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竹林軒出張所

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『日本列島人の歴史』(本)

b0189364_754071.jpg日本列島人の歴史
斎藤成也著
岩波ジュニア新書

期待外れでガッカリ

 著者がDNA解析の専門家でしかも本書の目的が日本列島に住んできた人々の歴史を遡っていくことと聞くと、古代史好きにとってはいやが上にも期待が高まってしまうところである。だが、遺跡から出て来た日本人の人骨のDNAを解析してそこから歴史を読み解くなどという部分はほとんどない。日本人を含む、さまざまな東アジア人がどの程度互いに近いかという人類学的なアプローチもあるが、その多くは第1章「日本列島人とは」で書かれており、第2章以降は歴史学上の知見をなぞっただけの記述ばかりになってまったく面白味がなくなる。目新しさもない。特に第4章「ヤマト時代とハカタ時代」に至っては、「もしこうだったら」という仮説だらけで論が進められ、ただの「オジさんの妄想」に終始している。専門家の本を読むということはその専門性に触れたいということであり、本書のように著者の専門外のことをいろいろ並べられたところで(それに説得力があればいざ知らず)面白くもなんともない。
 そういうわけでこの本は、「はじめに」と第1章がすべて、というなんとも情けない本になってしまったのだった。
★★☆

参考:
竹林軒出張所『ズニ族の謎(本)』
竹林軒出張所『血液型の科学(本)』
竹林軒出張所『銃・病原菌・鉄 (上)(本)』
竹林軒出張所『石川英輔の本、5冊』
by chikurinken | 2016-06-22 07:54 |
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