ブログトップ | ログイン

竹林軒出張所

chikrinken.exblog.jp

『薬禍の歳月 〜サリドマイド事件・50年〜』(ドキュメンタリー)

薬禍の歳月 〜サリドマイド事件・50年〜(2015年・NHK)
NHK-Eテレ ETV特集

b0189364_823043.jpgサリドマイド被害者の今

 1960年前後にドイツから入ってきた睡眠薬、サリドマイドは当初日本でも副作用のない薬として歓迎された。ところが、その後この薬に催奇性があることが判明し、この睡眠薬を服用した妊婦から、奇形を持った子どもたちが生まれた。このサリドマイド禍は日本の薬害史において重大な事件で、特に子どもたちへの影響がすさまじかったため、マスコミでも盛んに取り上げられることになった。
 僕自身は、「サリドマイド」という言葉は子どもの頃から知っていたものの、実際に身近に接したのは『典子は、今』という映画で、これはサリドマイドの被害を負った辻典子という女性が主人公の典子を演じた映画で、主人公を演じた辻典子さんが、手が不自由なため足を使って口紅をひいているシーンが出てきたりして、かなりの衝撃を受けた記憶がある。
 この番組では、サリドマイドの被害に遭った当時の子ども、今はすでに50歳前後になっているが、彼らの現在とこれまでの足跡を追い、あらためてサリドマイド禍について問い直していく。同時にドイツでのサリドマイド被害者に対する救済措置なども取り上げ、現在の日本の行政の立ち後れについても指摘していく。
 彼らサリドマイド被害者には、当初露見していなかった障害、つまり二次障害が経年と共に現れてくるということも起こっている。現状の政策ではこういった新しい障害に対応することができておらず、番組では新たな対策が必要だとする。被害者たちも懸命に厚労省に現状を訴えるなどして活動しているが、なにぶん動きが遅いのは日本の行政の常。被害者が元気なうちに何らかの対策がとられることを望みたいところである。
 僕自身は、サリドマイド被害者の現在についてはもちろん、彼らの苦しみについてもまったく知らなかった。テレビ番組でこういう状況を伝えてもらって初めて現状を知ることができるわけで(皆さんも同じようなものだろうが)、そういう点でこういう番組は非常に価値があると感じる。こういう問題をどんどん提示してもらって、我々を啓蒙していってほしいものである。それこそがマスコミの役割ではないだろうか。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『典子は、今(映画)』
竹林軒出張所『典子50歳いま、伝えたい(本)』
竹林軒出張所『水俣病 魂の声を聞く(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『母と子 あの日から(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『生き抜くという旗印 詩人・岩崎航の日々(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『日本人は何をめざしてきたのか (6)(ドキュメンタリー)』
by chikurinken | 2016-05-31 08:23 | ドキュメンタリー
<< 『典子50歳いま、伝えたい』(本) 『底辺への競争 ヨーロッパ労働... >>