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竹林軒出張所

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『外道クライマー』(本)

b0189364_2144439.jpg外道クライマー
宮城公博著
集英社インターナショナル

沢ヤの力を見せつけられた

 著者は沢登りをメインにする冒険家……あるいは登山家なのか、詳しいことはよく分からないが、自称「沢ヤ」である。著者はこれまで国内外で数々の初登攀記録を持っているらしいが、中でも著者のお気に入りはゴルジュと呼ばれる谷だと言う(ゴルジュ:両岸が立ち上がり狭まった水路。本書「沢登り・人名用語」より)。本書は、国内外のゴルジュの他、タイのジャングル、日本の滝などにチャレンジしたときの冒険記を書き綴ったもので、それぞれの冒険行を章立てで紹介している(ただしタイのジャングルについては3章割いている)。
 著者はアルペン雑誌の連載も持っているらしく、そのためもあって文章はこなれていてうまい。またユーモアのセンスも優れているので、読むこと自体はまったく苦にならない。ただし、対象に迫る場面で記述されているルートなどの説明がいかんせん門外漢には著しく分かりにくく、せめて写真や地図や絵などがあればなーと思う箇所がかなり多かったのも事実。巻頭にカラー写真が何点か掲載されていて、多少は理解の助けになるが、それでも全然足りない。掲載されている写真にはものすごい迫力があるものもあるので、是非こういうものをもっと数多く紹介してほしかったところだ。普通の人間では踏み込めない最後の辺境地帯を踏破し、その記録を残すことで、一般人も辺境行を疑似体験できるという点では優れた本なんだが、先ほども言ったように写真や地図が少ないことから説明不足を感じたという点が非常にもったいない部分である。文庫化する折は、その辺をもう一歩踏み込んでほしいと出版社には切に願う。
★★★

参考:
竹林軒出張所『ダムはいらない! 新・日本の川を旅する(本)』
竹林軒出張所『世界の川を旅する(本)』
竹林軒出張所『ドキュメンタリー3本』「エベレスト 〜世界最高峰を撮る〜」
竹林軒出張所『ヒマラヤ8000m峰 全山登頂に挑む(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『手足をなくしても 〜ある登山家の挑戦〜(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『死闘!コスタリカ横断850キロ(ドキュメンタリー)』
by chikurinken | 2016-07-09 21:44 |
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