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竹林軒出張所

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『白夜』(映画)

白夜(1957年・伊)
監督:ルキノ・ヴィスコンティ
原作:フョードル・ドストエフスキー
脚本:ルキノ・ヴィスコンティ、スーゾ・チェッキ・ダミーコ
音楽:ニーノ・ロータ
出演:マルチェロ・マストロヤンニ、マリア・シェル、ジャン・マレー、クララ・カラマーイ

『白夜』イタリアーノ

『白夜』(映画)_b0189364_7555239.jpg ドストエフスキーの短編小説『白夜』を映画化したもの。
 『白夜』はソビエトで何度か映画化されている他、ロベール・ブレッソンも1971年に映画化している。この映画はヴィスコンティがネオリアリズムの時代に、舞台をイタリアに移して作ったもので、当然のことながら登場人物はイタリア的である。原作の主人公は、非常に内向的かつロシア的で、友達がほとんどいないという人間。多くの日本人には共感が持てる存在ではあるが、イタリア人のイメージとはそぐわない。であるから、主人公については、町に越してきたばかりで知り合いがいないというそれなりの設定にしている。名前もマリオというイタリア的な名前である。
 とは言うものの、ストーリーはほぼ原作が踏襲されており、前半はそのまま舞台をイタリアに移し替えたような状態である。後半については、イタリア風味、20世紀風味がかなり加えられていて、人間関係なんかは比較的自然に置き換えられている。不自然さはなくなったが、原作の持つ残酷さはやや薄味になったかなという印象である。
 主人公が惚れる若い女、ナタリア(原作ではナースチェンカ:マリア・シェルが演じる)は、この映画ではマルチェロ・マストロヤンニとジャン・マレーを天秤にかけるわけで、すごいっちゃあすごい話(大した玉だ)。映画は全体的に演劇的で、セリフも説明的。映像も書き割りの中みたいな感じで撮影されていて、舞台をそのまま映画化したような印象さえ受ける。そんなわけであまり映画的な面白味はない。僕自身は『白夜』を読んだばかりで、映画を見る前から内容を把握していたが、それでもかなり退屈した。あまりに退屈したんで、1時間40分程度の映画だが、途中で一度見るのを止めた。ちなみにこの映画だが、第一幕と第二幕に分かれていて、途中でインターミッションが入るようにはなっている。短い映画だが、考えようによっては、それなりに退屈対策が施されていると考えることもできる。
★★★

参考:
竹林軒出張所『白夜/おかしな人間の夢』
竹林軒出張所『山猫(映画)』
竹林軒出張所『若者のすべて(映画)』
竹林軒出張所『ルートヴィヒ(映画)』
竹林軒出張所『家族の肖像(映画)』
竹林軒出張所『夏の嵐(映画)』
竹林軒出張所『甘い生活(映画)』
竹林軒出張所『夜(映画)』

by chikurinken | 2015-11-30 07:56 | 映画
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