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竹林軒出張所

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『革命児サパタ』(映画)

b0189364_8321732.jpg革命児サパタ(1952年・米)
監督:エリア・カザン
脚本:ジョン・スタインベック
撮影:ジョー・マクドナルド
音楽:アレックス・ノース
出演:マーロン・ブランド、ジーン・ピータース、アンソニー・クイン、ジョセフ・ワイズマン

スタインベックが描く
メキシコの英雄


 メキシコの英雄、エミリアーノ・サパタの革命運動を描いた映画。
 脚本をジョン・スタインベックが書くという何とも豪華な作品である。また硬派のエリア・カザンが監督し、アレックス・ノースが音楽を担当するというのもなかなか良い。キャストもマーロン・ブランドとアンソニー・クインを軸に好演が目立つ。なおマーロン・ブランドは本作でカンヌの男優賞、アンソニー・クインはアカデミー賞の助演男優賞を受賞している。
 中でも一番目を引いたのは映像で、クローズアップを随所に入れたモノクロの絵作りが非常に美しい。芸術写真のような風格がある。
 ストーリーは、メキシコ革命からサパタの暗殺までを描くというものだが、その間、農民の権利のために戦う英雄でありながら、権力を持った途端に反動的になっていく自分に逡巡するというサパタの人間的な面も描かれていく。こういったサパタの人間性に加え、どうにもならない当時のメキシコの社会も痛烈に描かれる。農民が誰にも頼らずに自分の手で自らを守っていかなければならないというサパタのセリフが印象的である。
 全体的にダイジェスト的ではあるが、方々に散りばめられたセリフが素晴らしく、映画的な魅力にあふれている作品である。「死人が民衆に対して影響を持ち続ける」というような印象的なセリフがあったが、そのセリフの通りサパタは死後もメキシコ社会に影響を残した。1990年代にはサパタの名前を採ったサパティスタ民族解放戦線という反体制組織が現れ、その民主的な理念で世界中に知られるようになった。僕もそのときに初めてサパタの名前を知った。また現在のメキシコの紙幣にもサパタの肖像が使われているらしい。
1952年アカデミー賞助演男優賞、カンヌ国際映画祭主演男優賞受賞
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『誰が為に鐘は鳴る(映画)』
竹林軒出張所『道(映画)』
竹林軒出張所『ナバロンの要塞(映画)』
by chikurinken | 2016-05-08 08:33 | 映画
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