ブログトップ | ログイン

竹林軒出張所

chikrinken.exblog.jp

『大江戸しあわせ指南 ― 身の丈に合わせて生きる』(本)

大江戸しあわせ指南 ― 身の丈に合わせて生きる
石川英輔著
小学館101新書

b0189364_9585027.jpg「大江戸」への超入門

 大江戸ブームの火付け役である石川英輔の著書。
 元々はCD付きマガジン『落語 昭和の名人』全26巻に連載したエッセイで、それを1冊にまとめたのがこの本。そのため落語に関連した記述が散見される。内容はこれまで著者があちこちで書き綴ったことがほとんどで、あまり目新しさはない。江戸社会を記録や絵画で読み解き、リアルな姿を甦らそうとするのも著者の他の本と共通する。
 江戸の社会は、化石燃料に依存せず、植物由来のエネルギーのみを使って身の丈に合わせて生活していた(せざるを得なかった)ということが繰り返し書かれるのも他の著書と一緒である。テーマがはっきりしていてその決まったテーマから各論に掘り下げて、詳細な部分まで迫るというアプローチで、非常にわかりやすいだけでなく非常に興味深い。これは著者の表現力に由来するんだろうが、リアルな江戸社会がとても身近に感じられて、読んでいると気分が高揚する。
 とは言え、石川英輔の他の本に慣れた身からは、目新しさがほとんどないという点はあらためて指摘しておかなければならない。本作りに安直さを感じるというか、連載を集めて新書に仕立て上げるという作り手の編集態度に対して、それで良いのかと思う。お手軽に石川史観に近づけるというメリットはあるが、本当に石川英輔が描く江戸を知りたければ講談社文庫の『大江戸』シリーズを読むのが一番ではないかと思う。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『石川英輔の本、5冊』
竹林軒出張所『大江戸庶民いろいろ事情(本)』
竹林軒『書籍レビュー:江戸の新発想』
竹林軒出張所『ニッポンのサイズ 身体ではかる尺貫法(本)』
竹林軒出張所『実見 江戸の暮らし(本)』
竹林軒出張所『江戸時代はエコ時代(本)』
竹林軒出張所『ニッポンの旅 江戸達人と歩く東海道(本)』
by chikurinken | 2016-05-22 09:59 |
<< 『ニッポンのサイズ 身体ではか... 『元禄御畳奉行の日記 ― 尾張... >>