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竹林軒出張所

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『冬の華』(映画)

b0189364_8123966.jpg冬の華(1978年・東映)
監督:降旗康男
脚本:倉本聰
音楽:クロード・チアリ
出演:高倉健、池上季実子、北大路欣也、池部良、田中邦衛、藤田進、三浦洋一、倍賞美津子、夏八木勲、小池朝雄、寺田農、峰岸徹、小林亜星、小林稔侍、岡田眞澄、大滝秀治

モダンな昭和残侠伝

 監督降旗康男、脚本倉本聰、主演高倉健と、『駅 STATION』と共通のメンツ。キャストもかなり共通している。ある意味、『駅 STATION』の序章と言えなくもない。ただし内容は『駅』と違ってヤクザ映画。ヤクザ映画と言えば東映、そして高倉健。この映画も東映製作である。とは言うものの、かつての東映ヤクザ映画とは少し趣が異なる。なんせ「東映ヤクザ映画の見過ぎだ」というセリフまで出てくる。このセリフから分かるように、前半は東映ヤクザ映画のパロディみたいなシーンが多い。登場するヤクザの親分衆も、子どもの大学入試を心配したりマイクを持ったら離さない人だったりなど非常に身近な感じである。かつてのような画一的なヤクザ像ではなく、人間味があるというのか、リアルな人間という印象である。
 後半になると、あくまで前半の流れを踏襲しながらだが、がぜんヤクザ映画風の展開になり殺伐としてくる。とは言え、サブプロットの「あしながおじさん」の部分もうまくストーリーに絡められていて、シナリオがよく練られていると感じる。冒頭のシーンを途中でそのまま踏襲するなど、なかなか凝った展開にしており、そのあたりも面白い(なおこのシーンのセリフは『ゴッドファーザー』から取られたものらしい、脚本家によると)。総じて「モダンな昭和残侠伝」といった趣の映画で、やっぱりパロディなのかなーとも思う。いずれにしろ脚本家の豪腕が発揮された作品であるのは間違いない。また全編流れるクロード・チアリのギターが哀愁を帯びていて非常に良い味を出しているのも特筆に値する。
 この映画、以前も一度見ていてレビューを書いているが、そのときとはまた違った印象を持ったような気がしているが、どうだろう。以下に前のレビューを掲載。今、比べてみたが、やっぱりと言うべきか、おおむね同じようなことが書いてあった。
★★★☆

追記:
 『聞き書き 倉本聰 ドラマ人生』によると、池上季実子が演じたヒロインは山口百恵が想定されていたそうだ(このキャスティングはあまりにそれらしくて面白味がないが)。また人間味あふれる親分衆は、ホンモノの親分たちがモデルだそうだ。そりゃあリアルだわな。

参考:
竹林軒出張所『聞き書き 倉本聰 ドラマ人生(本)』
竹林軒出張所『駅 STATION(映画)』
竹林軒出張所『昭和残侠伝 唐獅子牡丹(映画)』
竹林軒出張所『昭和残侠伝 死んで貰います(映画)』
竹林軒出張所『ザ・ヤクザ(映画)』
竹林軒出張所『追悼 高倉健』
竹林軒出張所『刑事(ドラマ)』
竹林軒出張所『証言 日中映画人交流(本)』

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(旧ブログ2006年8月19日の記事より)
冬の華(1978年・東映)
監督:降旗康男
脚本:倉本聰
音楽:クロード・チアリ
出演:高倉健、池上季実子、田中邦衛、藤田進、三浦洋一、北大路欣也、倍賞美津子、池辺良、小林亜星、小沢昭一、大滝秀治

 東映のヤクザ映画なんだが、殺伐とした部分だけでなく、心温まる要素や生活感なんかも盛り込まれていて、非常に良くできたシナリオに感心する。70年代から80年代前半といったら、倉本聰の絶頂期である。
 メインとなるストーリーは、悪に挑むヒーローといった感じで、60年〜70年代の東映ヤクザ映画(特に『昭和残侠伝』!)のオマージュみたいなものである。だが、池辺良が高倉健に早々に刺されるなんざ、ちょっとしたパロディみたいにも感じられる。
 基本的に高倉健をいかに活かすかというコンセプトなんだろうが(この後の『駅 STATION』でも同様)、十二分に活かしきっているのはさすがである。意図的だかどうだか知らないが『幸福の黄色いハンカチ』(こちらも高倉健の魅力の映画)を彷彿とさせるようなシーンもあった。
 登場人物もそれぞれに魅力的である。キャスティングも豪華で、それこそ「華」がある。
 クロード・チアリの音楽が、また良い雰囲気を出しているんだな、これが。
★★★☆
by chikurinken | 2016-03-23 06:58 | 映画
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