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竹林軒出張所

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『新しいリハビリテーション』(本)

b0189364_79258.jpg新しいリハビリテーション
大川弥生著
講談社現代新書

リハビリにも
患者本位の目線が必要


 リハビリテーション医が語るリハビリテーションの本質と理想。
 具体的なリハビリテーションについて知りたいと思って読んだが、内容は幾分予想したものと違っていた。残念ながらリハビリの具体的な内容についてはあまり語られていない。
 この本で語られているのは、リハビリが正しい方針に沿って行われていないという現状である。そのために、リハビリ自体が退院後の生活に役立っていない状況があるとされる。そのため、患者が復帰後どういう生活を目指しているのかを具体的に聞き出し、それに沿ったリハビリを行うべきだと説く。
 たとえば、片麻痺の女性患者が、家の家事をすることこそ自身の存在価値であると考えているような状況では、麻痺した手が動くようになることだけを目的にしたリハビリを行うのではなく、麻痺していない手を活用して家事をできるようにすることが真の社会復帰に繋がるとする。また、過度に車椅子に依存したリハビリにも警鐘を鳴らしている。歩行できる可能性がある患者であれば、車椅子の訓練をするより歩行訓練をする方が、退院後の生活に役に立つとする。さらに、社会復帰した患者たちが、家の中にわざわざ作った手すりを使っておらず、むしろ家具などを使って伝え歩きをしているなどのケースも紹介する。要するに、画一的なリハビリや障害者対策が患者の役に立っていないことがままあり、患者の目的や意志に合わせた対策が必要だと主張するのである。
 こういったことは至極当たり前のことのように思われるが、リハビリの現場ではこういうことがきちんと行われていなかったのかも知れない。とは言ってもこの本が書かれたのが10年以上前なので今とは状況が変わっている可能性もある。いずれにしても、リハビリの当事者や家族はこういうことを念頭に置いて対応していかないと、いたずらに金と時間を取られることになりかねない。患者が主体になるというのは医療の基本であり、現在は多くの病院でそういった方向に向かっているようなんで、まあ希望は持てる。患者が医師や病院に全面的に依存する時代は終わったわけで、そうすると患者の側も今より賢くならないといけないということなんだろう。
★★★

参考:
竹林軒出張所『脳がよみがえる 脳卒中・リハビリ革命(本)』
竹林軒出張所『脳から見たリハビリ治療(本)』
竹林軒出張所『リハビリの結果と責任(本)』
竹林軒出張所『奇跡の脳(本)』
竹林軒出張所『壊れた脳 生存する知(本)』
by chikurinken | 2016-05-01 07:10 |
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