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竹林軒出張所

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『新・映像の世紀 第3集』(ドキュメンタリー)

新・映像の世紀 第3集 時代は独裁者を求めた(2015年・NHK)
NHK総合 NHKスペシャル

もう少し見せ方を工夫したい

『新・映像の世紀 第3集』(ドキュメンタリー)_b0189364_8311311.jpg 『新・映像の世紀』もいよいよ第3集、ヒトラーやムッソリーニの時代に焦点を当てる。ヒトラーの時代は、さまざまなドキュメンタリーで語り尽くされていて、しかもかなり珍しい映像もこれまでいろいろと紹介されている。そのためか、この番組では、あまり目新しい映像は出てこず、取り立てて目を奪うような要素はない。
 強いて挙げれば、アメリカの大資本、フォードやスタンダードオイルなどがナチス・ドイツに多額の出資、物資供給を行っていて親ナチスだったとか、ココ・シャネルやチャールズ・リンドバーグもナチスのシンパだったとかが新しいと言えば言える。このような例を見るとわかるように、米国内では第二次大戦開始時は、親独反共という理念の方が一般的だったという。それが変わったのは真珠湾攻撃で、それ以降アメリカの世論が参戦に積極的になったという説明である。
 ヒトラーの台頭の過程をていねいに追うなど一通り歴史を辿ってはいるんだが、比較的ありきたりなことが多く、今回も途中でうたた寝してしまった。旧シリーズ(『映像の世紀』)ではこういうことは一度もなかったにもかかわらず、新シリーズではすべての回で途中で居眠りしてしまっている。要は途中で退屈するわけで、もう少し見せ方を工夫したらどうだとおもう。
『新・映像の世紀 第3集』(ドキュメンタリー)_b0189364_8313682.jpg このシリーズはアメリカの大資本と歴史との関係を柱に据えていこうというスタンスのようだが、そういうことに無理にこだわる必要もないんじゃないかと感じる。それをやりたいんだったら、もっとテーマを絞った別の企画でやったら良いことで、映像を見せながら歴史を辿るという旧シリーズのような単純なアプローチの方が融通が利いて、幅広く見せることができる。良いことは良い、悪いことは悪いとするのは結構なんだが、単調になってしまってつまらなくなったら元も子もない。旧シリーズでは、ヒトラーが登場する第4集は出色のデキだったため、余計そういうことを感じてしまう。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『映像の世紀 第1集〜第4集(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『ヒトラー 権力掌握への道 前後編(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『独裁者ヒトラー 演説の魔力(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『ヒトラー暗殺計画』(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『ヒトラー 最後の日々(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『ヒトラーvs.スターリン(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『カラーで見る 独裁者スターリン(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『新・映像の世紀 第1集(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『新・映像の世紀 第2集(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『新・映像の世紀 第4集(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『新・映像の世紀 第5集(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『新・映像の世紀 第6集(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『映像の世紀 第5集〜第8集(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『映像の世紀 第10集〜第11集(ドキュメンタリー)』

by chikurinken | 2015-12-25 08:32 | ドキュメンタリー
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