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竹林軒出張所

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『ガス燈』(映画)

ガス燈(1944年・米)
監督:ジョージ・キューカー
原作:パトリック・ハミルトン
脚本:ジョン・ヴァン・ドルーテン、ウォルター・ライシュ、ジョン・L・ボルダーストン
出演:シャルル・ボワイエ、イングリッド・バーグマン、ジョセフ・コットン、メイ・ウィッティ、アンジェラ・ランズベリー

b0189364_8562647.jpg秀逸な心理サスペンス

 舞台劇が原作のサスペンス・ミステリー。映画化は1940年の英国版に続いて二度目らしい。ちょっと『レベッカ』を連想させるような映画である。
 シャルル・ボワイエが演じるサイコパスが、バーグマン演じる若妻を精神的に追いつめていくという過程がリアルで恐ろしい。バーグマンも本当に追いつめられているかのような迫真の演技で、さまざまな主演女優賞を受賞しているのも納得である。緊張感が最後の最後まで続くため、一生懸命見ているとかなり疲れるが、しかし非常に良くできたサスペンスであると思う。DV(家庭内暴力)の精神的被害の事例を本などで見聞きしたことがあるが、この映画の事例もそれと非常によく似ており、そういう点でもリアルでよくできていると感じた。
 シャルル・ボワイエとイングリッド・バーグマンが主演の映画と言えば、『凱旋門』が有名で、こちらはメロドラマであり、当然のように2人の間に葛藤はあるが『ガス燈』ほどの緊張感はない。『ガス燈』を初めて見たのは25年程前で、その頃に『凱旋門』もリバイバル公開されており、同じ時期にこの2本の映画を見たという記憶がある。『凱旋門』についてはあまり記憶に残っていないんだが、『ガス燈』は強く印象に残っている。だが、それぞれの映画での主演俳優の演技があまりに違っているんで、両方の映画を見比べると俳優たちの潜在力がよくわかる。とにかく『ガス燈』では、シャルル・ボワイエはやたら怖いし、バーグマンは追いつめられ破綻寸前という状況である。そしてジョセフ・コットンが唯一の救いという構図が続くのだ(もっともそのジョセフ・コットンも『疑惑の影』では若い女性を追いつめる方の役を演じている)。
 ストーリーもよくできているし、心理劇としても秀逸。自分の精神状態に余裕があって(サイコパスが周りにいたりDVが周りに起こっていたりしたら映画どころじゃないもんね)心理描写を楽しめる状況で見たい映画である。
1944年アカデミー主演女優賞、ゴールデングローブ賞女優賞受賞
★★★★

参考:
竹林軒出張所『良心をもたない人たち(本)』
竹林軒出張所『レベッカ(映画)』
竹林軒出張所『カサブランカ(映画)』
竹林軒出張所『誰が為に鐘は鳴る(映画)』
竹林軒出張所『第三の男(映画)』
竹林軒出張所『椿姫(映画)』
by chikurinken | 2016-04-12 08:57 | 映画
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