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竹林軒出張所

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『アンナ・マクダレーナ・バッハの年代記』(映画)

アンナ・マクダレーナ・バッハの年代記(1967年・独伊)
監督:ジャン=マリー・ストローブ、ダニエル・ユイレ
脚本:ジャン=マリー・ストローブ、ダニエル・ユイレ
音楽:レオ・レオニウス
出演:グスタフ・レオンハルト、クリスティアーネ・ラング=ドレヴァンツ、パオロ・カルリーニ、エンストン・カステリ

b0189364_831047.jpgドキュメンタリー風音楽ドラマ
ただしドラマ性は皆無


 ヨハン・セバスティアン・バッハの2番目の妻、アンナ・マグダレーナ・バッハの視点で描かれるバッハの半生。
 全編、アンナのモノローグで話が進み、映像のほとんどは定点カメラの演奏シーンで、ドラマチックな部分は皆無に近い。そもそもドラマ自体がほとんど存在しない。一般的な概念の劇映画ではなく、ドキュメンタリーの感覚に近い。映像もモノクロで地味である。
 この映画によると、バッハは宮廷音楽家になったり音楽学校の校長やカントル(教会音楽家)になったりしているようだが、ほとんど出来事がモノローグで語られるだけなので、バッハの周辺に何が起こっているかよく分からないし、どこの地域で職を得たかなどもよく見えてこない(地図や具体的な土地のイメージが示されないため)。したがってドキュメンタリーとして見ても、なんだかパッとしない。
 長時間流され続ける演奏を楽しむという考え方もできるが、演奏される曲目が比較的マイナーな曲で、バッハ好きならともかく、普通の音楽ファンには馴染みのないものが多い。僕も数曲しか特定できず、知らない曲を、ただひたすら定点映像で流されるという状態を甘受しなければならなくなる。演奏自体は古楽器で古雅な感じがあって良いし、当時の様子が再現されているのも良いんだが、なんせ狭い領域に大勢の演奏家が詰め込まれているような状態で演奏する上、カメラもほとんど動かないため、ほぼ演奏者たちの頭しか見えず、映像的にはあまり面白味がない。
 ヨハン・セバスティアン・バッハを演じるのは、古楽器奏者のグスタフ・レオンハルトだが、演技は皆無。セリフはあるが、すべて棒読み……というか手紙や文書を読むシーンばかりである。もちろん演奏は全編に渡ってしっかり行っている。
 ドラマ性は皆無でひたすら説明的、その説明すら頭に入りにくいという映画で、バッハの音楽やレオンハルトが大好きという人以外は楽しめないだろう。「映画」というより「演奏ドキュメンタリー」とでも言った方がピッタリ来るかな。見続けるのがかなり苦痛な映画だった。
★★

参考:
竹林軒出張所『ミセス・バッハ(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『「英雄」〜ベートーベンの革命〜(ドラマ)』
竹林軒出張所『ベートーベン・ファイル(ドキュメンタリー)』
by chikurinken | 2016-04-13 07:32 | 映画
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