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竹林軒出張所

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『江戸古地図の旅』(ドキュメンタリー)

江戸古地図の旅 〜江戸東京 迷宮の道しるべ〜(2003年・NHK)
NHK-BSハイビジョン ハイビジョンスペシャル 大江戸繁盛記 (1)

b0189364_11404094.jpg地図を題材にしながら
江戸の生活を覗き見


 万延元年(1960)に江戸詰めになった酒井伴四郎という紀州藩士は、かなりのメモ魔で、どこに行って何を見て、何を食べたかをかなりマメに記録として残している。その記録が、今となっては江戸の下級武士の生活を伝える一級資料になっているってんだから伴四郎も驚きだろう。
 こういった地方出の下級武士が、江戸を見歩くときに利用したのが地図である。当時江戸ではさまざまな地図が出版されており、江戸全体を描いた大絵図の他、町を部分的に描いた切絵図も多く流通していた。切絵図は、利便性や携帯性にも配慮され、色分けもしっかりされている他さまざまな地図記号も駆使されていて、現代の地図と比べても見劣りしない。しかもこういった地図が毎月改定されて出版されていたというのだから驚く。
 他の武士のことは分からないが、少なくとも酒井伴四郎については、仕事もせいぜい3日に1日、しかもごく短時間であるため、毎日暇をもてあましていた。そのためこういった地図を使って市中を観光して歩いた。酒井の場合は、観光のみならず、いろいろなものを食べ歩いた他、土産を買ったりもしており、なかなか贅沢な生活を送っている(少なくとも江戸詰の間は)。
b0189364_11405748.jpg この番組では、酒井伴四郎(吹越満)が現代にタイムスリップして現代の少女と一緒に東京を旅して廻るというミニドラマを随所に挿入しながら話が進むが、こういう演出が本当に良いのかどうかは微妙なところである。何かというとすぐタイムスリップするという安直さはどうかと思うが、ではあるが、結果的に現代の地図と古地図との比較をうまいことこのミニドラマ内でやっていて一定の役割は果たしているんで、一概に否定できないところである。
 また途中、ゲストを迎えての対談やいろいろなエピソードも交えるなど、番組自体かなり雑多なイメージはあるが、何となく江戸時代が見えてきて、疑似的に江戸観光をしているかのような、言ってみれば逆タイムスリップをしているような味わいもある。古地図を通して見る江戸という時代は、この番組を通じて見ると、非常に魅力的に映る。番組の主旨を考えると、一応の成功は成し遂げていると言えるんじゃないかな。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『幕末単身赴任 下級武士の食日記(本)』
竹林軒出張所『幕末グルメ ブシメシ!(1)〜(6)(ドラマ)』
竹林軒出張所『石川英輔の本、5冊』
竹林軒出張所『大江戸庶民いろいろ事情(本)』
竹林軒出張所『江戸時代はエコ時代(本)』
竹林軒出張所『ニッポンの旅 江戸達人と歩く東海道(本)』
竹林軒『映画レビュー:「ラスト・サムライ」に見る「逝きし世の面影」』
竹林軒出張所『にっぽん 微笑みの国の物語 前編(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『にっぽん 微笑みの国の物語 後編(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『過ぎし江戸の面影(本)』
竹林軒出張所『和本のすすめ(本)』
竹林軒出張所『ハイビジョン日本大百科 大江戸百花繚乱(ドキュメンタリー)』
by chikurinken | 2016-05-15 11:41 | ドキュメンタリー
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