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竹林軒出張所

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『70年代アナログ家電カタログ』(本)

b0189364_7562186.jpg70年代アナログ家電カタログ
メイド・イン・ジャパンのデザイン!

松崎順一著
青幻舎

カタログのカタログ本

 著者が、水戸在住の住谷さんって人から譲ってもらったという電化製品のカタログを集めて並べた本。このカタログだが、東日本大震災の被害に遭い紛失する可能性があったものをなんとか救済したものということで、それを考えると価値があると言えるんだろう。
 この本で紹介されているカタログは非常に多岐に渡るが、「オーディオ」、「テレビ」、「ホーム家電」の3つに大別されている。中でもテレビのカタログが異様に多いが、これはおそらく住谷さんあるいは著者の趣味なんだろう。タイトルにあるように70年代が中心だが、80年代のものも結構ある。
 この本では、70年代から80年代の電化製品の移り変わりが俯瞰できるようになっているが、ただしここで紹介されている電化製品がすべてを網羅しているものでは当然無く、しかもピックアップされている製品が必ずしもエポックメイキングなものではなく、あれは入れてほしかったというような製品も結構ある。要するに、時代を俯瞰するために素材を集めたというのではなく、手元にあるコレクションを紹介しようというコンセプトだと考えた方がよい。そのため、資料的な価値から判断すると少々物足りない面がある。何より、こういう過去の電化製品を目にしたときに一番知りたくなる価格と年代が明示されていないというのが大きなマイナスポイントである。紹介されているカタログ自体にに価格が書かれているものもあるが、あまりに文字が小さく老眼の私には読めぬ。また年代も巻末のリストに書いてあるものもあるが、「年代不明」となっているものが異常に多く、早い話が年代を知りたいと感じた製品のほとんどはいつ作られたかが分からないままなのであった。こういうのはちょっと調べたら分かりそうなもんだが、それを出版側に期待するのは無理なのか。
 とは言うものの、70年代、80年代の電化製品やカタログのデザインが非常に洗練されているという事実も、こうしたカタログ集を通じて初めて見えてくるのである。BCLラジオ(海外放送を聴くためのラジオ)の広告を目にすると、いまだに食指が動くほどだ。カタログでの製品の見せ方が非常に巧みで、製品自体に大きな魅力を感じさせる。70年代初期のステレオや家具調テレビなども魅力的で、日本の家電メーカーにも消費者にも勢いがあったことが窺われる。テレビに至っては各社独自の製品ライン名(「パナカラー」、「キドカラー」、「サンカラー」、「ユニカラー」、「トリニトロン」、「ダイヤトロン」、「ブライトロン」)を付けていて、活況の具合がよく伝わってくる。すべてのページがカラーで楽しい本なのであるが、それだけに先ほど述べたようなことが返す返すも残念なのである。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『ラジカセのデザイン!(本)』
竹林軒出張所『日本懐かしオーディオ大全(本)』
竹林軒出張所『あこがれの家電時代(本)』
竹林軒出張所『昭和のレトロパッケージ(本)』
竹林軒出張所『昭和ちびっこ広告手帳(本)』
竹林軒出張所『昭和子どもブーム(本)』
竹林軒出張所『ぼくらの60〜70年代宝箱(本)』
竹林軒出張所『キックの鬼』
by chikurinken | 2016-07-05 07:57 |
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