媒体は不明)、彼の元に匿名を含む数々の告発メール(もちろんロシアのドーピング問題に関するもの)が舞い込むようになったという。その中に、ロシアのアンチドーピング機関の職員からのものがあり、その職員に話を聞くところからこのドキュメンタリーは始まる。彼の妻はロシアの元トップ陸上選手で実際にドーピングに手を出していた。ドーピングに手を出すこと自体、ロシアでは日常茶飯事で、薬剤も通信販売で購入できるほどである。しかもトップ選手に付く有名コーチが、選手に薬剤を与えその使用法を指導するという。そしてそれは、ソビエト時代から延々と、ロシアのスポーツ界全体で組織ぐるみで行われていることであり(組織のトップ、ひいてはプーチンまで関与している)その根は相当深い。検査担当官には賄賂を送って見逃してもらう他、トップ選手がドーピング検査の対象にならないよう計らったりもするらしい。また偽のサンプルを用意するなどということも行われている。ドーピング検査は世界中で厳格に行われていると思っていたが、こうして話を聞くと割合いい加減である。万一ドーピング検査に引っかかるような選手が出た場合は、その選手の育成を止め他の選手に乗り換えるという、選手の使い捨てのようなことも行われているという。
 このような現状については、内部の関係者も警鐘を鳴らそうとしてきたが、ドーピングの実態を外に漏らした場合、脅迫や制裁が待っていると内部告発者は一様に言う。「交通事故に遭うぞ」という脅しもあるようで、生命の危険にさらされることになる。ロシアなら十分あり得そうな話である。
 今回ゼッペルト氏に告発した職員とその妻の元選手は、非常に勇気ある行動に出たわけだが、身の危険を感じたこともあり、ロシアにいられなくなって他国に移住したという。
 今回のロシア陸連の処分で、すべてが明らかにされ、関係者およびプーチンにもそれ相当の制裁が加えられれば良いがと思うが、なかなかそう思うようには進みそうもない。問題の根は思った以上に深い。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『汚れた金メダル 国家ドーピング計画(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『五輪考』
竹林軒出張所『FIFA腐敗の全貌に迫る(ドキュメンタリー)』
by chikurinken | 2016-07-22 07:07 | ドキュメンタリー
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